第一章 あとがき
※注意
本あとがきは続編を書く前に投稿されたものです。第二章の内容と齟齬があるかと思いますが、その辺りの変化も踏まえて次章を楽しむためにお読みください。
これにて本作は終わりです。
単行本なら1巻で終わり。もしくは打ち切りエンドみたいな、何だか煮え切らない終わり方ではありますが、わざとこういう結末にしています。それというのも本作は「恋愛小説」であり「ジュブナイル小説」であり、何より「悪漢小説」として書いています。
シルフィーはガチの悪役令嬢であり、嫌な娘です。学園時代にアリス意地悪した挙句、敗北して都落ちしてきます。アリスにももちろん事情があるのですが、だからと言って贈賄や恐喝は手段としていいはずがありません。
ダボンは冷酷な男です。物腰が柔らかいので優しく見えますが、切り捨てるところはあっさりと切り捨てることが出来てしまいます。アリスの治癒魔法があれば治ったはずの弟でもあっさり切り捨てます。
本作ではその辺りをマイルドにしたり、見せなかったりしています。例えばシルフィーは一番最初に村に来て屋敷に逃げ込んだときにゼベに結構酷い口調で話しかけているのですが、その台詞は敢えて文章にしていません。ダボンも他のキャラならカッコ表示されている心の声をわざと省くことで、考えていることが直接分からないようにしています。
シルフィーはマンバナ村で村人から支持を得ていますが、別に改心した訳ではありません。学園時代と同じ方法で取り巻きを増やしたに過ぎないのです。ゼベを始めとした、そういうやり口が嫌いな人間はやっぱりシルフィーのことが嫌いです。
作中後半でダボン自身が何度も口にしているように、彼は「悪人」です。彼が本当の王子様ならシルフィーを魔女からお姫様に戻してあげないといけないのに、彼はそれを絶対にしません。シルフィーが魔女のままでないと、彼は困るのです。お姫様が野豚と結婚することはないと、頭の良い彼は冷静に計算するからです。
だからシルフィーはお姫様の振りをしている魔女であり、ダボンは騎士の振りをしている悪人なのです。
本作を書くにあたって決めていたルールが『キャラクターを成長させない』ことでした。成長して改心してしまうと彼女たちは魔女と悪人ではなくなってしまいます。シルフィーとダボンの間に最後まで肉体関係がないのは、そのためでもあります。女として、男として、成長しちゃいますからね。
ただしピカレスクドラマの一番綺麗な終わり方は主人公が死ぬ(もしくは破滅する)ことです。なので改心して悪人であることを止めないと、シルフィーもダボンも破滅してしまいます。そのためのこの終わり方です。
読んで解るとおり、この時点では二人にとって根本的な問題は何ひとつ解決していません。シルフィーは相変わらずアリスが怖いままだし、ダボンは自分の殻に閉じこもったままの引きこもりです。この終わり方は破滅の先延ばしです。実はこの後のマンバナ村は、父の代に始めた増反、人口問題、ルナ領の外部に闘神の存在が露見してしまったことなど、多くの火種を抱えています。シルフィーやダボンが成長しないと詰みます。バッドエンドです。
ピカレスクドラマの主人公であるシルフィー達がハッピーエンドでいられるのはここまで。
「トゥルーエンドを迎えたかったら、この後にちゃんと成長しないといけないよ」
そういう思いを込めての、本作のエンディングです。最初に思い付いたプロットがここまで、ということもありますが……
賛否両論というより『否』が多い事を承知で書いた本作でしたがいかがだったでしょうか?
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途中で誤字脱字ご指摘、感想などいただき大変助かりました。本当に感謝です。
拙作お読みいただきありがとうございました。




