表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/116

第49話、風と火の相性は、全ての中で一番だってのたまって



SIDE:ラル



「りかばっ」

「スライムっ、くらげっ!? って、ちょっとまてぇい! 言うに事欠いてその声はなんなんだよぉっ」

(……っ!?)



恐らくリルは、ラルにも目の前の透けた少女にもその存在をアピールせんと更に声を発したのだろう。

しかしその声があの男……よりにもよってサーロのものであったから(リルにはいくつもの声を覚えさせていたはずなのだが、何故ここでその声をチョイスしたかは謎である)。

再びラルだけでなく、目前の少女も精霊とは思えないような人らしいリアクションでびびくっとなって跳ね上がっていた。

 

と言うより、どこかで見聞きしたことのある(全力で自身を棚に上げている)蓮っ葉なその声は。

声質こそ見た目にあった可愛らしいものなのだが、まるで自身の神秘的なほどに美しい見た目と全然あっていなくて。

その自覚がきっと、全くないんだろうな(やっぱりそのままラル自身に返ってくる)などとラルが思っていると。


びくびくと怯えた素振りをしていた割には、リルの声にラルにも負けないくらいに思うところがあったらしく、猛然とこちらへ向かってくる。




(……うぉっ。やっぱり美人さん。っていうか、よくよく見ると見覚えがあるな、この娘)


あまりに無防備に無遠慮に近づいてくるものだから、リルの視点を借りている状態のラルにとってみれば逃げ場もなく追い詰められたにも等しかったが。

おかげで彼女の顔かたちがよりはっきり分かるようになり、彼女とどこかで……少なくともこの世界ではないどこかで見たことがあることに気づかされる。



(ふむ。あいつの中にいるもう一つの人格の子、かなぁ。あいつと一緒でいろんな世界に出てくるから、確証は持てないけど……)



ラル自身が使命からの逃避行動に移った時に、それじゃあ自分が代わりになるよ、とばかりに現れたのが最初の出会いである。

であるからこそ、サーロの声に大きな反応をしたのかな、なんて思っていると。


あろうことか彼女は額も触れよ、というくらいの近さで。

リルのふにゃふにゃほっぺをぐにょんと思い切り引っ張ったではないか。

 


「お前どこの子だよっ、グレアムさんちの魔精霊じゃないよな? ってか随分といかした声してるじゃんよ」

「り、にゅかっ……」


やはり無防備に過ぎるというか、同じ魔精霊であるからなのか、反撃などされるはずはないと、心から思ってそうな態度である。

ラルとしては、以外にリルの触手攻撃は侮れないんだけどなと、少なからずはらはらしてはいたが。

リルも彼女が自身を害することはないと分かっていたのか、気の抜ける声を発しつつされるがままになっている。


これが、【ルフローズ・レッキーノ】や、【ウルガヴ】の魔精霊であったのならばそうはいかなかっただろう。

相性のいい【ヴァーレスト】の魔精霊であるからこその、微笑ましい光景で。


 

「スライムっぽいけどこの感じは【カムラル】の魔力か? 珍しいっていうか、ラルちゃんぽいな」

(っ!? やっぱりオレのこと、知ってる? あいつの関係者か?)


遠慮知らずにむにむにしながらのその言葉から判断するに、まさかリルのつぶらな瞳の向こうに当の本人が見ているなどとは気づいていないようであったが。

この感じだと、十中八九サーロの肝いりで、彼女はここにいるのだろう。


恐らく、目的もラルと同じはずで。

だけど、このまま指示なしだと本来の目的も忘れてムニムニし続けそうな勢いであったので。

実はお互いがその瞳の向こうにいるという事実に気づかないままで、ラルはすぐさまリルに指示を出す。


 

(リル、多分彼女はオレたちと目的一緒だから、一緒に行こうって誘ってみて、あと一応名前も聞いておこう)

「りかっ!」

「うおぉっ、な、なんだよ。急に声上げるなって、慣れてないんだからびっくりするだろ」


リルはラルの支持に対し、了承……とばかりに返事をしただけでそんなつもりではなかったわけだが。

調子に乗ってムニムニしすぎたから怒られたのかと思ったらしい。

微風をまとってびくつきつつ間を取った彼女に、今のうち、とばかりにリルは改めて声を上げる。

 

 

「……ンンッ、ええと、改めましておれ様はリル。風も歌うかわいこちゃん、お名前は? せっかくだから夜の散策、一緒しなーい?」

(って、おいぃっ!? 何言っちゃってんのっ)

「やっ、しーっ! その声でこんな夜更けになんて小っ恥ずかしいことを! やめろって、くのっ、くのっ!」

「しゅなーいっ……」


ほぼ同じタイミングで、似たようなリアクション。

実の所相当似た者同士なのではないかね、などとリルが思ったかどうかはともかく。

 

もしかしたらその突然のリルの言葉、パフォーマンスは。

主であるラルの夜が明ける前に急がなくてはといった、希望要望に応えた形、なのかもしれない。

 


結局その場では名前は聞けなかったけれど。

とりあえずは、何だかとってもテンパって身震いしている彼女の腕に抱えられる形で。

リル(の中のラル)は、ようやっと本来の目的、『ブラシュ』へ向かう事になるのだった……。


SIDEOUT



      (第50話につづく)








次回は、3月8日更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ