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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2章 変化
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2月26日(日) →2

 紫は稲森の心遣いが本当に嬉しかった。稲森と同じように、紫にとっても稲森はたった一人の女性社員の仲間であり、先輩である。年齢は紫が上だが、ビオランテ出版では稲森の方が先輩だ。エスペランサ出版の総務課でたくさんの女性と仕事した時と全く環境が異なる。同じ女性として頼れる人は、今や稲森しかいない。


 車の中での稲森との会話に紫はどんどん引き込まれていく。初めて、二人で天神のスイーツ店を取材に行った時から大きな安心感があった。稲森の存在が見慣れぬ土地での不安を消し、新しい生活への期待を膨らませてくれる。


「さあ、着きましたよ。紫さん、行きましょう」


「ありがとう…」


 二人は「賃貸のプレスタール春日山」に着いた。ぱっと見、不動産屋っぽくない名前である。しかし、中には立派な不動産屋であった。社長の春日山が直々に紫のために新居候補をいくつか提案した。


 紫は一応、事前に福岡の相場を調べていたので、三万円台ならワンルームでそれなりにいい所があることを知っていた。福岡は東京に比べて、アパート、マンションの相場がとても安い。紫はそのことに驚くとともに、改めて福岡のよさを思い知った。


 春日山は紫の希望通りの物件を新たに出してきた。それを稲森と一緒に見ながら、一つずつチェックしていく。やはり、地元に住んでいる人のアドバイスはありがたい。


 そこは大きな道路があって夜中うるさいとか、そこはおいしい定食屋の近くとか、春日山も知らないような情報をたくさん教えてくれた。


 いろいろ資料を見た末に、二つの物件に絞り込んだ。どちらも稲森の家の近くで、何かあった時に頼れるのがありがたい。そして、二つの物件を春日山の案内の元、下見をしに行くことになった。


 一つは福岡大学の正門近くにある五階建てマンション、もう一つは地下鉄七隈駅の目の前にある三階建てのアパートである。マンションとアパートと名前が違うだけで、どちらもワンルームで外装も中身も変わらなかった。違うのはマンションの方はフローリング、アパートの方は畳であることだ。

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