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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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65/116

第65話、戻れないのは、戻ったら戻ったで絵面がよろしくないから



SIDE:ラル



そうして、ラルと彼女に惹かれるようにして集まった少女たち(一部語弊あり)は。

次なる目的地である、学園都市『ヴァレンティア』へと辿りついた。



あるいはラル達の故郷と同じように、その名が示している通り、『ヴァレンティア』はこの世界において国家の一つとして機能し、認知されているようで。


ラル自身が幼き頃(現状の方がよっぽど幼い状態であるのは見て見ぬふりをしている)通っていた学園スクールも大概なほどに広大な敷地を持っていたが。

学園都市『ヴァレンティア』も始めの検問というか関所をグレアムのおかげで特に問題なくスムーズに通過してから小一時間馬車を走らせるくらいには、広い敷地を持っているようで。



それでも、学園下町とも呼べる町並みが見えて来る頃には。

幌の上で風を受け続ける事にも飽きたのか、空いていた御者席に一声かけてローサが降りていったので。

当然でしょう、とばかりにラルもそのあとに続いていって。




「えっと、街に着いたらグレアムさんの奥さんと娘さんに会いに行けばいいんだっけ? まずは学園に向かえばいいのかな? ノアレさんは……面識はあるのかもしれないけど、会って話すの初めてって言ってたけど」

「……ええ、娘さんの所在ははっきりしませんが、奥様は学園の教師……客員扱いのようですけれど、とりあえずは先生方の詰所『職員室』でしたか。そちらへ向かうようにと、グレアム様に取り次いでもらっていますわ」

「ほぉ、奥さん先生なんだ。『健康診断』の事といい、知識チート……じゃなく、相当に高度な世界からの転移者みたいだなぁ」



別に、ラルを避けているわけではない……とは思いたいラルではあるが。

ローサは、リーヴァのすぐ隣に座ったかと思うと、その反対側に詰めるようにして座ったラルを取り立てて気にかける事もなく、ラルが知っていそうで知らない、会話に混ざりたくても混ざれなさそうな話題を始めてしまう。


それでも何とか参加してる気分に、とばかりに。

相槌打ったりふむふむ言っているラルがおかしかったのか、リーヴァは堪えきれずにくすりと笑みをこぼして。



「転移者……ですか。昔からこの世界には異世界からの来訪者は一定数いたと聞き及んでいますが、その様子ですと異世界は複数あるのですか? さ、ローサさんとラル様は同郷だと聞いておりますけれど」

「異世界は故郷やこの世界に限らず結構たくさんあるんですよ。これでもいろんな世界を渡り歩いたものです。あ、でもローサさんとは同郷なのですけど、厳密に言えば違うと言うか……簡単に言えばお互いこの世界における自分って事になるんだと思います」



ローサになったら急に距離が近くなって戸惑っていて、どう対応したらいいのか分からなくなっているだけだからと。

気を利かせてリーヴァがラルにも話を振ると。


待ってました、とばかりに。

仮面の下でドヤ顔を浮かべているのがよく分かる調子でラルは得意げに答え出す。



改めて確認しなくとも分かっていた事ではあるけれど。

文字通り人智を超えた美しさと存在感を持つラルではあるが、そんな様子は実に等身大な、一人の幼き少女らしくもあって。

あまりの親しさテンパっていてもどうなるわけじゃないなと、ローサは大きく一つ息を吐いて。



「そうだなぁ。何て言えばいいのか。ラル様が故郷って言ってる世界にいたことがあるわけじゃないし。会ったのもこの世界が初めてではあるんだけど、その世界をふるさとだって、ラル様と同郷で仲良くしてもらてたって記憶はあったりするんだよね。前世の……ってわけでもないと思うんだけど、これも慣れろってことなんだろうなぁ」



そこでようやくローサは、少しだけラルの方へと向き直ってぎこちない笑みを浮かべてみせる。

後半のぼやきは小さすぎてラルには届いていないようだったけれど。

何だかよく分からないままに、ちょっぴり避けられているような気がしなくもなかったけど、気のせいだったというか何だか照れた様子でそれでも笑ってくれたから。



やっぱり、そんな彼女の笑顔が好きなんだなぁって。

思えば幾多の異世界へと彷徨い歩いてきたけれど。

ひょっとしなくても、『彼』以上に『彼女』のそんな笑顔を見るために冒険をして来たんだなぁってしみじみ思い起こされて。




「そう言えばここじゃない異世界でも、魔法学校に通ったりもしたなぁ。ローサが先輩だったっけ」

「……言っておくけど、女物の制服とか、間違ったって着ないからな」

「ええー。がっこ、学校のルールは守らなきゃ駄目でしょ」

「その通りですわね。ここから『ブラシュ』へ向かうには学園生のみが入る事のできる私有地ヘ足を踏み入れる必要がありますし、わたくしたちは短期留学生の扱いを受ける事になるはずですから、こんな事もあろうかと人数分制服の用意をお願いしてありますわ」

「くっ、こんな事もあろうかって。戻るに戻れないじゃないか……」



油断するとすぐに素の口調になるラルの、実に嬉しそうな言葉とリーヴァの便乗、悪乗りに。

もしかしなくても、元の姿に戻ってなくてよかったのかも、なんて。

ローサはしみじみ思わずにはいられなくて……。



    (第66話につづく)










次回は、4月27日更新予定です。

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