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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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20/116

第20話、ニューゲームだけれど、強いどころか弱体化していることには気づけない



SIDE:ラル



ラルを終わらせた、会いたくない人物。

そんな人物と魂の色を同じくし、おそらくはこの世界へ逃げてきていたラルの事情を把握し、捕まえんとしているだろう男、サーロ。


この世界で最初に会った、物語を紡ぐだろう主役ヒロインの一人、アイを盾にしてラルの事を待ち構えていたその男に対し、どう当たるべきか。

ラルがその事に対し答えを出すよりも早く、事態……物語は動き出していた。



囚われの身から解放され、故郷へ帰るというアイを置いて、サーロがどこかに姿をくらませてしまったのだ。

その代わりに、アイとともに捕まっていた金髪ポニーテールの冒険者の少女……イゼリが帰路をともにしてくれる事になったのだが。

内心では絶好のタイミングでいなくなったサーロに、解せない気持ちが大きいラルである。




……今までなら、何があっても自分に関わってきたはずなのに。

裏腹に、どこか消沈している自分を誤魔化すようにして、ラルはアイとともにイゼリからこの世界の事から始まって、旅の途中、様々なおしゃべりをする事となった。



その際、異世界から来た事に対し、当たり前のように受け入れているアイやイゼリについて疑問に思うべきであったのに。

ラルは二人との会話が楽しくて、その事に気づくことはなかった。


もとより、そういった事……あるいはイゼリの正体について、目ざとく気づく方であったラルが、

その事に対して考えも及ばなかったのは、元世界での彼女とラルとしての今の彼女が、同じようでいて違うということを自身で理解していなかったせいもあるだろう。


まぁ、馬車内道中にて気づかずに健やかなる時間を過ごせたのだから、逆によかったのかもしれないが……。




そんな中馬車は進み、宿を取るために立ち寄ったかつてはウエンピの村と呼ばれていた、今や街といっても差し支えない場所へ辿り着いた時。

イゼリに対する街の人々の反応と、ラル達に対するイゼリの態度が変わってきている事に、ラルは気づき始めていた。


イゼリは、この街では有名人なのだろうか。

勘が鈍っている事は否めないラルではあるが、イゼリを見る街の視線が、いいもの悪いものこもごもであったのは確かで。


イゼリもそれに気づいていたのだろう。

あからさまにラル達と離れようとしていたし、アイもそれに気づいた上で買い物をしたいと声を上げたのかもしれない。

ラルとしても、この街の特産品らしいよく効く魔法薬等が気になっていたので、とりあえずはアイについてこの世界において初めての買い物を楽しむ事にしたわけだが。



ラル自身、魔法使いとして生きていく事を定められた、今くらいの見た目の小さい頃から。

運命さだめとは別に、ずっと抱いていた夢があった。


ものを買い、売り、作り、材料を求めては冒険を、とびっきりのアイテムを届けるための旅路を。

物心着く頃から、既に抱いていたのだ。



商人でありながら生産者であり冒険家。

それはいずれ、一つの場所から動けずに、世界の礎……人柱となることを決定づけられた彼女の、叶わぬ夢の域を出ない我が儘と言えたが。

独り立ちできる頃には、それら全てを隣でともに歩んでくれる人の存在を夢想したもので。





(全て終わったって、思ってたのになぁ)


まさか親切にも続きがあるだなんて、思いもよらなかった。

せっかくもらった異世界での夢の続き。

もっともっと、このおまけを楽しんでも罰は当たらないはず。


(まずは、この街が町ぐるみでかくしてる事、見つけちゃおう)


この街にはイゼリに絡んで何かある。

それを暴く事は、この街にしてみたら、迷惑この上ない事なのかもしれない。


だけど、我が儘なラルはそれを知りたいと思っている。

言ってみればただの興味本位。

何か事件が絡んでいると、ラルの勘が告げている。


もしかしたら、あの故郷を思わせるサーロが、突然離れて行ってしまった理由すらわかるかもしれない。


どこか飛躍しつつも、あながち外れてもいない思いのまま。

ラルはアイに手を引かれる形で、目に付いた魔法道具店へと足を踏み入れたのだった……。



     (第21話につづく)








次回は、12月11日更新予定です。

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