表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/182

破壊する精神

縛られた男の前に屈むと、男が「ヒッ!」と小さく呻く。


「だ、旦那此処(ここ)でやるのかい?」

「なに、こ奴を切り刻むと言う分けじゃ無い。ちょっとした魔道具を使う」


「ま、魔道具って旦那……」

ジムが心配しておるのは、恐らくワシが人前で魔法を使う事だろう。

だが、その準備は既に出来ておる。


「コイツだ」

そう言って、さっきワシが錬成した小さな黒曜石の髑髏を取り出し見せる。


「むっ、ドウマその禍々しい髑髏は?」

さすがはギデオン、この髑髏に秘められた魔力の邪悪さに気付いたか。

「この魔道具を使えば、どんな質問にも答える様に成る」

「ほう……だが、ドウマそれだけでは有るまい」


髑髏を掌に載せ、男に見せながら答える。

「コイツは、なにも人の秘密を聞き出すと言う魔道具では無い。人の精神を破壊する魔道具だ。これを使われた者は自我を失い、生ける屍と化す。二度と元に戻ることは無い」


「ヒッ!」

再び、男が小さく呻く。


「さて、お前さん、どうするね。最後の確認だ、大人しく喋るか、それとも生ける屍に成るか?」

「ヒィィ!お、俺は……何も……知ら無ぇ…………」

「うむ、そうか、成らば已むを得まい」


精神を破壊すると言う事は、その魂も只では済むまい。

死して尚、まともに輪廻の輪に戻れるかどうかは保証できん。

それ故、直ぐには使わず、少々情けを掛けてやったが、いつまでもこ奴の相手をするわけにはいかん。

「始めよう」


髑髏とを男の額に当て、そのまま、右手に結んだ刀印で押し当てる。

そして、魔力を髑髏に流す。


ピシッ!と、髑髏に亀裂が走る。


当然だ、この髑髏は中に封じ込めた魔法を覆う、単なる殻に過ぎん。

過剰な魔力を注がれれば、その殻は内側から破られる。


ピシッ、ピシッ!


更に亀裂が入り、その亀裂から細い触手の様な魔力が何本も伸び、男の頭に(まと)わり付いて行く。

恐らく、この光景が見えておる物はこの場にはワシしか居るまい。

この世界の住民は、基本的に魔力が見えんらしいからな。

縛られたこの男も、今何をされておるかまだ、分って居らんだろう。


ピシッ、ピシッ、パーーン!

髑髏が弾ける様に塵と化し、封じられておった魔法の触手が男の頭部に絡みつき飲み込む。


「ヒッ、ヒッ、ヒギャャャーーーーー!」

男が白目を向き、絶叫を上げる。


ん!?

その悲鳴を聞いて、子供が泣き出し、女性達が顔をしかめ目を逸らせる……。

「うむ、これはこれで、御婦人方に見せるものでも無かったか……」

まあ、今更已むを得まい、続けよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ