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【ジム、潜入】 気付かれたか……?

そっと、部屋に近付く。

両扉の向こうから、微かに話し声が聞こえて来る。


さて、どうする?

やっぱ、蹴破るか……。

って、言っても、何処に誰が居るか分かん無えんじゃ、リスクの方が大きか。


そうなると、この扉をそっと開けて、中に……ともかく、旦那の魔法を信じるしか無え。


意を決して、左側の扉のノブに手を掛け、そっと薄く開く。

中を覗くと、正面に小男がマホガニーの机に短い脚を乗せてふんぞり返っている。

手には葉巻。

その葉巻に、あの大男、ラルフって言ったか、ヤツが無駄に装飾された馬鹿デカいライターで火を着けている。


小男の後ろに、手下の二人がライフルを手に窓の外を伺っている。


で、小男がふんぞり返る机の左に、椅子に身動きが取れ無えほど厳重に縛られ、猿轡(さるぐつわ)までされた、バーニーだ……。

野郎、年端も行か無え子供に手荒な事しやがって!


そしてもう一人、バーニーの左手前に、椅子に座って足を組み、馬鹿デカいコルト・ウォーカーを磨いてる男。

ヤツが、そのジャコビーなんとかって野郎か。

チッ、しかし、位置取りが悪いぜ。

ジャコビーって野郎の手前に有る棚が邪魔で、ヤツの体が半分隠れてやがる。

此処からじゃあ、組んだ足と、コルトを握った手しか見え無え。

いきなり飛び込んで、皆殺しって分けにも行か無えか。


だが、ともかく、全員こっちを向いて無え。

今だ!


さっと、部屋の中に滑り込み、手前に在る三人掛けのソファーの背に一旦身を隠す。


「ん!?」

如何(どう)しましたか、ゴダードさん?」

「今、誰か入って来なかったか……」

チッ、気付かれたか……?。


「誰かって誰です?もし、誰かがこの部屋に入って来たとして、私達が気付かない分けが無い……ああ、又だ。扉が開いてますよ。この牧場は昔、盗賊をしていた頃に、アジトにする為に老夫婦を騙して、二束三文で買い叩いた物なんですがね。随分と古い建物ですから、ガタが来ているのでしょうな、いつもの事です。ラルフ、閉めてきなさい」

「ヘイ、オヤジ」


「オヤジじゃあ、有りません。お父さんと呼びなさい。ヘルマス一家(いっか)は品行方正な実業家の一家(いっか)で通っているんですから、いつまでも盗賊気分じゃ有りませんよ」

「ヘイ、オヤ……じゃ無ぇ、お父さん」


大男が扉に近付いて来る。

コイツに銃を突きつけて人質交換で、バーニーを……。


いや、そんな甘いヤツ等じゃ無え。

あの小男なら、実の息子だろうが平気で見捨てる……そんな目をしてたぜ。


カチャリ、と扉を閉め、大男が小男の元に戻って行く。


さて、どうする?

ヘルマス親子やその後ろに控える手下共はともかく、あのジャコビーって野郎、なかなか勘が良さそうだ。

油断は出来無えぜ……。


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