5話 訓練と大賢者はやはりエロジジイ!?
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(5話)
一行は、妖花の森を目指し旅を続けていた。
数日後、一行は、妖花の森にたどり着いた。
この日は、まだ昼過ぎだったが、妖花の森に入り、そのまま夜になるのは危険だと判断し、一晩あかす事にした。
テントなど、夜営の準備を終えると、ライデンとエリスは訓練を始めた。
ライデンは、重いこん棒、エリスは、木剣と木の盾を構えている。
「行くぞ!」
「ええ!」
(避けれない……)
エリスは、両手で盾を支え、こん棒の一撃を何とか受けた。
更にライデンが蹴りを入れようとすると、エリスも反応し、木剣を突きだして牽制し、ライデンは蹴りを止めた。
ライデンは、こん棒で連続攻撃を仕掛けた。
エリスも木剣と盾で懸命に応戦するが、徐々に手が痺れていった。
「あっ!」
とうとうエリスは、木剣と盾を弾き飛ばされてしまった。
「……参りました。ふぅ……まだまだダメね」
「いや、確実に腕は上がってるぞ」
「そうかしら?」
「ああ、特に防御がな」
「でも、あなたの攻撃を防ぐので精一杯なのよ?」
「俺とエリスの一騎討ちならともかく、普段は集団戦だ。攻撃も大事だが守りも大事じゃないかね?」
「そうね……」
「特にエリスは、近衛兵だろう? 本来攻めよりも、主君である王女様を守るのが役目じゃないのか?」
「ええ」
「だろう? エリスの最優先すべきは王女様を守ること。物理の攻撃は俺に任せておけ」
「そうね、集団戦での主な役割がみんな分かってれば、戦いやすくなるわね。後で、アスカ様やミツキにも話してみましょう」
「そうだな、それからもう一つ」
「なに?」
「エリスの弓は、素晴らしい腕前だと思うぞ」
「そ、そうかしら……」
思わず、エリスは顔を赤らめた。
「ああ、数々の戦場を渡り歩いてきたが、お前ほどの腕の者はそうはいない」
「そ、そうなんだ……」
「遠距離からの矢の一撃は、必殺になる場合もある。エリスの弓に全てを託すような場面もあるかも知れん、鍛練を怠らないでくれ」
「分かったわ!」
「さて、続けるか」
「ええ、いくわよ!」
その頃、アスカとミツキは、魔法のトレーニングをしていた。
「ファイアーボール!」
「ブリザード!」
(押し負ける……)
アスカは、一瞬で判断し、横に飛んで次の魔法の詠唱をはじめた。
アスカの読み通り、火の玉は、吹雪にかき消され、地面が凍りついた。
「サンダーボルト!」
アスカは、雷の魔法を発動させ、ミツキに雷が迫った。
しかし、ミツキは魔法バリアを張り、雷を弾いた。
「ウィンドカッター!」
ミツキは、杖を振り下ろすと、真空波が空気を切り裂き、アスカに迫った。
「くっ……ダメッ……きゃっ!」
アスカは、避けれない事を悟り、魔法バリアを張ったが、真空波に破られ、衝撃波を受けて吹き飛ばされた。
「ア、アスカ様!」
「平気よ……」
ミツキが、慌てて駆け寄り、アスカを心配そうに見ると、アスカは、微笑んですぐに立ち上がった。
「でも……」
「なぁに?」
「アスカ様を魔法で攻撃するのは……」
「抵抗があるの?」
ミツキは黙って頷いた。
「遠慮はいらないわ。魔物は容赦しないでしょう?」
「はい……」
「たぶん、魔力対決だと、私は、あなたにかなわないわ」
「そんなこと……」
「謙遜しなくて大丈夫。私が弱いのがダメなのよ」
「……」
「命懸けの戦いの毎日よ、手加減いらないわ」
「そうですね……じゃあ、アスカ様もまだ本気じゃないでしょう?」
「え? 本気よ」
「いいえ、聖魔法を使って無いですし、アスカ様は剣も使えるでしょう?」
「あ、ああ……そうね」
「私も全力で来てくれた方が嬉しいです」
「分かったわ。 それからミツキ」
「はい?」
「私の事は、アスカって呼んでね、敬語も使わなくていいわ」
「いいの?」
「ええ、私はその方が嬉しいわ」
「うん、分かった! そろそろ続きをしよう! アスカも全力できて! 私も全力で戦う!」
「分かったわ! いくわよ!」
アスカとミツキは、ニコッと笑うと、真剣な顔付きになり、訓練を再開した。
夕暮れ時まで4人は、訓練を続け、夕食をとった。
「美味しい!」
「ええ! ほんとに美味しいですね」
「ああ」
「ほんと……? 嬉しい」
「2人とも、水浴びしに行かない?」
「いいですね」
「うん!」
「それじゃ、私達水浴びしに行ってくるわね」
「あ、ああ……」
(覗いたら……まずいか……)
ライデンは、断腸の思いで堪えた。
「誰だ!?」
「儂じゃよ、儂」
「ル、ルドルフ殿!?」
さすがのライデンも突然目の前に現れた、ルドルフに驚いた。
「何か分かったのか?」
「いや……」
「ん? 何しに来たんだ?」
「ライデン、お主を男と見込んで、頼みがある」
「なんだ?」
大賢者の真剣な眼差しに、ライデンも何か重い話があるのだろうと、構えた。
「の、の、の……」
「の?」
ライデンは、ゴクッと唾液を飲み込んだ。
「覗きにいかんかのぅ……」
「はぁ?」
さすがのライデンも拍子抜けした。
「ほんとはお主も行きたいんじゃろ?」
「そ、それは……」
「ホレ、男は正直にならねばな」
「い、いや、しかし……」
「儂は、行くぞ!」
「……俺は止めておく」
「かーっ! つまらんやつじゃのう! よいわ! 儂一人で行く!」
「あ、ああ……行ってくるといい……」
(覗きなんかやったら、旅しにくくなるだろうが……)
ルドルフは、勇んで覗きに行った。
その頃、水浴びをしているアスカ達は、裸の付き合いをしていた。
「エリスさんって、凄くスタイルよくて胸も大きいんだね!」
「そんな事ないわよ……」
「いーえ、羨ましいくらいよ」
ミツキとアスカは、羨望の眼差しでエリスを見つめた。
3人ともスタイルは良いが、アスカは胸が小さく、ミツキは少しだけ足が短かった。
エリスは、小顔、高身長、巨乳、綺麗なくびれ、美尻、足も長い、と、女性なら誰もが憧れる理想的なスタイルだった。
「あんまり……見ないでください……」
エリスは、顔を赤らめてうつむいた。
「ごめんなさい、ミツキは16歳だったわね」
「うん」
「私の2歳下なのね」
「じゃあ、私の4つ下か……」
「私、お姉ちゃん欲しかったの……だから何だか嬉しいの」
ミツキは、そう言って笑った。
アスカとエリスも、ニコッと笑った。
(ムム……暗くて見えん……)
(おっ! そうじゃ!)
(サンダーボルト……)
「きゃっ!」
「えっ!」
(い、今のはサンダーボルトの稲光……まさか……)
「か、雷が落ちたら危ないわ! 上がりましょう!」
「は、はい!」
「……」
(し、しまった……上がってしもうた!)
慌ててアスカとエリスは、水浴びを止め、ミツキは感覚を研ぎ澄まし、辺りを探った。
「!?」
ミツキは、ルドルフの居場所を突き止め、そこに向かって一直線に走り出した。
(ミ、ミツキめ……儂に気づきおったのか!?)
「ぬおっ!」
ルドルフは、慌てて逃げようとするが、既に遅く、ミツキから頭を鷲掴みにされた。
「おーじーいーちゃんっ! 何やってんのよ! こんなとこで!」
「い、いや、情報収集をな……」
「へぇ~、私達の覗きが情報収集なのかしらぁ……」
「あわわ……」
「ぐえっ!」
ルドルフは、ミツキの真空飛び膝蹴りを顔面に受けて、そのまま仰向けに倒れた。
「ふんっ!」
ミツキは、怒ってその場を去り、皆の元へ戻った。
「災難だったな、突然稲光がして」
「ええ……」
「怖かったわ……」
(あのエロジジイ! 真面目にやりなさいよ! こんなとこまでわざわざ戻ってきて……信じられない!)
その後、アスカ達は早めに休み翌朝早く出発した。
ルドルフは、まだ気絶している……
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。