-1.〔回収:経験値異常獲得〕①
記号等で区切るなどし主観を変えたりもします。
※作者は文章力が拙いので。予め、ご了承ください。m(_ _)m ヒラニ
この作品はフィクションです。
実在の人物や団体など、現実的体制や根拠仕様とは一切の関係がありません。
ご理解の上、ご覧ください。
亘平は公務員であるが、副業をしている。
――所属先の許可も得てはいない。
ただ彼の副業は営利目的ではなく、奉仕活動に近い、チート回収員だ。
現場では主に雇用している側の天使が働く。
亘平は、実際の回収を手伝うこともあるが、概ね天使の相談役として同行している。
彼は実戦では全く役に立たない。
亘平の身体能力は至って平凡な成人男性のそれであり、鉄すら熔かす炎だの、絶対零度の魔法剣だのといった世界観にはついていけないからだ。
なので、矢鱈亘平は今回も戦いには一切参加せず、天使の仕事が終わるのを安全なところで見守っている。
けれども少しだけ、肌寒かった……。
▽
亘平は物事を深く考え込む性格の反面で、何事にも――こだわらない。
だから目の前に天使があらわれて、何もない休日を邪魔されても、特に気にはしない。
朝、顔を洗いに洗面台へと行き。
戻ってきたらダイニングテーブルで翼の生えた天使が座っていた。
自宅は一般的な賃貸マンション。その一室で、背中から翼の生えた天使が自前のペットボトル飲料を慣れた手つきで開けて、一口飲む。
物珍しいその光景を、亘平の眼差しが窺っているのを天使が気づき。
「どうせなら座って話さないか?」
――と。
よく分からないが。亘平は、昔飼っていたセキセイインコのことを思い出した。
△
夕方、コンビニの前で天使を待っている間に、数週間前の出会いを亘平は思い出す。
大体の回想が終わった頃合いで天使はコンビニから出てきた。
出てくるや否や手に持っているレジ袋をあさり、取り出した缶コーヒーを亘平に差し出す。
「本当に今回の報酬もこれでいいのか?」
もちろん構わない。がその前に――。
「そこは邪魔だから、こっちで」
――店舗の正面出入口は、来客する皆の、共用部分である。
…
「次回も変わらずだ」
そう言い残し、天使は亘平と別れる。
その後ろ姿はレジ袋を片手にコンビニから帰る、ホストの様に見えた。
ただ天使に性別はなく、話し方も中性的なので、人によっては男にも女にも見える程の美形。
“これは私が従う神様の趣味、みたいなものだ”と天使は以前、亘平に伝えた。
亘平の目には男装する女性、もしくは宝塚……?
とにもかくにもどちらでも良く、似たり寄ったりの感想しか思い浮かばない。
しばらく、そんな他愛のないことを考えていた亘平だが、今回の報酬を飲み干したため自分も帰路につく。
途中、なんとなく、今回の事で一番印象に残ったコトを考えてみた。
結果は、「天使もノンアルコールビールとか飲むんだなぁ……」だった。
※
天使は舞い降りる。という表現もあるが、亘平の前に現れた天使はどちらかといえば地に足もついた性格をしている。
端的にいえば飾り気はなく、誠意もこもっていない実直を旨とする態度だ。
実をいうと亘平はそれを好んでいる。
天使もまた、亘平のこだわらない人柄を気に入っている。
つまりこの二人は、とても相性が良かったのだ。
※
――数日後、職場での休憩中に、亘平はこんな話を耳にした。
「最近ってリマスター版、多くないか?」
「ああ、IPビジネスってやつだろ」
「それはいいけど……。ブースト機能つけたくらいで再販って、セコくないか?」
「……それだけじゃないだろ。あと、メンドクサイのは事実だしな」
「なんでだよ、それを楽しむもんだろ?」
「ストーリー重視の奴だっているだろ……」
「なら機能を分けて追加オプションにしてくれ」
「……俺に言うなよ」
内容は特に関係のない話だったが、ここ最近の事もあり、亘平の記憶に残る。
――そういえば今夜か。
…
定時で帰ると、自宅には既に天使が待っていた。
「お勤めご苦労だったが、さっそく次の勤めだ。よいか?」
「顔だけ洗わせてほしい」
スッキリとした亘平の顔を見てから、天使は言う。
「今回の対象は“経験値異常獲得者”だ」
「……経験ち、異常獲得者……?」
「いわゆるレベルアップブーストの、チート能力だ」
それでもピンとこない顔をする亘平に、天使は尋ねる。
「コウヘイ、きみはゲームをしないのか?」
むしろ天使はするのかと亘平は思った、が。
「オセロならしたことがある」
「……、――そうか」
それだけ口にして、天使は亘平に翼が生えた背中を向ける。
「出発する。いつものように私の肩に手を置き、目を閉じてくれ」
「分かった」と言って、亘平は天使の背後からその肩に右の手を添える。
次の瞬間、亘平の意識は肉体の感覚ごと浮き上がり、――消えた。
…
「もう、目を開けていいぞ」
言われて、亘平は目を開ける。
そして寒かった。もの凄く、寒かった。
「……――寒いな」
「雪原だからな」
そうと分かっていればダウンジャケットを羽織ってきたのに、と、亘平は思う。
ただ、一応一般的な外着である亘平に対し、天使の方は――。
「寒くないのか?」
――いつの間にか、服装が変わり、肌もそこそこに露出する騎士の格好になっている。
「そういう必要のない感覚は端から無い」
「そうか、羨ましいな」
「羨ましいのか?」
「今だけはな」
と冗談をそこそこに交えたところで。
魔物が出現――とは、ならずに。
「……だれですか?」
見ず知らずの女性が亘平と天使の前に現れて、問いかけてくる。
やや怯えた様子で自分達を見る、女性は――見たところ、十代、亘平の目には若く見えた。
そして、亘平が何も言わずに黙っていると、天使は女性の方へと完全に正面を向ける。
「そこの者、この辺りで馬鹿みたいに強い奴を知っていたら所在を申せ」
「ェ、……バカな人?」
「知的能力ではない、身体能力のほうだ。知っているのなら」
二人の間に、亘平が割って入る。
「代わりに話す」
亘平の言葉に、天使は素直に引き下がった。
…
――亘平と天使、二人の前に現れた若い女が足を止める。
「あの城です。あの古城に、破壊神様がおられます」
女性の言葉を受けて二人が小高い雪丘の向こうを見る、と、もうしばらく続く雪原の奥に佇む城が、目に入った。
しかし。
それよりも、一際目立って見えるのはその手前にある無数の穴たち。
大中小、穴の大きさは一定しないが大きな穴凹。
まるでクレーターの様な円形の窪みが、これからの行く手を遮っているようにも見える。
「……――何ですか? この穴は……」
さすがの亘平も、こればかりはやたらと気になり、女性の近くまで来たのちに尋ねる。
「これらは全て、破壊神様があけた穴と言われています。詳しいことは分かりません……」
「大砲でも使ったんですか?」
「いえ、破壊神様は常に素手だと聞いています。破壊の神は武器を持たない、と」
素手――白い大地に残ったこれらの痕がすべて、人の拳で……? と、亘平の想像は全く当人にたどり着けない。
いったい破壊神とは、どんな人物なのか?
亘平が頭を悩ます。
その傍らには、平然としている天使がいる。
「ところで、騎士様は、その……平気なのですか? そのような格好で……」
「騎士ではなく天使だ。あとまったく問題はない」
「……てんし?」
「我は神よりチートの回収を命じられている天の使い――、天使だ」
「ち、ちぃと? ……それはいったい」
「そしてこちらが」
――ん? と。亘平は、天使の空けた変な間に、違和感を持ちつつも告げる。
「えっと、その天使の相談役として雇われている――矢鱈亘平です。よろしくお願いします」
「……」
何故か、自分を見る天使の視線が期待値を下回った様な目をしている。と亘平は思った。
「はい、わたしはリリーララと申します。以後お見知りおきを」
――以後。
亘平と天使にとって、今後、回収の仕事を終えれば二度と来ないであろう世界との関わり。
それが如何なる結末を迎えるのか、現時点で、二人は全く気にもしていない……。
「コウヘイ、きみはテレビも見ないのか?」
「……それは、どういう意味だ……?」
投稿を安定させる為、マイペースに公開をしております。
※執筆が遅いです。
――現状の更新頻度などは【あらすじ】下部の【付記】などを、ご確認ください。
――但し、人気や“意欲”のある時には一段と頑張って執筆します。(/・ω・)/




