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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第82話、星降る夜を思い出せば、もう戻れなくたって良いと思える




SIDE:ローサ(inサーロ)



……と、ちょうどセラノちゃんが手前味噌ですがと。

【コーティング】の魔法について解説し終えた時であった。


今までの話を見守るようにして聞いていたラルちゃんが。

それってもしかして、とばかりに。

何かを思いついたかのように、声を上げる。




「あれは、どの世界でしたか……自然、世界によって作られるお菓子が振る荒野へ行ったことがあります。

ありえないものが降ってくる謎、興味本位で調べたのですが、どうやら魔力……12種の魔精霊たちが関連しているようですね」

「えっ、お菓子っ!? いいなー、どんなお菓子? 美味しかった?」

「七色の、星型をした砂糖菓子でしたね、色によって味が違って美味しかったですよ。属性としては、【リヴァ】と【カムラル】と、【ピアドリーム】の三種により生まれたもののようですね」

「な、なんですって! 【リヴァ】様はそのような素敵な遊び心までおありだとはっ。さすがですわぁぁっ」

「なんだか、すごそう。アイもたべてみたいなぁ」

「あぁ、記念にといくつか保管してありますよ。せっかくですから、いただきましょうか」



きっと、話のタネにとラルちゃんは休憩時にそれを用意する気だったんだろう。

おぉーと、皆がやんやの喝采を上げる中、それだけでは物足りないだろうと。

自分の足で冒険しつつ商品を仕入れ、色々な場所で売りさばく商人になりたかったと言っていただけあって、恐らくは救世主クラスの容量を誇るアイテムボックスをラルちゃんは持っていたようで。

どこからともなく、テーブルと椅子、茶器セットにラルちゃんの言う七色のお菓子の入った小瓶を取り出したではないか。




「おぉ、アイテムボックスですかっ。正に選ばれしお方、御用達なやつですねっ」

「イヤイヤ、改めて目の当たりにシマスとどんな仕組みなのデショウかね。【ヴルック】に依るモノとしては興味がつきマセンが……」

「くっ、あきらかにわれよりおおきいっ。これも魔力の差だというのかぁっ」

「……お、それって」



当然と言うか何と言うか。

みんなの注目は、ラルちゃんが取り出したものよりその方法、アイテムボックス自体に移ったようだけど。

地の文……語り部として目立たぬよう、影のように潜んでいる(つもり)であった俺は、思わずその色とりどりに染められた小瓶を目にして思わず声を上げてしまう。



「……うん、これが自然によって生み出された奇跡のお菓子さ」

「きれい。ほんとに、お星さまなのです」

「奇跡……かぁ。いや、まぁ。確かに高そうではあるけれど」


しみじみと、しんみりとそう言うラルちゃんに。

俺は誤魔化すようにそう返しつつ、不意に始まったお茶会の準備を手伝うことにする。



自然からとか、奇跡とか嘯いているけれど。

世界によっては普通に人によって作られるだろう、懐かしい砂糖菓子であるそれ。

そんな風にツッコミたかったけれど、誤魔化したのはまた別のことだった。



……不意に思い出したのだ。

アイちゃんが言うように、そんな奇跡のお菓子が星降る世界でのローサとラルちゃんとの記憶……物語を。


それにより思い知らされたことは。

ラルちゃんがあそこまでローサに対し過保護になるというか、心配性の気が出るのも仕方ないじゃんね、ということだった。



いろんな世界に、世界の数だけいる俺たちと違って。

彼女は、ラルちゃんは結局のところひとりだから。

様々な出会いと、別れを繰り返してきたのだろう。


自由奔放なままに儚くどこへともなくいなくなってしまう。

甘い星降るその世界でも、彼女は幾度となくその憂き目に遭っていたのだ。


申し訳なくて、そんな自分が許せなくて。

未だ戻れないでいることにも納得するしかないというか、もう受け入れるしかないだろうと達観している俺がそこにいて。



「……このお菓子ができるにはええと、三種の魔力がいるってこと? ラル様十八番の【デルカムラ】みたいな?」


俺は話題を変えるように、戻すように。

この『ヴァレス山』のありえない環境変化の原因が分かっているであろうラルちゃんにそう聞いてみると。

ラルちゃんは、そんな俺を仮面越しに少しばかり見つめた後。



「三つの魔力が折り重なって絶妙なバランスで生み出されるっていう意味ではそうかもしれませんね。……そしてそれは、この山で起きる天候の変化、環境の変化も魔力が、魔精霊さんたちが関係しているのです」

「ふむ、そうであるならば……つまり?」

「私が環境に合わせて【コーティング】の魔法を使わなくても……」

「意思疎通が可能であるならば、『話し合い』でなんとかできる。あわよくばそう時間もかからず『ブラシュ』へたどり着けるでしょう」



やっぱり予定通り、それほど時間をかけずに向かえるでしょうと。

お泊まり野宿をしなくてすみそうでよかったですねって。


結局のところ俺を慮ってのそんな言葉に。

何だか泣きそうになりつつも、苦笑するしかない俺がそこにいて……。



       (第83話につづく)










次回は、6月20日更新予定です。

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