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いつか、世界最速の探索者  作者: 描き手


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2/17

2.



 寮の部屋に戻った俺は、早速今日得たスキルについて調べ始める。


 スマホで「最大速度常態可」とストレートに入力して検索に掛けると、幾つかのスキル一覧サイトでヒットする。


 内容は、そこそこ詳細に書かれていることから、ユニークスキルではない事が簡単に察せられて、最後の希望を打ち砕かれたような気分にはなったが、それは兎も角として、大体要約すると説明は以下の通りで共通する。


「いつでも自分が出せる最大の速度を出せるようになるパッシブ型スキル。

 魔力を使用しないため、使用するのにコストが生じる「韋駄天」に比べてコスパが良いように一見みえるが、速度が上昇する「韋駄天」とは違い、出せるのは自身が出せる最大速度な為、戦闘や逃避にはやや不利。

 それに加えて、スタミナの減少が無くなる訳ではないので、普通に走ったり等運動すれば疲れる。そのためダンジョンにおける戦闘を考えるなら「速度向上」や「加速向上」などといったスキルの方が有利と考えられる。

「瞬発力向上」など所謂向上系スキルよりも報告例が少ないためレア度は少し高い。

 また、スキルオーブでの発見例が少ないため希少性はあるが、実用性に関して考えると他のスキルの方が優先度が高く需要がある。よって、値段はやや高め程度。

 結論、価値としてはスキル「韋駄天」の下位互換であり、それどころかダンジョンに限った使用を考えた評価を加えると、スキル「速度向上」の下位互換とされる。」


「はぁ」


 つい溜め息が出てしまう。

 救いなのは、他の上位互換とされる向上系スキルよりもレア度が高いという所だろうか……あまり嬉しくないな。


 まぁ、世の中はそんなに甘くないという事がハッキリと分かっただけでも良かったとするしかない。

 そっと、スキルに関するウィンドウを閉じてこれからの実習をどう闘って行くかベッドに横になりながら思いを馳せる。



 俺が所属する学校は、高校として少々特殊である。

 法律上そうなっているため仕方ないのだが、ダンジョンでもし学生が死んだ場合は、一応自己責任ということになる。

 つまり、最悪の場合は今日引率してくれた先生やクラスメイトが俺を見捨てて、或いは放置して魔物から逃げたとしても罪に問われることは基本的にない。

 勿論、証拠が十分にあれば法によって裁けるし、学生が亡くなったとなれば当たり前の如く監督責任を問われるから、学校側としても面倒な事にならないように安全性の確保にはとても気を使う。


 そんな大前提は兎も角として、明日は早速実習の授業があり、暫くはパーティを組んで一階層から二階層までを前期の間は探索し、まずはダンジョンでの探索に慣れよう、という方針になっている。


 さて、入学早々に風邪を引いてクラス内に存在する何れのグループにも所属出来なかった俺と組んでくれるパーティがあるのかという疑問も湧いてくるが、それは置いておいて、パーティ内での役割を考えておきたい。


 まず、俺は前衛職になるだろう。

 後衛になりたければ、弓を使うという選択肢はあるが、基本的にはスキルを持っていて外しにくいとか、魔法が使えるから敵に大きな被害を加えられるとかでない限り後衛としてはあまり良い顔をされないのは想像が着く。

 もしも幼馴染や仲良しグループに所属していたのなら、全員前衛或いは後衛、連携して全員遊撃などバリエーション豊富に決められる可能性はある。

 しかし、世の中に存在する大体の臨時パーティは、ソイツが何を出来るのかというロールプレイングのようなイメージで役割が決まって行く。



 と、言う訳で翌日。



「白瀬は、前衛で良い?」


「うん、分かった」


 良し悪しを問われて了承で返すという、若干コミュニケーション的行き違いを発揮しつつも、俺は前衛職に決まった。


 ちなみに、保有スキルの情報というのは個人情報であるため、詳細に教え合う必要はないが、大体の効果については役割分担のためにざっくり話し合った。

 取り敢えずパーティメンバーには、「速度を一定で維持出来るスキルだと思う」と言っておいた。


 リーダーは、立候補(いなかった)→推薦の順で決め、全員の名前をこの短時間で覚えるという地味に凄い陽キャ君が多く推薦を集めた(俺も彼に票を入れた)。

 臨時で組んでいる訳だが、盾役1、前衛1、後衛(魔法攻撃系)1、回復1とバランスの取れたパーティに、居たら良い程度の前衛を、恐らくクラスで余っていた俺に見兼ねて入れてくれた優しい人達だった。

 


 そこから、1年前期後期の間はずっとそのパーティで組んでいたが、俺が仲良し組の会話に中々入って行けなかった事も要因の一つとして、パーティでの俺が、盾から溢れた敵を各個撃破したり、後衛の方に魔物が出現した際など援護が必要ならそっちに行ったりと、実質遊撃のような事をしてなんとか頑張ったつもりだったが、攻撃系の前衛スキルを持つ陽キャ君と比較して攻撃力がしょぼ過ぎ、役立たず感を微かに感じ取ってしまったため、あれこれ言い訳してパーティを抜けた。


 そして俺がフリーになった2年生の春。


「よし、大体パーティは決まっただろう。1年生の間に色んなパーティを経験出来ただろうか?

 今後は、あまり変化は無いかも知れないが、君達が探索者になった時、パーティメンバーの移動というのは往々にして起こるだろう。だから、1年生での経験を忘れないようにな。

 では、君達は今年から2年生だから3階層以降に行けるようになるが、くれぐれも無茶はしないようにな。探索者でやって行くなら引き際が大事だから。何度も言っているが……」


 初っ端のホームルームでこんな事を言われるとは、正直思ってなかった。

 確かに、結構人の行き来が激しいな〜なんて呑気に外野から他のパーティを見ていたが、まさかあれで戦力とか役割の調整とかをしていたなんて……今更気づいてしまった。


 こんな事なら、前のパーティの4人に謝ってまた入れて貰うか?

 そんな事をしたら印象が悪くなってしまうか?

 それなら新しいパーティを探すか……ダメだ。みんな仲良さげに話してて、入る隙が無さそう。


 取り敢えず、このままでは詰む。

 居心地が若干悪くなったから何だって言うんだ。

 まだ、出て行けなんて言われてなかったじゃないか。


 ……ふぅ、謝ってもう一度パーティに入れて貰おう。

 ダンジョンは、命が掛かってるんだ。

 苦手だからと逃げてなんか居られないだろ。


 よし!そうと決まれば早速行くか!


「あの、リーダ「おう、小鳥遊!お前のパーティ入れてくれるってマジか!」ー」


「ああ、うちも1人減っちゃったからな」


 リーダー(小鳥遊君)に話しかけようとすると、元気そうな男子学生に声をかき消された。


「お前の所、結構順調じゃなかったか?」


「そうなんだけど…今まで入ってくれてた人が、ソロの方が気楽だって言って抜けちゃったんだよ。」


「なんだソイツ。ダンジョン舐め腐ってるじゃねぇか。」


「いやぁ、そんな人じゃなかった気がするんだけどなぁ。もしかしたら、パーティでの会話が足りてなかったのかもしれない。要改善だな。」


「おう、まあお前がそう言うならそうなのかもな。だけど、あんまり気負い過ぎないようにしようぜ。俺とお前の仲だろ。」


「俺とお前の仲ってなんだよ、はは。そう言えばお前、最近彼女とはどうなんだよ。」


「そうだ、聞いてくれよ〜」



 ……話に入れなかった。


 リーダー、やっぱり良い人だったな。

 会話に入れなかったのは自分のせいだった気がするのに、それを自分の責任に感じさせてしまったかも。

 あんまり、俺が足を引っ張るのは良くないか。

 

 確かに、1人の方が気楽って言っちゃったからなぁ。

 俺にお前らは眩しすぎる、くらいの意味で言っただけなんだけど、そりゃあ、外から見ればダンジョンを舐め腐ってる奴となんら変わらないよね。

 

 


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