9話 ピラミッドへ
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(9話)
アスカ達は、ピラミッドに到着した。
「ここも隊列は、ライデン、私、ミツキ、エリスの順番で行きましょう。噂では罠が多いと聞くわ。みんな、いつも以上に周囲に警戒して進みましょう」
アスカ達は、中に入った。
すると、入ってすぐ突然床がパカッと開いた。
「え……?」
「きゃーっ!」
アスカ達は、いきなり落とし穴に落ちてしまった。
「いたた……みんな大丈夫?」
「はい……」
「ああ……」
「うん……」
「それにしても暗くて何も見えないわ、ミツキ灯りをつけてくれる?」
「うん……きゃーっ!」
「ミツキ……どうしたの……!?」
「なにこれ……」
アスカは、周囲の状況を見てハッとなった。
周囲には、無数の白骨が覆い尽くしていたのだった。
獣から、人骨と思われるものまであった。
エリスも驚愕している。
「王女様、驚いている場合では無さそうだぞ……」
「ええ……みんな早く身構えて!」
無数の白骨の中から、骸骨の戦士が多数起き上がってきたのだ。
アスカ達は、落とし穴に落ちた時に、全員バラバラに落ちていて全員が敵に囲まれたのだった。
「ちっ!」
「くっ!」
「このっ!」
「きゃあっ!」
ミツキは、目の前の骸骨戦士を魔法で焼くと、左右から攻撃を受け、片方を避けきれず悲鳴を上げた。
「うぅっ!」
「ミツキ!! ライデン、助けに行ける!?」
「ああ! 何とかする!」
「エリス! 戦いながら私達は、合流するわよ!」
「分かりました!」
ライデンは、強引に目の前の骸骨戦士達を蹴散らすと、急いでミツキの救出に向かった。
ミツキは、手傷を負いながらも、防戦していた。
そこへライデンの救援が間に合い、ミツキの周囲の骸骨戦士を蹴散らした。
「大丈夫か!?」
「ラ、ライデンさん……」
「俺が守る! 自らを治療しろ!」
「うん……」
ミツキのおった傷は、決して浅いものでは無かったが、ミツキの魔力の高さもあってみるみるうちに傷が治り回復した。
「ライデンさん! 治ったわ!」
(早いな……)
「よし! 姫達と合流する! 俺が援護するから走れ!」
「うん!」
ライデンが、敵の包囲の一角を崩し、できた包囲の穴をミツキが走り抜けた。
ライデンは、敵の追撃を防ぎつつ、後を追った。
その頃アスカは、聖水で清められたレイピアが、骸骨戦士達に特に有効で、骸骨戦士達を退け、エリスと合流しようと少しずつ近づいていた。
エリスも敵の攻撃を防ぎつつ、的確に反撃し、アスカと合流しようと近づいていた。
「エリス、お互いの背中を守りながら戦うわよ!」
「はい!」
アスカとエリスは、背中合わせに戦い、すると戦況が優勢になりだした。
更にミツキとライデンも合流し、ライデンとエリスが前で戦い、アスカとミツキが後方から支援し、骸骨戦士達を全滅させた。
「ふぅ……」
「みんな大丈夫?」
アスカが聞くと、全員が頷いた。
「無理はしない方が良いと思うの。一旦引き返して、休養してからもう一度ピラミッドに来る事にしない?」
「分かった」
「私もそれが良いと思います」
「私もアスカに従う」
「ならば決まりね、ミツキ、脱出魔法をお願い」
アスカ達は、ミツキの脱出魔法でピラミッドを脱出し、サマーサで休養してから再度ピラミッドの攻略に向かった。
「今度は落ちないようにしないと……」
先頭のライデンが、石を投げるとパカッと床が開いた。
こうして落とし穴を避けながら、1階を歩き回り、上への階段を見つけ、2階に上がった。
2階は、通路の側面の壁に不気味なコブラの彫刻があった。
「何これ……?」
アスカ達は、不審に思いながらも通りすぎようとすると、突然、コブラの彫刻の目が赤く光った。
「うおっ!」
「え……? きゃーっ!」
コブラの口から火が吹きだし、アスカ達は、火に包まれた。
「水よ!」
ミツキが、水の魔法を使い、水を浴びて、火は消えたが、全員が火傷を負い、ブスブスと焦げ臭いにおいを放っていた。
アスカとミツキの回復魔法で仲間の火傷を癒し、彼女達は、再び先に進み始めた。
すると、また同じコブラの彫刻が側壁に彫ってあった。
「どうします? これじゃ進めませんが……」
「うーん……」
「私に任せて!」
エリスとアスカが頭を悩ませていると、ミツキに案が浮かび、氷の魔法で彫刻を凍りづけにした。
「なるほど、これなら大丈夫ね」
その後、上への階段を見つけ、3階に上がった。
3階は、広いフロアで両側壁にツタンカーメンのような置物が多数置いてあった。
4階への階段が奥に見えていた。
「今までの感じだと、ここも何か罠があるって思っていいと思うわ……みんな警戒してね」
アスカの言葉に全員が頷き、警戒しながら進んだが、何も起こらず、4階への階段の目の前まできた。
「何もないのか……?」
先頭のライデンが、階段を登ろうとすると、見えない壁にぶつかり先に進めなかった。
「ってて……なんだこれは?」
顔をぶつけた、ライデンが言った。
「どうしたの?」
「よく分からんが、先に進めん」
「え? どうして……?」
アスカも、見えない壁に触れて調べていると、後方からギィー……と重い音が響いた。
アスカ達が、驚いて振り向くと、ツタンカーメンの置物が一斉に開き、中からミイラの怪物が無数現れた。
「な、なんて数だ……」
数えきれない程のミイラの怪物が迫っていたのだ。
「ライデン! エリス! 前に出て時間を稼いで!」
「分かった!」
「はい!」
「ミツキ、私とあなたの魔法を同時に使って一掃するわよ!」
「なるほど! 何を使えばいいの?」
「私が炎の魔法を使うわ、あなたは風の魔法をお願い」
「分かった!」
アスカとミツキは、同時に魔法の詠唱を始め、アスカは、美しい水色のロングヘアーがなびき、全身は赤いオーラに包まれた。
ミツキは、ピンクのボブヘアーがなびき、杖の先端の宝玉が緑色に光っていた。
ライデンとエリスは、防御重視で戦い、敵の侵攻を見事に食い止めていた。
「よし、ミツキ行くわよ、タイミングを合わせて!」
「うん!」
「ライデン! エリス! 左右に退いて!」
アスカの言葉でライデンとエリスは、左右に飛び退いて身をかわした。
「行くわよ!」
アスカの声に合わせて、アスカとミツキは、同時に魔法を唱えた。
アスカの火炎放射が、ミツキの竜巻で広がり、炎の竜巻となって、一気にミイラの怪物達を巻き込んで一瞬で焼き付くした。
「ふぅ……」
床、壁、天井が、風圧でえぐれ、黒く焦げており、2人の魔法の威力の凄まじさを物語っていた。
「これは……大したものだ……」
「さすがアスカ様……」
「ミツキ、あなたのおかげよ」
「アスカこそ、あれだけの火炎魔法を使えるなんて凄いよ」
「もう一度、階段に行ってみましょう」
アスカ達は、階段を登ろうとすると、見えない壁は無くなっていて、階段を登り始めた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。