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戦場帰りの魔法少年  作者: 朝山 みどり


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19/20

19 勝利

「……倒れたぞ」


歓声が爆ぜた。


砂に仰向けになった男を見下ろす。

ぬかるんだ砂が跳ね、びしょ濡れだ。湿った土と血の匂い。いつもの闘技場の匂いだ。


静寂は、一瞬だけだった。


「やれぇぇぇ!」

「焼け! 焼け!」

「とどめだ! 火だ!」


うるさいぞ。


酒臭い声が四方から飛ぶ。串肉の匂いまで流れてくる。


俺は杖を振りかぶった。


場内が沸いた。いいぞ。もっと喚け!


杖の先に火を出す。


「火を出せぇ!」


叫び声が重なる。


火を大きくする。


「いいぞ。やれーー」


俺はおもわず笑った。

あいつらは、焼くかどうかしか見ていない。


俺は口を開く。


「――降参」


小さく、だがはっきりと。審判に向かって。


歓声にかき消される。

それでいい。


審判がぬかるみを踏んで近寄ってくる。


顔が戸惑っている。無理もない。


俺はうなずく。



審判が倒れた男の喉元に手を当てる。生きているのを確認している。


観客がざわめく。


「死んだか?」

「まだだろ?」

「焼いてからだろ普通!」


普通?


俺にとっての普通は、金だ。


審判が立ち上がり、なにか宣言する。


俺は火を更に大きくして声が届かないようにする。


俺は背を向ける。


それでも勝負はついた。


俺がうなずいた時点で、な。


背後ではまだ叫んでいる。


「焼け!」

「次は焼けよ!」

「火だ火!」


次はない。終わってる。


俺は闘技場を出る。


歓声は背中に当たるだけで、意味はない。

あいつらは勝者を見ていない。見世物を見ているだけだ。


倒れた男は生きている。彼は明日、もう一度戦える。


がんばって欲しい。



俺は袖の内にある札を確かめる。そこには、あそこで倒れている彼の名前が記されている。


窓口に向かって歩き出した。


後ろに全部を置いた。前世もジョナサンも、俺はジョンだ。










いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

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