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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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80/116

第80話、もう二度と、願われることもなく、戻ること叶わないのか



SIDE:ラル



「本当は実地体験学習って、ヴァレン学園の人たちと一緒に過ごしたりしないといけなかったから……今回の特別な山越え演習に声をかけてもらったの、嬉しかったんですよ~。レミちゃんには感謝、感謝ですぅ」



ひとしきり、距離の近い自己紹介を終えた後。

この実地体験学習も初めてではないということで、レミラとセラノの先導により、ラルたち一行は一路『ヴァレス山』を目指していた。


本来ならば、二つの学園が『ヴァレス山』裾野の所謂集合、出発地点に集まってそれぞれの理事長のありがたいお話から始まって、色々な学習前の行うべきことがあったらしい。

それらをまるごとすっ飛ばして、お互いの学園が管轄している敷地へと入り込む事ができたのに、ご満悦な様子のセラノがそこにいたが。



「なにを、調子のいいことを。おぬしはあれよ、騎士学園の男衆と顔をあわせるのがおっくうでめんどうなだけだろうに」

「だってぇ、あの人達レミちゃんだけじゃなく、私の事までヘンな目で見てくるんだもの。その点魔王様……じゃなかった、救世主さまとそのパーティのみなさんは、素敵で可愛らしい女性ばかりで安心ですよ~」

「……はは」

「……っ」



どうもよくよく話を聞いていると、ヴァレン学園の生徒……男子生徒たちが苦手らしい。

いや、苦手というよりも男性嫌いの流れで女性の方が好ましいというか、ラルたち一行を見て何だか嬉しそうにそう呟くから。


心意気だけは男性視点でいたラルが思わず苦笑をもらして。

現在進行形で、セラノが言うところのヘンな目で距離の近い自己紹介を目の当たりにしていたローサ(inサーロ)が。

息をのみつつ、面白がって正体をバラされやしないかと、落ち着きなく辺りを見回していたが。



「ほぅ、それはそれはとてもいい趣味を……ではなくてですね。ティア学園に臨時で特別な留学生としてお邪魔するためには女性ばかりであるべきと愚考したわけなのですよ」

「あ、そうだったんですか? でもよかったですぅ。山越えって事は日帰りってわけにはいかないですもんね。女の子だけなら野宿も気が楽ですし」

「……あっ」



男子禁制の女学園だと思っていたから、パーティに所属している男性は置いてきた的なニュアンスでリーヴァがフォローしかけて。

そう言えば、野宿などが必要なシチュエーションに限ってサーロは決まってイゼリに化けていたりローサであったりすることに、そこにいる皆が気づかされて。



……まさか、敢えてそうしていたんじゃなかろうかと。

皆に疑惑の目を向けられているような気がして、ローサは思わず声を上げてしまう。


確かに、外界で寝泊りするようなタイミングで少女の姿となっていたのは偶然であるとは言い難いが。

そういった配慮をしなくてもいいようにって。

理由付けと言い訳を口にするのはヤブヘビになるだろうかと、そのままおろおろしていると。



「そう言えばそうでしたね。流石に日帰りは厳しいですか。今まで気にしてなかったっていうのは言い訳ですか。……えーっと、その。あのですね。こうして仮面をつけていますからあれですけど、実は私……じゃなく、オレってば男だったりしたりするんですけど」

「……なぬぅっ、ばかなっ!? そんなわけがっ」

「いやっ。そ、それはちょっと無理はあると思うけども……」



ラルなりにフォローすべきだと思ったのか。

いざとなったら移動魔法で何とかすればいいと思っていたのか。

自身は男であると思っていた時のことを思い出してしまったのか。


どう見ても足掻いても苦しい言い訳……事情と人となりを未だ知らぬレミラやセラノだけでなく。

男の子ぶりたい事情をある程度知っている当のローサですら、いきなり何の世迷言を、なんてリアクションを取ってしまったから。

そのせいで、仮面越しにラルが大層狼狽え動揺しているのがよくわかって。



それでもラルは、またしても追い込まれてしまっているサーロのためにそんな突拍子もない事を言い出したわけだから。


いい加減、毎度のごとく観念して白状すべきなのだろうかと。

ついでに、まったくもって戻る気配のなかったあるべき姿をここに来て取り戻せるのかと。

ローサ……サーロが、この世界に来てもう何度目かも分からない覚悟を決めた時。




「……成る程、成る程っ。仮面とマントを身に纏い、男性として日々を生きていかなくてはならない、ふかーい訳があるってことですねっ。よく考えたら冒険に男だ女だなんて気にしてたら始まりませんもんね。わっかりましたっ」

「あ、えっと。うん。そうなんだ。分かってくれれば良いのです……?」

「えー、そんなんで納得しちゃうんかーい」



やはりもう、元あるべき姿には戻れないのかと。

何か大きな力が働いているんじゃないかと勘ぐってしまうくらいには。


全て分かっていますよ、とばかりに。


ラルのどうしたって的外れなはずの苦し紛れな言葉に、納得してしまっているセラノがそこにいて……。


   SIDEOUT



       (第81話につづく)









次回は、6月14日更新予定です。

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