第五百五十七話
一時的にヘレーネを黙らせたルイリは、すぐに作業員達の質問へ答えていく。
「私達がここに来た目的は、ここの木材を持って帰ってクルトとコンラートの家を建てる材料にすることです」
「……クルトとコンラート、ですか……」
「ほう、あの二人の家を……」
「……なるほど? 木材を運ぶ必要があるからゴーレムが使える二人がここに来たんですね?」
「ええ、そういうことよ」
「なるほどなるほど……それなら材木の貯蔵場所に案内しないとですね」
「ええ、よろしく頼むわね」
ルイリとヘレーネが山岳要塞にやってきた理由がわかった作業員メンバー達が、ルイリとヘレーネを木材の貯蔵場所に連れていこうと申し出てくる。
この言葉にルイリがよろしく頼むと返答したところで、作業員メンバー達がルイリとヘレーネを木材貯蔵所に案内していった。
「……おお、もうすでに結構な量の木材がありますねぇ」
「ええ、伐採作業にもゴーレムを使うと、人の手だけでやっていた時とは作業効率が桁違いだとわかりましたからね」
「そういうことなんで、積極的にゴーレムを使うようになりましたよ」
「……そうか……なるほどねぇ……」
「……うん? ご領主様?」
「……どうしました……? 我々がゴーレムを使って作業をしているのが不満なんですか……?」
作業員メンバー達は、自身達の発言を聞いたルイリの反応からゴーレムを使ってはいけないのか? とルイリに尋ねていく。
するとルイリはこの質問に、ごめんなさいと話したあとでその表情をした理由を話していった。
「ああ、ごめんなさい。別にそういう理由での表情ではないのよ」
「……え? それじゃあどういう理由で……?」
「いえ、以前の戦争が終わった時に、使わなくなったゴーレムをどうするか、という議論が巻き起こったのよね」
「ほう、そんなことがあったんですか」
「ええ。だからあの時に、様々な復興作業にゴーレムを使えば良いのでは? という提案ができていれば、もう少し復興の速度は上がっていたのかなぁ……なんてことを思ってしまってね……」
「……なるほど……そういうことでしたか」
「それであの表情でしたか……」
「ええ」
「……ちっ……」
ルイリの表情の理由を聞いた作業員メンバー達が、納得しながらうんうんと頷いていく。
このルイリの話を密かに隣で聞いていたヘレーネも、非常に不服そうな表情ではあったが何度か頷いていった。
そんな一同の姿を見たルイリは、そろそろ木材を持って帰ろうと思うと話していく。
「……さて、それじゃあそろそろ木材を持って帰ろうかな。あまり長く帰らないと美胡達が心配するだろうしね」
「ふむ、確かに」
「それはそうですね。それではご領主様、木材をどうぞ。どれでも好きなものを持っていってください」
「ありがとう。それじゃあヘレーネ、木材を持って帰るわよ」
「……ああ……でも私はどれが良い木材なのかわからんぞ?」
「それは私も同じだよ。だからとりあえず持って帰って、皆に見てもらうのさ」
「……なるほどなぁ……」
「おう。というわけで、どれでも良いから木材を持って帰らせてもらうわね」
「はい、そうしてください、ご領主様」
ヘレーネと一緒に木材を持って美胡達が作業をしているところまで帰ると話していったルイリ。
そんなルイリの言葉に作業員メンバー達も頷き、木材の準備を始めていく。
そんな作業員メンバー達の様子を見ながらルイリとヘレーネはゴーレムを呼び出し、乗り込んでいった。
「ええ、ありがとう」
「どういたしまして。それでは木材の運び出しをする準備をしていきますね?」
「ええ、頼むわね……ヘレーネ! 私達はゴーレムに乗り込むわよ」
「命令すんなよ。乗るけども……」
「文句を言わずに乗りなさい。出でよゴーレム!」
「ちいっ……出ろ、ゴーレム」
ルイリから命令されたヘレーネが、不貞腐れながらゴーレムを呼び出し、乗り込んでいく。
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