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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第58話、本当は再会のハグをしたいくらいだったのに



SIDE:ラル



「……はっ。ゆ、夢じゃないよ、な? くぅぅっ。またやってしまった……」



それもこれも、全ては『おぷしょん』化していて力が出ない、色々と足りていない弊害にできたのならどれだけよかったか。


ラルは、自身の取って置きの魔法を、この世界に来て初めて発動したわけだが。

思っていた以上にやりすぎてしまったと言うか、力が落ちていて更にリル越しに扱ったのに。

そんな可哀想にすぎるリルごと跡形もなく吹っ飛ばしてしまた結果が。

部屋の外にてアイが呼びかけているにも関わらず、気づけないでいるくらいに。

こうして宛てがわれた寝室での呆然自失であって。




「あいつ絡みのこととなると、どうにもだめだめだなぁ」


ぼやきつつも内心で言い訳をするのならば。

故郷でも、数々の世界においても、我を忘れて失敗するだなんて、それこそ数えるくらいしかなかったのだ。

そう言う数少ない時に限って、必ずと言っていいくらいには彼の存在が近くにあったもので。



あの時あの瞬間。

十中八九彼の関係者である【ヴァーレスト】の魔精霊な彼女の存在がどこにもない事に気づかされて。

ろくに確認もしないままに、最悪の想像をしてしまって。

それと同時に、生まれながらにしての救うものの血が騒ぐ、世界を揺るがしかねない存在を感知してしまったから。


結果だけで言えば『そんな場合じゃないんだよ、さっさとどっかいけ』なんて台詞が似合う、八つ当たりめいた癇癪を起こしてしまったわけで。

当の、問題のありそうな存在は、そのまま突き返し送り還した感覚はあったのだけど。


よくよく見なくても、お城の玄関口とも言うべき場所で。

夜更けとはいえ、魔法の着弾点に人がいたのは確かで。

【デルカムラ】の中でも攻撃性が皆無であるものを咄嗟に選んだのだけがせめてもの幸いではあるが。



あるべき姿に還す……なかったことにする、などとも言われる厳密な効果はラル自身もよく分かっていないその魔法が。

残っていた人々や、その場所にどんな影響を与えるのか、未知数であって。


早々に確認しにいかなければまずそうだなと思い立って。

そこで改めて思い出したのは、あの場所まで連れて行ってもらった、【ヴァーレスト】の魔精霊の彼女の事である。



「そうだよっ、彼女、探しにいかないとっ」


ラルは、可愛らしすぎるから嫌だ嫌だと拒否してはいたけれど。

可愛くてあらゆる耐性を持つ素敵な夜着だからと。

猫が好きすぎて運命の相手が猫に変身できるくらいには猫好きな姉に進められて渋々受け取った寝巻きを着ている事も、いつもならば外出時に装備するはずの魔法の仮面の事もすっかり忘れて部屋を飛び出す。



あの場にいなかった事だけは間違いなかった。

であるならばまずは、サーロに話を聞けば、何か分かるんじゃなかろうか。

そう思っての着の身着のままダッシュであったが。



どうやら、あちらも探していたらしい。

サーロに聞きにいくまでもなく、何故かアイを引き連れて、あの時とは違いやはり見覚えのある……白金髪碧眼の色付きな彼女がやってくるではないか。





「ラルさまっ。だいじょうぶなのっ?」

「わわっ、急にどうした……どうしたんですか?」

「だって、ラルさまっ、お部屋にいっても返事がないからっ、心配したのっ」

「え? あ、そうだったんですか。すいません。寝てたわけじゃないんですけど、気づけなくて」



しかしその前に、先行していたアイがそのままの勢いをもってラルに飛び込んでくる。

ふかふかでもこもこで気持ちが良かったのか、そのまま胸元でぐりぐりしているのを苦笑しあやすように受け入れつつ。

もしも、アイがそうして駆け寄って抱きついてくれなければ。

ヴァーレスト】の魔精霊の少女に再会できたことに感極まって抱きつきに行っていたのは自分の方だったかもしれないな、なんて。

ちょっぴり恥ずかしい思いになりつつも、ラルは少女と視線をかわし、何とはなしに安堵し笑い合う。



「えっと、リルさんはラルちゃ……さんの使い魔だよね? ごめん、ちょっと調子に乗って先に返ってきちゃったんだ」

「あ、ええと。確かにそうですけど。あなたが謝ることじゃありませんよ。実は私もやらかしてしまいまして」



そしてそのまま、ほとんど同じタイミングでペコペコ頭を下げ合って。

不意にアイの預かり知らぬ話題で盛り上がり出すものだから、それに拗ねてぷくっと膨れるアイが何だかおかしくて。



「ああ、うん。アイちゃんにも関係していることだから。ここじゃあれだし、どこか落ち着ける場所に行こうか」

「そうですね。それじゃあ私が借りている部屋にでも。……あ、でもその前に」

「そのまえに?」

「今更ではあるんですが、お名前をお伺いしていなかったな、と」

「あー。そう言えばそうだったっけ」

「……?」



あの後どうなったのか、『ブラシュ』の街へと向かいたいところだったけど。

まずは、肝心な事をとラルが問いかければ。


不思議そうに首をかしげるアイと。

どうしようかなと、いっそう悩み込み苦笑深めていたのが、何だか印象的で……。



       (第59話につづく)








次回は、4月5日更新予定です。

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