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ゴブリンとの前哨戦 【切り裂く、魔銃】

パン、パン、パン!

レッドキャップの周りを固めるゴブリンを三匹撃ち殺す。


赤い頭が此方(こちら)を向く。

ワシは弾切れに成った十四年式をホルスターに戻し、軍刀を両手で八双に構える。


ヤツが、銃を抜く。

ん?

ヒゲがチリチリと……これは!


咄嗟に、岩陰に飛び込む。

何度も、黒の森で体験した事だ。

魔法を放たれる予兆。

とするとあの銃、魔銃か?


あの小男、どうやら奮発したらしい。

まさか、ゴブリン共に魔銃まで与えるとはな。


さて、得体の知れん魔銃だ。

闇雲に切り込むのは危険だが、その正体を見極めたい。

一発撃ってくれんものか……。


これだけの打ち合いのさ中だ。

あまり効果が期待できんが、グラシャ=ラボラスの魔法陣を描き、再び隠身(かくりみ)を施す。

試しに、隣の岩陰に飛び込む。


赤い頭が、ワシを追う。

うむ、やはりヤツには通用せんか。

だが、雑魚ならば。


不幸なゴブリンが、運悪くワシの近くを通り過ぎる。

手早くソイツを岩陰に引きずり込み、首を絞め意識を飛ばす。


そして、そのゴブリンを羽交い絞めにしたまま、一瞬ヤツの前に躍り出て、ゴブリンを離して別の岩陰に飛び込む。

パシュッ!

銃らしく無い銃声。

発火炎(マズルフラッシュ)も無い。

が、刹那、ワシが囮にしたゴブリンの胴が真っ二つに割ける。


ん、何をした?

まるで鋭利な刀で両断されたかの様だ。


見えない刃物か……。

ジムから聞いた話では、この世界の魔法は地、水、火、風、木、聖、死の七つからなる。

とすると、この中で怪しいのは風だな。

鎌鼬(かまいたち)の様なモノを飛ばしてくると見た。


射程の程は分からんが、銃弾の様に点では無く、刃物と考えれば線での攻撃。

そう考えれば、多少避け難いが、さして脅威では無い。


「成らば、いざ参る!」

岩陰から躍り出て、赤い頭を目指して走り出す。

ヤツがワシに銃口を合わせて引き金を引く。


パシュッ!

ワシは銃口の向く先を読んで、体を前後左右、時には飛び跳ね(かわ)す。

パシュッ!パシュッ!


グヘッ!

巻き添えを喰らって、ゴブリンが一匹切り裂かれる。


フッ、他愛も無い、当然だがまるで素人だな。

ジムの様な達人に狙われれば、そう易々とは(かわ)せんだろうが、のらくらとワシを狙っても、早々当たるものか。


パシュッ!カチャ!

弾切れの様だな。


飛び掛かる様に、その赤い頭に軍刀を振り下ろそうとしたとき。

ヤツが、持っていた魔銃でワシの刃を受け止める。


「ほう、思ったより中々やるでは無いか。だが……!」

アモンの魔法陣で強化された肉体に力を込める。


シャンッ!

ヤツの魔銃が火花を上げ両断される。

当然その後ろにある、ヤツの赤い頭もだ。


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