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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第83話、素顔のあなたに、最上級の喝采を



SIDE:ローサ(inサーロ)




ラルちゃんは、いわゆる職業が救世主さまじゃなく、魔法使いであるからして。

登山するような体力なんてからっきしだって言っていた割には、どうも初めから『ヴァレス山』越えを夜が更け空白む前には達成する気でいたらしい。


恐らくは、予想外の出来事とかあったとしても、俺も含めて何人かが使える【リヴァ】属性の移動魔法を使えばいいって思っていたんだろうけれど。



この『ヴァレス山』の自然そのもの……かの地に棲まう魔精霊たちに呼びかけ根こそぎ集めて救世主さまのありがたいお言葉を賜ったことで状況が一変。


まるで、そういったダンジョンであるかのような、ランダムに襲いかかってくるはずの、様々な……幻想めいたものも含む自然環境の脅威が、綺麗さっぱりなくなってしまったのだ。


きっと、ラルちゃんの存在そのものに吸い寄せられるようにして集まってきた色とりどりな『獣型』……小さき魔精霊さんたちも、ラルちゃんの、様々な意味合いの含まれたスゴさに『まいって』しまったのに違いない。


予想するに、そのバラエティに富んだ、何がやってくるかも分からない魔精霊さんたちの罠めいたものを、一番楽しみにしていたのはラルちゃん自身なのだろうが。

まさしく、救世主……それこそ、12種それぞれの根源……神様を称え崇めるかのように。

『ブラシュ』の町並みの灯りが見えてくるようになるまで、神輿を担ぐかのごときお祭り騒ぎが展開されてしまったのだ。



厳しくも驚異的な自然環境の代わりにとばかりに一同に降りかかるは、十二色の花々、雨あられ。

ついでに、ラルちゃんの昔語りもしっかり耳にしていたのか、おんなじ色とりどりの砂糖菓子までもが降ってくる始末。


それは、元よりそれぞれの魔力が込められていたこともあって。

実に幻想的に。

未だ遠かったはずの街からも、救世主さま御一行の道行きがよくよく分かるくらいに煌々と光り輝いていて。

きっと、『ブラシュ』に住む、救世主さまのご来訪を待ちわびていたかもしれない人達の目には、おおよそ分かりやすすぎるくらいには目立ちに目立っていたことだろう。


 

「うぬぅ。なんといえばよいのか。きょうきょうとしていたちょっと前のわれが恥ずかしくてならんわ」

「勢い込んで準備はしてたんだけどなぁ。まさか出番がないどころかこんな世にも美しくて素敵な光景を目の当たりにできるなんて」

「きれい……。魔精霊さんたちもきっと、ラルさまにあえたことがうれしいんだね」

「ちっちゃい子たちがこんなにたくさん集まるなんて。やっぱりちっちゃくても、心があるってことなのかな」



こりゃあ街についた途端大変なことになりそうだな、だなんてそれこそ戦々恐々としていた俺たちなんてなんのそので。

ちびっこグループ(やんやと魔精霊のみんなに担がれたかられ中のラルちゃんを除く)は。

この世のものとは思えないげに美しき魔精霊たちによる行進に、うきうきワクワクの様子であった。

これからのことを考えなければ、確かにこれはこれで得がたい体験であることは、確かなのだろう。



「……やはりラル様は12の根源をも凌駕する存在。12の導かれし乙女の中心となるべきお方ですわね」

「生まれたてのワタシが言うのもナンですが。本当にマスターは、わたしが未だ目にしたコトのないモノを見せてくれるのデスネ」

「まぁ、こうして会えてこの状況を共有できるってのは、なんとも幸運で光栄なことではあるんだろうな……」




偶然か必然か。

彼女の、長い長い人生と言う物語の、ちょっとした羽休め。


その機会を、この世界に。

俺がこうして存在しているこの世界を選んでくれたことは、きっと間違いなく奇跡ではあるんだろう。

 


そんな奇跡の出会いが嬉しくて。

俺たちだけじゃなくて、色とりどりの世界そのもの……魔精霊さんたちも、ラルちゃんにくっついて囲んで離れようとしないのだ。

 


……問題というか、だから面白くて目が離せないと言うべきか。

不可思議でしんどい自然環境によるトラップを何とかして欲しいと魔精霊さんたちに呼びかけお願いしただけのはずなのに。

祭り上げられて持ち上げられて、そのまま運ばれていっていることに理解が及んでない様子のラルちゃん。


 

「おわっ、ちょっ。なんだよ、自分で歩けるって! って。どこ触ってんのっ、仮面を取ろうとすんなって! 何かすっげぇもふもふのがいるしぃっ!!」



今までは気を張っていたのか、忠実なる従僕キャラが板についてきたのか、ある意味素顔を曝け出すようなことも少なくなっていたのに。

たかられくっつかれ囲まれ、運ばれていっている彼女は。

思わずそんな素であろう声を上げていたけれど。


こうして生暖かく見守っている側としては。

その方が距離が近くなったような気がして。


振り払わず邪険にされないことをいいことに。

ついには、水色した……恐らく【ウルガヴ】の小さき魔精霊であろう一体が、ある意味お互いの間にあった壁とも言える仮面をとっぱらうことに成功したから。


思わずみんなでやんやの喝采を上げたことは。

本人にはちょっと申し訳なくはあるけれど。


必然、当然の帰結であることは、確かなのだろう……。




        (第84話につづく)








次回は、6月23日更新予定です。

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