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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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71/116

第71話、望み通りに、救世ちゅの元へ集う選ばれしものたち



SIDE:ラル



【ブラシュ】へ向かうためには一夜かけて超えなければならないという『ヴァレス山』。

【ヴァレンティア学園都市】と【ブラシュ】の国境に立ちはだかるように聳えるその山は。

その裾野にて定期的に間引きされているという魔物たちとの実践訓練を行う場所でもある。



学園都市の『実地体験学習』と銘打った二つの学園合同の訓練は、何ともタイミングよく三日後には始まるらしい。


本来ならば一日とて待てぬと、入山の許可だけでもどうにかしてもらって【ブラシュ】へ向かうべきではあるのだが。

ずっと偵察任務についているリルからの定期連絡によると、ごくごく平和そのもの、ということで。

むしろ、ただでさえ目立つリルが、迂闊に町に顔を出そうものなら町の人が直ぐに集まってきて捕まる……どころか祭り上げられ崇められそうになるから、ろくに偵察もままならない、星に帰りたい、なんてぼやいてくるほどで。



一度偵察に向かっているローサなどは、もうすっかり魔力も回復したから様子を見に行きたいと何度も訴えてくるのだが、アイも今すぐに帰りたいという心情ではないし、そもそもまだ詳しい事情を聞いていないし、最初の……一番の友人とも言ってもいいローサの実力を疑うわけではないのだが。


前にも述べた通り、彼女は【ヴァーレスト】に愛されし存在だけあって、自由気ままの風来坊で。

ふと目を離すと忽然とどこへともなく消えてしまう印象が拭えないこともあって、ラルはそんなローサの願いを申し訳なくもかわす事ばかり終始していて。


そんなんだからローサはサーロに戻る事ができないのだとは、知らぬのはラルばかりで。

ヴァーレスト】に愛されし彼女が忽然と消えたように見えるのも、元に戻っているだけで。

それだけでも、ラルが親友の少女ばかり気にしているかがよく分かるわけで。

内心で彼が地味に傷ついてへこんでいるだなんて、それこそ知る由もないわけだが。



それはともかくとして。

ラルとしてはいい加減自身の失敗というかやりすぎてしまった事実を誤魔化し続けるのもしんどくなってきて。

その事も含めてアイの事情も聞かなければと。

ラルたちは、とりあえずの所三日後の実地体験学習までの準備も兼ねて、その日までの宿でも取ろうかと町に繰り出そうとしたところで。


エイミだけでなくレミラにまで、当然その日までは我が家で過ごすに決まっているだろう、なんて言われた事もあって、ラルたちは学園外程近くにあると言う、【ヴァレンティア】におけるグレアム……エクゼリオ家別邸へ向かう事となったわけだが。




「でも、そっかぁ。アイちゃんもお姫様だったんだねぇ。あれでしょ、ただ冒険にいくだけでもいろいろめんどくさいから、飛び出してきたクチ?」

「え? えと、そのう。そうなの、かなぁ」

「ふむ。確かにそれは一理あるのかもしれませんね。だから私も夜に出る事が多かったわけですし」



そんな道すがら。

気をきかせたのか、それまであまり会話に混ざれなかった鬱憤のようなものが溜まっていたのか。

イゼリが何でもない事のように聞きたかった、聞かなければならなかった問いかけをアイにぶつける。



それに便乗……続く形で、ラルがローサも色々面倒だったでしょう、なんて言われて。

記憶がある事にはあるのだが、それでも生粋の庶民のつもりでいるサーロ……ではなくローサは返答に困って。

しかしそれでも、まるで自分もそうだと言わんばかりなイゼリの方が気になってしまって。

ローサに変わってからというもの、なんとはなしにしっくりこないというか恥ずかしいのもあって、必要最低限しか会話に混ざる事のなかった彼女が遂に声を上げる。



「その言いようだと、イゼリもお姫様だったりするのか? そういや化けてた割には出自とか全然知らなかったな」


よくもまぁそれでボロが出なかったものだと。

そう言えば最初に出会ったイゼリは本物のイゼリではなくて、ローサだったのだと。

ラルに思い起こされる発言をしてしまったことはヤブヘビではあったが。


確かに、イゼリが冒険者をやる前にどう生きてきたのか、知らないのは確かであった。

それどころか、得意な……愛されし属性すら知らなくて。

人知れずローサがイゼリに対し申し訳なく思っていると。


人の属性について、一家言あるリーヴァが、冒険者仲間であるのにそんな事も知らなかったのですか、とばかりにフォローを入れる。




「……世にも珍しき『獣化』のスキルを持つ【アーヴァイン】の氏族が住み暮らす【フーデ】の長の娘さんですよ。まぁ、【アーヴァイン】の一族は子供たちを千尋の谷へ落とすがごとく、世界への見聞を広めさせるのが掟のようですから、同じ姫という一括りにしていいものかどうか、疑問はありますけどね」


ちなみに自分はごくごく一般的な商家の娘です、なんてリーヴァの言葉は。

そんな世にも珍しい【アーヴァイン】の一族よりも希少性では上になるであろう【リヴァ】の一族であるからして、話半分に受け止めるべきなのだろう。


しかしそうなってくると。

高貴なる闇の一族の娘であるノアレはもちろんのこと。

救世主であるラルの元に集まってきた少女たちは。

リーヴァの望む通りに、それぞれの属性を代表するかのような選ばれし者達が集っているんだなぁと。

自分だけは棚に上げてローサがしみじみ思っている事など、当然知る由もなく……。




     (第72話につづく)










次回は、5月16日更新予定です。

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