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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第4章 再生
83/150

3月11日(日)  〒2

「グラタンは下ごしらえが大切よ。しっかりとホワイトクリームを作って、それと一緒にタケノコとつくしとかの入れる野菜、肉とかを煮込むと具材に味がしみ込んでおいしいのよ。もし、時間がない時は、シチュールーを使うと時間短縮ができるから…」


「へえ、料理って、奥が深いね…」


「そうよ。料理は人生と同じ。要点さえ、うまく押さえれば、誰でも簡単においしい料理ができる。また、とことんこだわりたいなら、とことん具材とか、作る物とかにこだわる事ができるのも、人生と全く同じ。だから、料理をすることで自分とも向き合う事ができる」


「なるほどね…。だから、この前と違って、自分にとって都合の悪い事を抵抗無くさらけ出せたのかな…」


「そうかもね。今度、職員会議で料理カウンセリングを提案してみようかな…」


 母は冗談とも本気ともとれるようなことを言いながらも、適切なアドバイスを紫に与えるのであった。やっぱり、亀の甲よりも年の功である。


 もう、エスペランサ出版に出社するのも今週で終わる。社会保険関連業務の引き継ぎも無事に終わり、今週は机の異動や身辺整理に追われる事になる。十六日の金曜には総務課の送別会があり、十九日からは新総務班が事実上スタートする事になる。


 どう言う訳か、最後の最後で親友の久留米陽美ともケンカをしてしまった。確かにあれは陽美が悪い。おせっかいにも程がある。しかし、紫自身もかなり大人気なかった。


 カフェ・ボニータへ行った翌日の九日は職場では隣の机にいる陽美と必要最小限のやり取り以外、一言も話さなかった。まあ、引き継ぎで忙しかったのもあるけど、昼食も一緒に食べなかった。


 陽美は結婚相手と外で食べると行ったので、珍しく大泉と食べた。彼は彼で新体制のことで頭が一杯のようだ。最近は写経もできないとぼやいていた。


「そう言えば、紫、最近ワンピースにはまっているんでしょう?」


「うん、あれは面白いよ」


「そうよね。母さんも生徒がマンガ持ち込み禁止なのに、学校に持ってきていた奴がいたから、没収したのをちょっとだけ読んでみたんだけど、面白くてね…。あれに十代がはまるのも分かるよ…」


「ちゃんと本返した?」


「もちろん。もう二度と学校に持って来るな!…と言い渡して、放課後に返したよ」


「最近の高校生はどんな本を読んでいるの?」


「小説だと八日目の蝉とか、もしドラとかが人気かな…。マンガだとやっぱりワンピースかな…。あと、NARUTOとかでしょう。女子の間では、GEってマンガと、君のいる町ってマンガが人気って聞いたよ。最近の週刊少年マガジンは女子向けの内容のマンガもあるらしいね」

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