戦さ場の後始末
「お前が魔弾で吹き飛ばした女帝の事だ。何処を如何探しても、ヤツの魔力結晶が見つからん。手分けして、相当広範囲に探したんだがな……」
そこへ、半笑いのレナードがやって来る。
「そりゃそうだろうぜ。女帝と言っても、ゴブリンはゴブリン。腹ん中に有る魔力結晶の純度は、そう高く無ぇ、相当脆い筈だ。お前のぶっ放した大砲で、魔力結晶も女帝の上半身と一緒に砕け散っちまったんだろうさ。あんな常識外れな魔弾なんかでトドメを刺した、お前の自業自得さ♪」
「何だ、残念な知らせってその事か」
「何だジム、もっと悔しがっても良いんだぜ。ゴブリンとは言え、色付きの女帝の魔力結晶だぜ、良いカネに成った筈だ」
「アレは別に……」
ジムはそう言いかけて、ワシに視線を向ける。
ワシは、タダ肩をすぼめて視線を返す。
「フッ、アレは別に、如何でも良いことさ。女帝は土の魔法を使ってた。多分、女帝の魔力結晶の色は黄色だったんだろうぜ。その魔力結晶が砕け散ったってんなら、あそこに畑でも作りゃぁ良いんじゃ無えか。土の魔力が染み込んだ土地なら良い作物ができる筈だぜ」
「ハッハッハ、ソイツは良い。町からは少し離れてはいるが、来年トウモロコシでも植えて見るか。ハッハッハ」
オーウェンは満足そうに笑い、悔しがら無いジムに、レナードは少々悔しがっておる。
その後町民総出で、町の外に無数に転がるゴブリンの死骸を処理する。
骸から小さな魔力結晶を抉り出し、大きな穴を掘ってそこに、その骸を放り込む。
そして原油をかけて火を放ち、灰に成るまで待ってそのまま埋める。
そう言う手順で処理する事が決まった。
なに分、数が多いからな、さすがに放置してコヨーテに処理を任せるとはいかん。
骸の腐敗が進めば、町に疫病をもたらすかも知れんからな。
皆、疲れ果てて居るが、黙々と作業する。
当然、ワシもジムもそれを手伝う。
そして夕刻、概ねの骸を掘った大穴に放り込み終え、火を放つ。
「はぁ~、さすがに疲れたぜ~」
そうジムがため息を吐いた所へ、ケニーが近付く。
「ジムさん、ドウマさん、助かりました。あとは自警団が火の番をしますんで」
「はぁ~……だ、そうだぜ、旦那♪」
「うむ、ならば、お言葉に甘えよう」