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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2部 福岡編 第5章 新天地
96/150

4月2日(月)   ま1

 昨日は瀬々串専務、学習教材担当の河浦、一番若手の柿本の三人のおかげで新居への積み込みがあっという間に終わった。トラックの運転手二人もいたので、男手が五人もあった訳である。


 紫は二日酔いでヘロヘロになりながらも、家具の置き場を指示したり、食器などのすぐに使うモノの荷解きをしたりしていた。稲森美和は紫の作業を手伝う。


 彼女はお酒に強いのか、けろっとしていた。紫は今度から美和と酒を飲む時は彼女のペースに合わせないように気をつけようと思った。


 昼過ぎには全てが終わった後、紫は手伝ってもらったお礼に引っ越しそばと寿司を振る舞う準備をした。そうは言っても、店選びと電話連絡は美和に全てお任せした。


 その方が間違いないだろうと思ったからだ。紫はお金を出そうとしたら、専務が引っ越し祝いだと言って、有無を言わずにお金を払ってしまった。紫は恐縮しきりである。


 引っ越し祝いを兼ねた昼食会も終わると、ようやくトラックの運転手二人、専務、河浦、柿本が帰って行った。紫は深々と頭を下げて、男性陣を見送る。


 美和は食事の片付けと食器洗いをしてくれていた。彼女は酒に強いだけでなく、女性力も結構高いようである。実にすばらしいことである。任せっぱなしではいけないので、紫もすぐに手伝いに入る。


「美和ちゃん、昨日から本当にありがとう〜」


「いいのよ。これぐらいお安いご用よ!」


 美和がスポンジでゴシゴシこすっていたので、紫は食器を濯ぐことにした。それにしても、まだ慣れない台所に二人で並んで食器洗いをすることになろうとは思ってもいなかった。美和はきっと素敵な嫁さんになるだろう。


「私、美和ちゃんと結婚しようかな…」


「じゃあ、今日から一緒に暮らす? せっかく新居を借りたのにもったいないでしょう?」


「美和ちゃん、彼氏いるの?」


「それがいないのよ。紫ちゃんは?」


 紫は首をふりながら手を動かす。ようやく、食器も洗い終わったので、美和を丁重に見送った。

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