【第90話】 お父さん
お早うございます。
投稿です。
あ、アローンさん、緊張が解けた!
「友達か?ではそう呼ばせてもらう、この子達は……」
「蛇族との戦いは、ミケお姉ちゃんやタロくんに聞いてください」
すっ、とタロくんを見据えるアローンさん。
タロくんは不安そうである。まあ、あの蛇族は怖いもんね。
ここで魔力が無意識に動いた!
周囲の想念が聞こえ始める。
これは……アローン?
(何があった、ミケ、タロ?)
……やっぱり心配だよね、当たり前か。親だし。
「一言だけ聞くぞ、命を、助けられたんだな?」
「そうです、お父さん」
ミケの返事は大きくて明るかったが、タロは夢に囚われていた。
ああ、ミケにとって安心できる、強い頼りになるお父さんなんだね、絶対的な信頼だ。
「タロ、蛇族と戦ったか?」
カクン、と頷くタロくん。
「怖かったかタロ?だが、お前は生き延びた、獣人族の戦士なら次はどうする?」
「お父さん、それは……」
それは?
「……何事にも、動じず勇め、とお父さんが教えた!」
「そうだ、勇め!我らは獣人だぞ!勇め!」
ここで私は、猛烈に嫉妬した。
タロくんに。
私が欲しかった存在。
キャッチボールなるものを一度でいいからしたかった。
「それでテニ、君の望みはなんだ?」
わ、いきなり本題?それ、ここで聞きます?お父さん?
(この、魔王を名乗る者の立脚点はどこだ?)
りっきゃくてんってなんだ?
うう、国語好きなんだけど、もっと勉強しとけば!
まあ、望みは一つだけど。
「王都への道、それだけ」
「スケルトンやゾンビ、邪神様の兵はその邪魔だったと?」
「そうよ」
あ、今、ガロウザさんを見た!
……驚きの表情?
「オークの少年、君の名は?」
「魔王ア・キュウガ・テニイさまの第三使徒一撃のガロウザ」
「アロウザではないと?」
「その者は天に帰った」
(これは簡易転生、精霊級の魔法だ、あのアロウザの魂をこの地に留めた!?信じられん!それにタロの頭の魔昆虫、カムカナの眷属ではないのか?魔昆虫の森の変化や、この森の地形の変化はこの者が原因か!?)
……なんかみんなバレバレ?このお父さん、鋭い!
「王都へ向かい、何を望む?魔王として勇者を倒す気か?」
(聖女さまのパーティーに挑めるぞ、この者達!)
へ?
「まさか!なぜ私が勇者キルル・ランダムを倒すのです?彼女は私の剣の師匠です!」
今度はアーロンが、へ?というお顔である。
(は?勇者が魔王に剣を教えたというのか!?どこで巡り合った?ユキは何をしているのだ!?)
「私の目的は、王都で天丼を食べること、それだけです!」
(こいつは、テニは何を言っているのだ!?て、天丼だと!?天丼?何かの隠語か?)
「天丼?確かにあれは美味しかったが、意味があるのか?」
(ここは冷静に対応するか、トラ子さんは素直ないい子と言っていたが、森の地形危険すぎる!)
危険すぎるかぁ……同意します。
「天丼の意味?あります!私の父の好物!一度食べてみたいと思い、長い(ホント長いよ!2週目でまだここだし!)旅をしているのです!」
次回サブタイトルは 【第91話】 友達と距離 です。




