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俺と幼馴染の青春日和  作者: 赤助
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第二十六話 天宮寺さんの涙

遅くなって申し訳ない。

「やあ君達。その様子だと、五十万円には届かなかったようだね」

「‥‥一つ、質問してもいいですか?」

「いいだろう」

「店の前に来たクレープの販売車、まさかあなたが仕向けたとかないですよね?」

「そうだ。私が仕向けた」

「「「「「‥‥‥!」」」」」


天宮寺さん以外のその場にいた全員が戦慄した。


「なんで‥‥こんなことしたんですか‥‥!」

天音が怒りの籠った声で天宮寺さんに問いかける。


「いやぁ、最初は五十万円なんかいかないと思っていたんだが、途中から不味いことになったからな、少し、手を出させてもらったよ」


「だからって!あなたの勝手でこんなことしていいはずが‥‥!」

「いいんだよ」

「えっ‥‥?」


天宮寺さんが食い気味に答える。


「大人はね、喰うか喰われるか、死ぬか生きるかの世界で生きているんだ。君達のような学生が呑気に生活している間、私達はいつも苦労しているんだよ」

「そ、そんな‥‥」


「お父様、少しよろしいでしょうか?」


静まっていく空気の中、会長だけが声を出した。


「なんだ?」

「こちらの席に座って、少しの間待っていていただけますか?」

「私は何も食べないぞ」

「少しだけでいいんです」

「はあ‥‥まあいいだろう」

「ありがとうございます」


天宮寺さんが渋々席につく。


「如月さん、少しいいですか?」

「は、はい」


会長と天音がコソコソ話をすると、少し経ったところで二人して厨房に入って行った。



五分程経ち、天音と会長が戻って来た。


「これはなんだ?」

「この方、如月さんが作ったチェリーパイです。この三日間の売り上げも大半はこの商品が占めています。少しだけでいいので、食べていただければ幸いです」


天宮寺さんが『はぁ‥』と溜息をつきながら、チェリーパイをフォークで刺し、少しだけ口に入れた。


「‥‥うまい。美味いぞ!これは!」

「そうでしょう」


天宮寺さんが涙を零し始めた。


「‥‥うぐっ。懐かしい‥‥妻の作っていたチェリーパイにそっくりだ」


天宮寺さんはそのままペロリとチェリーパイを平らげた。


「ここまで感動させられたのは初めてだ。この感動に免じて、店の取り壊しをやめるとしよう!」

「本当ですか‥‥!?」

「男に二言はない」


「「「「よ、よっしゃー!!」」」」


「天音の努力があの人を感動させたんだ!ありがとうな!」

「ううん、みんなのおかげだよ!会長もありがとうございました!」

「別に、私は当然のことをしたまでですよ」



「まあ、生徒会には入ってもらいますが」


「‥‥‥へ?」


一難去ってまた一難。

ここから、俺達の生徒会活動が始まるのだった。

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