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想定外の動き

オーウェンが納得したかはともかく、理解は得られた。

今はそれで十分だ。



それから、暫くして事態が動き始める。

オーウェンが放っていた偵察が、慌てて戻って来た。

南の廃坑の近くで、ゴブリン共の動きを見張っていた者だ。

無論、ヤツ等を刺激せん様に、ゴブリン共の巣が在る廃坑までは行かず、その手前に潜む様に見張らせておったらしい。


当然だが、ヤツ等の巣がある南の廃坑から町に戻ってくると言う事は、町の南側に辿り着く事に成る。

いつの間にかそびえ立つ、長い土壁に驚いておる。

取り合えず、オーウェンの指示で梯子が降ろされ、その偵察の男が馬をその場に残し、上がって来る。

「オーウェンさん。この壁はいったい……」

「ソイツの説明は後だ。それよりジョエル、何があった?」


「あっ、そうです。ゴブリン共の群れが動き出しました。ですが……妙なんです」

「妙とは?」

「それが、てっきり、真っ直ぐ町に向かって来るのかと思っていたんですが、奴等が迂回する様に、東に向かったんです」

「東だと?ソイツはどう云う事だ……この町の東と言えば、ニーリーの町が有るが、ゴブリン共が襲うには遠すぎる……」


「オーウェンの旦那、まさかとは思うが、ヤツ等、罠に気付いたって事は?」

「それで、町の東側に回り込もうと……まさか!ゴブリン共にそんな知性があるなんぞ、聞いた事が無い」

「今朝戦ったレッドキャップとやらが率いていたゴブリン共は、統率が取れておった。ワシらを罠に誘い込もうとするぐらいにはな……」

「いや、ドウマ。確かにレッドキャップは狡猾だが。それは小規模な戦闘に置いての話だ。何百何千となる様な集団までは、いかにレッドキャップと言えど、指揮できん」


うむ、このオーウェンと云う男、ワシが見た所、中々のキレ者だ。

ゴブリン共を侮って居るとも思えん。

と、すると……何ぞ異変が起きたか、それとも……。


「ともかく、もしこのまま、町の東からゴブリン共に雪崩れ込まれるような事に成っては、折角の罠も、この壁も役に立たん。町が蹂躙されることに成ってしまう。事態を正確に把握する必要が有る。已むを得ん、ワシがヤツ等の群れを見てこよう」

「ドウマ、アンタ一人でか?」

「うむ、その方が動きやすい」


オーウェンは腕を組み暫し考え、確認する様に、ジムに視線を移す。

ジムが頷く。

「そうか、ならアンタに任せよう」

フッ、どうやら言葉以上には、ジムの事は信用しておるらしい。


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