4話 大賢者ルドルフ様は⋯エロジジイ?
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(4話)
西の山を越えた先に小さな木造の家があった。
「ごめんください」
「うむ、待っておったぞ、儂がルドルフじゃ。お主は、プリンティアの姫君じゃな」
ルドルフは、長身で、青い全身ローブを纏っていて、ローブからはみ出た腕は、アスリートのように引き締まっている。
「え? どうして分かるのですか?」
「儂も賢者のはしくれじゃ、簡単な予知くらいはできるわい。 さ、中に入られよ」
アスカ達は、家の中に入った。
家の中は、最低限の家具があるだけの質素な部屋だった。
「賢者様、お教え下さいませ、今、この世界では何が起こっているのですか?」
「うむ。だがその前に風呂に入り、腹ごしらえしたらどうじゃ?」
「え? よろしいのですか?」
「もちろんじゃ、一休みして落ち着いてから聞いた方が良いじゃろう」
アスカがどうするか迷っていると、エリスが声をかけた。
「アスカ様、お言葉に甘えてはいかがでしょうか? 長旅でお疲れでしょうし」
「そうね。じゃあ、賢者様、お言葉に甘えさせていただきます」
「うむ」
「王女様、先に入ったらどうだ?」
「はい、私も後で良いですわ」
「ありがとう、そうさせてもらうわ」
「ウムウム」
アスカは、風呂場に向かった。
ルドルフは、ニヤッと笑い、廊下に出た。
「どこに行くの?」
ルドルフは、廊下で少女に詰め寄られた。
少女は、元々は、整った美しい顔をしているのだが、この時は眉間にシワを寄せて怖い顔をしていた。
「いや~、トイレじゃよトイレ」
「トイレは向こうよ」
「ああ~、そうじゃったな、最近歳のせいか勘違いが多いわい」
「ふーん……」
少女は、答えながらも怪訝そうな表情は変わらなかった。
ルドルフは、口笛を吹きながらトイレに向かった。
「は~、気持ちよかったわ」
「じゃあ次は……」
「エリス、先に入るといい」
「いいの?」
ライデンは、微笑し頷いた。
「ありがとう」
エリスは、風呂場に向かった。
それと、同時にルドルフは、再び廊下に出た。
(お、今度はうるさいあいつはおらんわい、しめしめ……)
ルドルフは、外に出て、ソッと玄関をしめた。
そして、気配を殺して移動した。
その姿は、忍者……いや……泥棒のようだ。
「はぁ~、あったかぁい……疲れも飛んじゃうわ……」
どこからか、楽しそうな女性の声が聞こえる……
声の主はエリスだった。
(はぁはぁ……もうすぐじゃ……)
ルドルフは、息が荒く、ヨダレをたらした。
そして、家の角を曲がると、何かにぶつかった。
「ぬおっ!」
「どーこーに行くのかしらぁ?」
ルドルフは、先程の少女にぶつかったのだった。
少女は、腕組みをして、ルドルフに詰め寄った。
その表情は、鬼も真っ青の恐ろしい形相だった。
「いや、体操をじゃな……」
「皆さんにバラすわよ……」
「あわわ……」
「さっ! 戻るわよ!」
「や、やめんか……」
少女は、ルドルフの首根っこを掴み、強引に引きずって行った。
当然、ルドルフの制止など聞く耳もたない。
更に……
バッチーン!!
「あら? 何の音かしら……?」
エリスは、不思議そうに呟いた。
「さ、どうぞ……おかわりはたくさんあるから、いっぱい食べて下さいね」
「ありがとう」
「美味しい!」
「はい、すごく美味しいですね!」
「これは……ほんとにうまいな」
「うふふ、そういってもらえると私も嬉しいです」
少女は、にこやかに微笑んだ。
「さて、本題に入るとしようかのう……」
「あら? 賢者様、頬が赤くなってますわ、しかも手形のような……」
「ああ、これか? 気にするでないぞ」
ルドルフは、少女からおもいっきり平手打ちを食らったのだった。
(風呂を覗きに行こうとして、叩かれたとは言えんのぅ……)
「さて、プリンティアで何が起こったのじゃ?」
「え? 賢者様は知ってらっしゃるのではないのですか?」
「おおよそは検討はつくが、確認じゃよ」
アスカは、納得し、礼拝堂で起こったことを説明した。
「ふむ……やはりのぅ……」
「賢者様、どうか私達をお導き下さい」
「うむ、その前に……姫君、近くに」
「はい……」
アスカは、ルドルフに従い、ルドルフの近くに座った。
(うーむ、さすがに美少女じゃのう……)
「あの……賢者様何か?」
「うむ、耳をかしておくれ」
アスカは、耳をルドルフに傾けた。
「ちゅーしてくれ」
「……」
アスカは、不思議そうな顔をして沈黙した。
「ダ、ダメかのう~」
ルドルフは、ニターッと嫌らしい笑みを浮かべた。
「エリス~、ちゅーって何?」
「ぬぁ!?」
ルドルフは、アスカの予想外の言葉に驚いて、慌てて口を塞ごうとしたが遅かった。
ルドルフは、背筋が凍りつく程、刺すような視線を感じた。
少女が、鋭い目付きで睨みつけていた。
その表情は、もはや般若のようだ……
「…………」
エリスは、頬を真っ赤にし、両手を口に当てて絶句している。
「エリス~?」
「あ、あの……ちゅーというのは……」
エリスは、恥ずかしそうに口ごもった。
「こんな老人の戯言付き合う必要ありません!」
「それから、真面目にやりなさいよ!! また叩かれたいの!?」
「あわわわわ~」
「フッ……ハハハハハッ!!」
ライデンは、大笑いした。
先程まで笑いを堪えていたのたが、とうとう耐えきれなくなったのだった。
エリスは、アスカにちゅーの意味を説明せずにすみそうだと思い、ホッと胸を撫で下ろした。
「みんな変ね……?」
アスカは不思議そうな顔をして、皆がなぜこんな反応しているのか検討もつかなかった。
「さ、みなさんに説明しなさい! 次変なこと言ったらぶっ飛ばすわよ……」
とうとうルドルフは、あきらめ、話を始めた。
「う、うむ……そ、そうじゃな……まずは神の国に行って何が起こったのか、その目で確めなければなるまい」
「神の国……ですか?」
「うむ、アローラ様も住んでいるところがあるのじゃよ。さて行き方じゃが……」
「はい……」
「神鳥と呼ばれる神のしもべがおるらしい、その鳥ならば神の国へも行き来ができると聞く。じゃが、普段は人間の前に姿を現さん。この世界に散らばる、4つのオーブと呼ばれる宝玉があるそうじゃ。それらを集めた者の力を認め、神鳥は力を貸すと聞く」
「そのオーブがどこにあるのか分かりますか?」
「1つはこのプリンティアの妖花の森の奥にあると聞く」
「妖花の森……」
妖花の森は、その名の通り、毒ガスを吐く恐ろしい花や、食人植物が生い茂る、プリンティアの者ならば近づく事はない、恐ろしい森だった。
「他の3つは、知ってるのかい?」
「儂にも分からん。おそらくこの世界の4つの大陸に1つずつあるのじゃろうが……」
「妖花の森に行く覚悟はあるかの?」
「はい! 行きます!」
「ならば、これを持って行くがよい」
「これは……?」
「聖水じゃ、これを振りかけておけば、毒ガスが充満する妖花の森の中でも行動できるじゃろう」
「ありがとうございます!」
「では頼むぞ、世界の命運はそなたたちにかかっておる」
「あの……賢者様は、来てくださらないのですか?」
「うむ、儂は世界中を回って、情報を集める。それにオーブのありかも探さねばのう」
「なるほど、そうですね」
「すぐに儂は行けぬが、供をつけよう。ミツキ」
「はい、おじいちゃん」
ミツキは、先程からいる少女の名前だった。
彼女は、アスカと同じくらいの身長で、桃色の髪のボブヘアー、同じく桃色の澄んだ瞳をした、美少女だった。
白いローブを纏い、先端に赤い宝玉がある木製の杖を持っていた。
「孫娘のミツキじゃ。まだ若いが、この子も賢者としての修行を積んでおる。魔力は儂が保証するぞよ」
「おじいちゃん……」
ミツキは、嬉かった。
魔法の授業中のルドルフは、とても厳しく褒められた事がほとんど無かった。
「確かに……素晴らしい力を感じます」
アスカは、ミツキの魔力と潜在能力を感じとっていた。
「みなさん、どうかよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
「じゃあ、おじいちゃん、行ってきます」
「ウム……今までおまえには厳しく接してきたが、賢者としての力量は充分についたと、贔屓目なしに思っておる。自信を持って行くがよい」
「はい!」
「では、儂も旅立つかの、また会おうアスカ殿」
「はい……ええっ!?」
アスカは、驚いた。
エリスとライデンも同様である。
ルドルフは、全身から魔力を放出して空を飛び、空の彼方に消えた。
「大賢者というのは伊達ではないようだな……」
「ええ……」
その後すぐに、空がキラッと光り、光の玉が地面に激突し、煙の中からルドルフが現れた。
「ど、どうされたのですか?」
「うむ、伝え忘れた事があってな、アスカ殿、お主に秘められた聖なる力は、儂にも扱うことができん。そなたの唯一無二の力じゃ。魔王なる邪悪を倒すのにはかかせない力となるじゃろう。その事を自覚し、命を粗末に扱うでないぞ、そなたは世界の希望なのじゃ」
「私が……世界の希望……」
「ウム。じゃが、お主には、仲間がおる。仲間と力を合わせるのじゃ。仲間達よ、アスカ殿を助け、守るのじゃ」
アスカは、ルドルフの言葉を胸に受け止めた。
仲間達は、強く頷いた。
「では、また会おう皆の者」
ルドルフは、再び飛んで去った。
アスカ達は、妖花の森に向かった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




