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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第69話 帝国戦③

 "断罪斧"ボボは歩調を変えずに前進する。

 無数の矢を受けながらも平然としており、速度も一切変わらない。

 アンデッドになったことで不死性を獲得したが、それ以上に生来の頑強さが要因だろう。


 鋼のような筋肉が魔力の矢を食い止めている。

 先端が僅かにしか刺さっていないので致命傷とは程遠い。

 体内の魔力も健全な流れを示していた。

 ボボにとって矢の雨など避けるまでもない攻撃というわけだ。


 戦いの行方を見守るミザリアは呆れ笑いを洩らす。


「身体能力は弄ってないはずだけどね……まさかここまで強くなるとは思わなかったよ」


「三屍神の強化に欲しくなったか?」


「いや……四体目の素体にしたいところだね。過去最高の死霊兵器になりそうだ」


 ミザリアは目を爛々とさせて言う。

 かなりの高評価である。

 それだけの素質をボボは秘めているようだ。


 ボボは矢だらけになった姿で無理やり突き進む。

 低い姿勢から走り出して徐々に加速を始めた。

 やがて大地を踏み割らんばかりの勢いに至ると、魔力の盾を並べる帝国軍に衝突する。


 金属と肉がまとめてひしゃげる音がした。

 兵士が高々と舞った。

 肉片や血飛沫も一緒に飛んでいる。

 悲鳴の合唱も沸き起こっていた。


 ボボが突進をやめた時、彼の背後には血みどろの道が出来上がっていた。

 ただの体当たりで進路上の兵士を轢き潰したのである。

 時間差で落下してきた兵士と肉片が凄惨な彩りを加えていくと、ますます事態の異様さが際立った。

 幸運にも突進の被害を負わなかった兵士達は、息を呑んで凍り付いている。


 佇むボボの手には、いつの間にか戦斧が握られていた。

 戦斧はどうやら魔導器らしく、あまり見ない型だ。

 おそらく帝国兵の誰かが持参したのだろう。

 あえて揃いの装備を使っていない点から名のある兵士だったようだが、ボボの前では有象無象の獲物に過ぎなかったようである。


 ボボがゆっくりと戦斧を掲げる。

 その姿勢から駆け出して、怯える帝国軍に振り下ろした。


 無慈悲な斬撃が人間を真っ二つにする。

 続けざまに放たれた横殴りの刃が、幾人もの兵士を肉塊に変えた。

 巨躯による体当たりは防御陣形を穿って崩す。


 ボボの斧捌きは決して上手くない。

 むしろ素人に近い技量だ。

 隙だらけで空振りも多く、帝国兵から反撃を受けている。

 加えて戦斧が備える魔導器の機能を使っていない。

 正確には使い方が分からないのだろう。


 総括すると、戦士として三流未満の戦い方である。

 それだというのに、ボボは強大な帝国軍を惨たらしく蹂躙している。

 彼が有するのは他と隔絶した純粋な暴力。

 処刑場から解き放たれた執行人は、規範に則る兵士達に甚大な恐怖と被害をもたらしていた。

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