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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第64話、親友だから、言葉はいらないっていいわけして




SIDE:ラル



ラルは、『学園都市ヴァレンティア』へ向かう道すがら。

自身がしでかしてしまった……『ブラシュ』のその後がどうしても気になってしまって。


強制的に返還させられてもへその一つも曲げる事のない、使い魔の鏡のようなリルに申し訳なく思いつつも頼み込んで。

空を舞う事のできる、この世界に来たばかりに出番があっていらい全く喚ばれる事がなかった『フェニック・バード』のニクスの力も借りて(むしろリルばかりにかまけていたというか、出番があったせいか、ニクスだけでなくラルが主に召喚する3体の使い魔のうちの最後の一匹である、『アース・ドラヘッド』のドグモの方が、忘れ去られてしまったのではないかと拗ねてしまっていて宥めるのに大変であったくらいで)、再度先行、偵察をお願いしていたわけだが。



何だかんだ言いつつも一昼夜休む事なく移動してもらった後。

例のごとくリルの視点を借りて、見たものは。

以前にローサと来た時のような草木も眠る夜更けでなかったせいもあるのだろうが。

ラル自身、リルから伝わってくるそれが信じられないくらいには、何事もなかったかのように水の都と呼ばれた地で暮らす人々の平和な生活風景で。



ラルがその時思ったのは。

【デルカムラ・レイバック】と言う魔法の、すべてをなかった事にし、還していくといった実に曖昧ながら壮大な効果が、勢い余ってまるで時間逆行でもしてしまったかのように、『ブラシュ』の国へ影響を与えてしまったのか……なんてことで。



恐らくは闇の一族の者達に支配されかかっていた『ブラシュ』の国が、本来のあるべき姿に戻ったのならば。

雨降って地固まるではないが、ラルの力が余り過ぎによる仕出かしも、自分自身で許せるというか、たまには役に立つものだと納得する所ではあるのだが。



そうなってくると、国の危機にたった一人で国外へあてもなく逃亡することとなったアイの立ち位置がどうなるのかが、一番の憂う所で。

アイのことを『ブラシュ』の国から逃がした人、アイと深い関係にある人がきっとアイの行く末を案じている事であろうと。

とにもかくにも、まずはアイのことを知っている人のことを探そうと思い至り、早速リルにそんな指示を伝えたわけだが。



変わらぬ日々を過ごす、一般の人々はともかくとして。

城に住まう、闇の者達に召喚の生贄としてとらわれていた貴族、王族と呼べるような人々は、何もかもがなかったことに、と言う訳にはいかなかったらしい。


リルと言うよりもローサの魔法により生贄の呪縛から逃れる事となった者達の中には、彼女の事を覚えている者もいて。

そんな、『ブラシュ』の国を救った英雄の関係者というか、むしろ結果論とは言え救う事となった当人であると知られてしまったらさぁ大変。


いかにもな魔物な見た目に警戒されたのすら、ほんの一瞬のことで。

国を上げて、諸手の歓迎という名目で捕まってしまいそうになったところで。

そういうのは苦手というか、国を救った自覚なんぞまったくもってないリル、というかラルは、あっさりとその場からの逃亡、離脱を選択してしまっていて。


アイの事を心配しているだろう人たちを見つけられずに帰ってきてしまった事に気づかされたのもその瞬間で。


でも、それでも。

そんなアイの事を想う人々が、王族に連なる者らしい事が分かっただけでも、収穫と言えば収穫であろうか。



―――アイを連れてくるから待っていて欲しいと。


サーロヴォイスでまるで捨て台詞かのように、逃げ出す理由付けしたことで、とりあえずは納得してもらえたんじゃなかろうかと。

ラルは実に自分勝手に、そんな自己完結をしていて。




(……元はと言えばサーロ、ローサちゃんのお手柄なんだし、すべてをお任せしたいところだけど、そうもいかないよなぁ)



学園都市ヴァレンティアへ向かう道中も、こんな時に限って何問題起こる事なく、実に順調に過ぎる道行きで。

当の学園都市も、最早目と鼻の先、である。


言い訳を内心でしつつ、伸ばしに引き伸ばそうとしたが。

相談もせずに独断でリルたちを先行させたことに加え、ろくに有用な情報を得られないで戻ってきてしまうといった負い目もあって、ラルの中でもいよいよ誤魔化しきれなくなっていた。


ローサが『ブラシュ』のその後がどうなったのか知りたいと思うのは当然の事であろう。

ちょうどそのタイミングで、ローサが常に纏わせ揺蕩わせている【ヴァーレスト】の魔力……獣型以下の微精霊の行動を活発化させたかと思うと。

馬車の外、幌の上に登ったのが分かったので、このタイミングしかないだろう、とばかりにラルもそこへ追随する事にしたわけだが。



結局ラルは。

ここに来ても肝心なことをひとつも話す事ができないのだった。


それもこれも、ふと目を離せばすぐどこかに消えてしまうくせに。

ラルの心の中に居座って離れない『親友』の、在りし日の姿を幻視してしまったからで……。



      (第65話につづく)







次回は、4月24日更新予定です。

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