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何とも残酷な光景に見えなくもない……

「ところで旦那、あの罠にどうやって火を着けるんだ?まあ、誰かが松明でも放り込めば良いんだろうが、それだと、ソイツが危なく無いか?」

ゴブリン共が銃や、魔法を放ってきた場合、荒野のど真ん中で松明を持って立ってるなぞ、良い(まと)だからな。

それに、そもそも、原油を撒いた近辺に松明を持った人を立たせるなどすれば最悪、気化した石油に引火せんとも限らん。


まあ、罠の中の何か所かに原油の詰まった樽を置いて、機を見計らってその樽を狙撃するのが無難なのだが、いまいち、確実性に欠ける気がする。

上手く着火するだろうか……。

「うむ、その事だが。レナードの魔弾、何発か残っておらんか?」

「ああ、成るほど、確かもう何発か持ってきてた様な事を言ってたぜ」

「なら、それを、お前さんも一発分けて貰っておいてくれ。その時が来れば、お前さんかレナードのどちらかが、罠に置かれた樽を撃ち抜けば良い」

「承知したぜ、旦那」



日も高く昇り、昼過ぎ頃、町の西から吉報が届く。

西のゲートに駆けつけると、ヘトヘトに成った御者と馬、そしてその後ろに、その馬が引いていた荷馬車が一台。

どうやら、トマスの荷が届いたらしい。


銃と弾薬、それと医薬品だ。

御者の話では、トマスは店に戻ると、すぐさま店に有る銃と弾薬を全て積み込んで、荷馬車を出してくれたと言う事だ。

十分とは言えんが、それでも助かる。



さらに時間が経ち日も暮れ深夜、グラシャ=ラボラスの隠身(かくりみ)を施し、町を抜け出して罠に面する南側に足を向ける。

これからする事は、あまり人に見られたくは無い。

その為にも、この時間まで待つことに成ったが、幸いにもゴブリン共の本格的な襲撃は未だの様だ。


「罠の設置は一通り終わって居る様だな」

町の南に面する荒野にポツンポツンと幾つかの樽が置かれている。

更に、その樽に囲まれる様にうず高く積み上げられたゴブリン共の(むくろ)

そして、これ見よがしに十字架に貼り付けにされた、幼い女王(クイーン)


我ながら、何とも残酷な光景に見えなくもない……。

「許せ、お前さんには恨みは無いが、人々が生きて行く上で、成さねば成らん非道も在る。次は良き来世を」

そう、幼き女王の(むくろ)に手を合わせる。



深夜、此処(ここ)に来たのは何も、ゴブリンの(むくろ)を弔う為では無い。

銃と弾薬が行き渡り、火計の罠もある。

だが、やはりこれだけでは心許無い。


いかにゴブリン共が貧弱とは言え、銃を持ったヤツ等が町に雪崩れ込んで来たとしたら、被害者が出んとは限らん。

攻撃だけではなく、町を守る(すべ)が必要だ。


そして、町の南端から百メートルほど離れた所に大きな魔法陣を一つ描く。


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