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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第4章 再生
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3月11日(日)  〒3

 さすがは高校の先生である。もう還暦を過ぎていると言うのに…、未だに十代の情報に詳しいとは大したものである。三十を過ぎたばかりの紫には、もはや十代が何を好み、何を嫌っているかなんか全く分からないと言うのに…。


 二人で作った春野菜のグラタン、ちらし寿司、あさりのみそ汁を食べながら、母から最近の高校生事情について、いろいろ聞かされたのであった。さすがに昼前からずっと話し続けていれば、紫に関する話題も尽きる。もちろん、母に関する話題はとうの昔に尽きていた。


 ご飯の片付けが終わると、紫は早々に家に帰ることにした。明日は月曜だし、もう話題が尽きているのにダラダラしていても仕方ないと思ったのである。


 帰りの電車に乗りながら、あと五日どうしようかと考えていた。十六日は退職者・出向者を集めての社長からの訓示、全体での最終引き継ぎ確認、各部署での送別会があるため、全社員が必ず集まる事になっている。


 しかし、それ以外の日は引き継ぎや身辺整理がきちんと済んでさえいれば、有休消化日に充ててよい事になっていた。紫はあと十二日間残っており、今週もあと三日休める計算であった。


 引き継ぎはもうすでに終わっているし、身辺整理が早く終われば、有休使ってから早めに家の片付けを始めようかと思案していた。西仙石駅に着いてからも自転車で家に向かいながら、紫はあれこれ考え続けていた。

 帰ってからテレビをつけると、東日本大震災からちょうど一年と言う事もあり、ずっと特集があっていた。実家では全くテレビをつけなかったので、うっかりしていた。東京もあれだけ激しく揺れたと言うのに…。紫は未曾有の大災害である三・一一への危機感や記憶が薄れつつある事を猛省するのであった。

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