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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第7章 紫のその後
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8月13日(月)①

 ようやく、お盆休みに入った。これまでの人生に嫌気がさして、心機一転、東京にあるエスペランサ出版から福岡にあるビオランテ出版へ転籍と言う形で転職をした。


 新天地へ行けば、あらゆる苦悩から解放され、穏やかな気持ちを取り戻して出版の仕事に関われると思っていた。しかし、転職した矢先にいきなり七島前社長の解任動議に巻き込まれる。


 しかも、紫が企画したレーシック特集がきっかけに利用された。瀬々串社長一派の権力争いにまんまと利用されたようなものだ。まあ、どこへ行こうとも、人が集まり会社や組織を作る以上、権力争いから逃れられないと言う事か…。


 さらに、エスペランサ出版から前任の総務主任・井出と同じようにやってきた紫の後を追うように、エスペランサ出版の前人事部長の沢木も瀬々串の後任専務として六月より入社して来た。


 エスペランサ出版にいた時は平社員と人事部長の関係であったので、接点はほぼ無かった。唯一あったのが、リストラによる面接でビオランテ出版への転籍を決めた時くらいである。


 かつての人事部長が専務として、直属の上司として関わる事になった。紫が総務主任をやっている以上、沢木専務と関わる事無く仕事する事はできない。


 それにしても、沢木がバリバリの博多弁で話すのを初めて聞いた時は、本当にびっくりした。まあ、もともと福岡出身だから普通に話せて当たり前だろうけど…。東京で働いていた時は普通に共通語で話していただけに、ギャップがすごかった。


 沢木が来てから、瀬々串も安心して社長業に専念できるようだ。それにしても、いくら提携関係にあるとは言え、よその会社から来た二人が専務と総務主任と言う重要ポストを占めて、生え抜きの人々は何とも思わないのだろうか? ちょっとうかつには聞けないけど、いつか聞いてみたいものだ。


 生え抜きの人たちは現場の仕事が好きだから、管理部門をやってくれる人が来てくれて良かったと思っているのだろうか? それとも実は快く思っていないのだろうか? 一日も早く、そんなことさえも気軽に聞けるような間柄になりたいものだ。


 そんな間柄になれたとき、紫は胸を張って、ビオランテ出版の一員だと言えるだろう。瀬々串と沢木のツートップは早くも古くからの相棒のように振る舞っている。やっぱり、福岡が地元だから、何不自由無く博多弁を使えるというのがうらやましい。


 よし、まずは博多弁をはやく使いこなせるようになろう。そのためには、こっちで彼氏でもみつけるか…。いや、まずは友達をたくさん作ろう。

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