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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第62話、随分とまぁ、嬉しそうに自慢げに語るものだから




SIDE:ローサ(inサーロ)




『ウエンピ』の街へ来たばかりの頃は、予想すらしていかなったけれど。

ラル様率いる俺たち一行は、グレアムさんを中心に、村から街と化したみなさんの、まるで魔王退治にでも行くみたいな(もうすでに成し遂げてしまったかもしれないと言う意味では正しいのかもしれない)大仰なお見送りを受けて。

学園魔法都市、『ヴァレンティア』へ出発することとなった。



一応の名目上としては、街の代表であるグレアムさんの妻とその娘が『ヴァレンティア』にいて。

もう一人の娘であるノアレさんを、彼女らの元まで護衛し連れて行く、と言う事になってはいるのだが。


この街ではウィンドウショッピングという名の冷やかしをしたくらいで、特に目立った行動をしていたわけでもなかったのに。

仮面越しでもどうしたってバレバレな滲み出るやんごとなきオーラというか、正しく勇あるもののごときカリスマ性めいたものが街の人々にしっかり伝わってしまったらしく。


栄光への旅立ち、物語の始まりの一幕のごとく。

やんやの喝采の中、俺なんかは普段の俺じゃないこともあって、いつもと違うような気もする視線に耐えられず、縮こまるようにしてグレアムさんにこれまた申し訳なくも旅のお供にと借り受けた豪奢な馬車の中に逃げ込んでいたけれど。


御者の経験もあるらしいリーヴァさんや、グレアムさんの、街の代表の娘であるノアレさんはともかくとして。

仮面をつけたまま素顔を晒せないシャイガールな割に、目立つ事に対して何とも思っていないらしく。

そんな二人と一緒になって御者席に座り、恐らくは素敵な笑顔を浮かべつつ手なんか振っているラルちゃんを目の当たりにして、やっぱりそう言う事にも慣れているというか、モブな俺とは育ちも立ち位置も違うんだろうなぁって、感心しきりだったわけだけど。




「ノアレさんってある意味生まれたばかり、なんですよね? グレアムさんが自慢してたのかな。みんな手を振ってる。人気者じゃないですか」

「……まぁ、父様ならばそういった行動モ否定できマセンが。生まれながらにシテ上に立つものトハ、存外それくらいでなケレバならないのかもシレませんネ」

「成る程。あまりに慣れすぎていて当たり前で、気づきようもないということですか」

「……?」




幌越しに聴こえてくる御者席三人のやりとり。

内にいるメンバーは、俺も含めて必然的に何語るでもなくそんなやりとりに聞き耳を立てていたわけだけど。


そんな俺が思っていた通りというか、どうやらラルちゃんは更にその上を行くらしい。

会ってすぐに薄々は気づいていたけど。

ラルちゃんはその、見た目容姿に留まらず溢れ出てどうしようもない存在感のようなものにまったくもって気づいてないようで。



「マスターに対シテ不躾な質問カモしれませんが、そうであるならば何故マスターは素顔を隠すのデス? あまりの美貌に虜にナル者達が後をタタナイからですかネ?」

「……え? えーっと。いきなり何を言い出すかと思えば、そんな事あるわけないだ……ですって。これはその、恥ずかしいというか、いやそれだけじゃなくてさ。癖のようなものなんだよね。始まりはその、夜に冒険に出ることが多くて。外に出たいのならば、仮面とマントが様式美だよって言われたのもあるんだけど……」



俺も前から聞きたかったことを、このタイミングならばとばかりに。

少しずつ言葉が流暢になってきている気がしなくもないノアレさんが問いかけると。

僅かばかり畏まる口調も忘れて、いきなり褒められた事に動揺していた部分もあったのか。

結構饒舌に、仮面とマントを基本装備にしている理由を語りだす。




「ふむ。様式美、ですか。よくよく拝見させてもらえればマントも仮面も魔法がかかって……魔道具のようですけれど」

「あ、うん。マントの方は【ヴァーレスト】の魔法がかけられているんです。動きが良くなったり身かわしやすくなったり、【ヴァーレスト】の魔力が強い場所であるなら、風を掴んである程度飛べたりもできるんですよ。それで、ええと。仮面の方はお、私の背が低いのが冒険したり依頼を受ける時に印象が悪くなるかもしれないって、一般的な大人程の背丈に見える……いわゆる認識阻害の魔法と、それに加えて【ヴァーレスト】の魔法から派生した音魔法によって、いろんな人の声を出すことができるんです。……『ほら。こんな風にね』」



最後の締めとばかりに。

何故かというか、もしかしなくてもやっぱり申し訳なくもお気に入りであるのか、俺の声が聞こえてくるものだから。

意味もなく一緒になって聞き耳をたてていたアイちゃんとイゼリちゃんがびくっとなった後、何とも生暖かいによによ顔でこちらを見つめてくるのがいたたまれなかったけれど。




そこまで聞いて今更ながら分かったことは。


観衆に手を振る事に慣れすぎ、だけど簡単には外に出る事ができなかったらしいラルちゃんが。

もしかしなくても、ラルちゃんの故郷のオリジナルを含めその周りにいるお節介者たちに。

随分とまぁ、過保護に守られていたんだろうなぁ、なんてことで……。



    (第63話につづく)









次回は、4月18日更新予定です。

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