26話 神の山
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(26話)
神の国の宮殿前で、神の鳥の羽をかざすと、神の鳥がやってきた。
「神の鳥さん、この国に人はいないの?」
「人ではありませんが、生き残りがいました。それからアスカ、アークデーモンを倒してくれてありがとうございます」
「いえいえ」
アスカは、ニコッと微笑んだ。
「それじゃ、そこに連れてって下さい」
「もちろんです。私の背にお乗り下さい」
ほどなくして、高い山の麓に村があるのが見えた。
神の鳥は、アスカ達を村に下ろし、再びいずこかへ飛び去った。
アスカ達が村に入ると、ある者が声をかけてきた。
その者は、金髪のロングヘアー。
紺碧の瞳をした美しい顔立ち。
そして、背に大きな翼があった。
「地上のアスカ様ですね」
「はい……あなたはもしかして……天使様?」
「はい……いかにも私は天使です。アスカ様、あなたにお伝えしなければならない事がございます」
「はい」
「この国が魔王の侵略を受けた事はご存知ですね?アローラ様は、使者として私に脱出し、ここに身を隠せとお命じになりました。そして、いずれ地上の方が神の鳥に乗り、訪れるでしょうと仰せになりました。その方に聖剣アローラの在りかを教えよとおっしゃいました」
「聖剣アローラ……ですか?」
「はい。アローラ様が長い年月神通力を注ぎ、鍛え上げた剣でございます。邪悪に立ち向かう為の備えなのだとか……」
「それはどこにあるのですか?」
「この山の洞窟の奥深くにあるそうです。ただし、魔物に奪われぬようにいくつもの防衛の仕掛けがあるそうです」
「アローラ様が作られたものなら、仕掛けの避け方も分かるでしょう?」
「それが……アローラ様も作りすぎて忘れたそうなのです……」
「えっ!?」
アスカ達は、一同驚愕し、顔を見合わせた。
「せ、聖母神様も忘れたりするのね……」
「は、はい……」
「ご、ごめんなさい……主君アローラに代わり謝罪申し上げます……」
天使は、恥ずかしそうにうつ向いた。
「そ、それでその剣を取りに行けば良いのですね?」
「はい……どうかお気をつけて参られて下さい……」
アスカ達は、この村で戦闘の疲れを癒した。
その後、神の山に向かおうとすると、神の鳥が飛んできた。
「アスカ、山の頂上まで連れていきましょう。山の道には幻の仕掛けがあり、通常は登れず、飛んでいく事も不可能ですが、私ならば飛んでいく事が可能です」
「よろしくお願いします」
アスカ達は、神の鳥に乗り、神の山の頂上に向かった。
途中霧に包まれ、山道がいくつにも別れたが神の鳥は目もくれず、飛んでいった。
やがて、山頂が見えて神の鳥は、山頂にアスカ達を下ろした。
山頂の岩山に、洞窟の入口がポッカリと開いていた。
アスカ達は洞窟の中に入り、すぐに下りの階段があった。
階段を下り終わると、いきなり道が途切れて進めなくなっていた。
「危ない危ない……落ちるところだったわ……」
「底が見えませんね……」
「これじゃ進めないね……」
「見ろ! 先に道があるぞ!」
「しかし、離れておるのぅ……」
ここから先の道までは、約30メートルはある。
アスカ達は、飛翔の魔法で飛び、道に下りた。
「最初からこれじゃ先が思いやられるわね……」
道を進むと、一本道で下に降りる階段があった。
階段を下りた先は、迷宮になっていた。
「むむ、これはいかんのう……道記憶の術の出番じゃな」
「なんです、それは?」
「うむ、説明するより見せた方が早かろう」
ルドルフは、水晶玉を取り出した。
「ほれ、ここに赤い点があるじゃろう?これが儂らの現在地じゃ。少し進んでみよう」
「ほれ、赤い点が動いて、道が浮かんだじゃろ?これが道記憶の術じゃ」
「すごい!そんな術も知ってるんだね」
「一応、大賢者と呼ばれておるからの。この術はあまり難しくない、アスカ殿とミツキにも教えよう」
「ありがとうございます」
この術は戻りの階段の位置も分かるようになっていた。
アスカ達は、ル道記憶の術を頼りに進んで行った。
「行き止まり……ね」
「またですね……」
「これで何回目かな……」
気を取り直して来た道を戻り、別の道を進んだ。
急に地面がパカッと割れた。
「え……? きゃーっ!」
落とし穴だった。
「いたた……みんな無事?」
「ああ……」
「ええ……きゃっ! ごめんなさい!」
エリスが、慌てて飛び退いた。
エリスは、ルドルフを下敷きにしていたのだった。
「なんのなんの……怪我はないかの?」
「はい……」
(ウヒヒヒ……エリスちゃんの体の感触……しっかり味わったもんね~)
ルドルフは、しっかりと感触を味わった。
両手をニギニギしながら、その感触を思いだし、よだれを垂らした。
落ちた場所は、ほとんどぬかるんでいた。
「きゃあっ! 何かが私の足を……」
ミツキが、何者かに足を掴まれた。
「きゃっ!」
そのまま転ばされた。
ぬかるみの泥が盛り上がり、泥の化け物が現れた。
「きゃーっ!」
泥の化け物は、そのままミツキに飛び掛かかってきた。
「オリャアッ!」
ライデンが、ぬかるみの足場の悪さをものともせず、飛び蹴りをいれ、泥の化け物を粉々に吹き飛ばした。
「あ、ありがとう……ライデンさん……」
「ああ。しかし、数が多い。早く立つんだ」
「う、うん」
ぬかるみから次々と泥の化け物が現れた。
「みんな! あそこに出口があるわ! 走って!ライデンとエリスは、みんなの援護に回って! 大丈夫?」
「大丈夫です!」
「おう!」
アスカは、出口を塞いでいる泥の化け物を切り倒した。
エリスとライデンは、ミツキとルドルフを出口に向かわせ、援護しながら出口に向かった。
そして、最後のエリスが出口にたどり着き、盾を構えて泥の化け物の攻撃を防いだ。
「ミツキ、ルドルフ様、風魔法を同時に唱えて、一気に倒しましょう」
「分かった!」
「承知したぞい!」
アスカとミツキとルドルフは、素早く風魔法を詠唱し、同時に発動した。
三人の手から、烈風が巻き起こった。
烈風が合わさりフロア中を巻き込む巨大な竜巻となった。
泥の化け物の群れを粉々に切り裂いた。
その後、近くに登り階段を見つけ、再び上の階に上がった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




