豆腐か?ゼリーか?
例えるなら豆腐?いや、ゼリーかな。
ゼリーにスプーンを差し込むような感じ。スクっと音もなく先端がゼリーに埋まり込む。
奥へ進みながらすくい上げる。綺麗な切り口とともに切り離される。その切り口・・・。
一瞬、後光?と思えるように長身のその先生の後ろが光った。
夕暮れが深まった暗い教室のせいかもしれないけどその光は天井のライトや
照明以上に綺麗な印象を持った。この人が出してるのかな?と思った途端、黒板からその光の主が
浮かび上がるように現れた。それがなんなのかは自分もわからないがその浮かび上がってきた
光を発している人のようなその人は「天使」と思える出で立ちなのに、鬼のような形相をしていた。
振りかぶったその棒状の何かの先端が黒板の後ろからすごい勢いで音もなく先生に襲いかかる。
その黒板の切り口がゼリーのように見えた。例えはその感想・・・。
後光に見えるその輪郭から先生はそれに気づいてなさそうだったが、
「ぃよっと!」キィィン!!
細身の鉄筋を叩き合うような音が教室に響いた。後ろ手に用意した愛刀を背で
支えるように伸ばしプリンシパリティの三つ又の槍の一撃を止めるカイン。
よく見ると背と刀身に少し隙間が空いている。
片手、しかも背後でゆうゆうと受け止められたことにイラっときたプリンシパリティ。
プリンシパリティ(以降プ)「くっ貴様!この場で殺してやる!!」
カイン(以降カ)「なんでだよ!人間世界に干渉しちゃいけないんだぞ!」
プ「お前から踏み外したんだ!」
カ「影響しない程度に抑えようとしてたんだよ!」
プ「嘘を付け!悪魔のお前がよくもそんな見え透いた・・・」
カ「お前さっきからなんなんだよ!確かに悪魔だがもうん百年も死神としてやってきてるんだって
主任やお前の上からも聞いてるだろ!」
この段階から二人は言い争う姿勢になっている。
『悪魔・・・?死神?っていうことはあの人・・・裸の人は天使なのか・・・?』
天使の光に照らされて教室はそれほど暗さはない。それほどプリンシパリティの放つ光は強烈なのだが
当人はもちろん、カインも口論に夢中で周りが見えていない。
当直の先生が渡り廊下から全て暗いはずの教室の窓からひときわ明るい教室に気づいた。
『本当にいるんだ・・・すげえ!でもなんでこんな所にいるんだろ?それにしても明るいな・・・』
針生戸はふと二人の先にある時計に目がいった。「あっ!」思わず声に出た針生戸の声に
気づいたのは三人。
カ「あっと・・・いたんだっけ?・・・!!」
プ「しまった!人の目に姿を・・・!!」
二人は針生戸に意識を向けようとした途端近づいてくる人間の気配に気づき緊張した。
?「おおい!まだ誰かいるんか~?」
針生戸「あ、はーい!先生すいませーん!もう帰りまーす!」
先生「ああ針生戸か、演劇もいいけどさっさと帰れよ~!」
階段と針生戸の教室にはふたクラスあり、足音は残っている人間を確認したら
そのまま階段を下りていった。
カ・プは安心して胸を撫で下ろした。カインが声を漏らす「・・・ふ~・・・。助かったよ針生戸。」
針生戸「え?先生、どうして名前・・・っていうか本当に先生なんですか?」
カイン「あ・・・」
針生戸「それにそちらの裸の方って・・・天使なんです・・・か?」
う、と気まずくなるカイン。だがプリンシパリティは静かだった。恐る恐る顔を向けるカイン。
プリンシパリティは俯いている。表情がわからない。が、その体を隠すとか恥ずかしがる節はない。
カインはプリンシパリティが今考えていることに気づいた!その直後素早く動いた。ハズだったが
プリンシパリティが一瞬早く、針生戸に持っている槍の切っ先を真っ直ぐ伸ばす!
針生戸「え?」
そうとうな手練でもなければ反応できない速度。音もなく自分の顔めがけて迫り来る刃。
針生戸は人生を振り返る暇もなかった。が、
?「プリン、ししはリっティ様!流石にそれは!!」
槍の棒部分を数本の手が掴んで刃を止めた。針生戸には中空に浮かび上がっている、
肘から先の手しか見えていないが、その手を見る余裕もなく目の前の刃が刃と認識した途端・・・。
ドザッとその場に倒れ込んだ。ガミジン達が口論の途中から警戒していたのである。
間一髪プリンシパリティの暴走を止め、人間への対処(眠らせる)もこうじた。
カイン「ふ~・・・すまねぇ、ガミジン、まず最初にそいつ眠らせるべきだったな・・・」
ガミジン「いや、この少年の対応のおかげだ。ヘタしたらよけいな人間に姿を見られて
余計面倒なことになってたかもしれない。カイン、予定者を守ろうとする気持ちもわかるが
もう少し考えてくれ!」
カイン「ああ悪い。」
しかしまさか本当に人間に向かっていくとはな。天使が自分らの宗教以外は全て邪教と考えて
その教義以外の人間は人とも見ない。
人に見られる。ということはまずないが、もし人に見られようもんなら汚い眼差しを受けたとか
でその人間に粛清という刃を・・・と昔とある仲良くなった天使に聞いたことがある。
笑い話が笑えない事実だった。今回はよっぽど希なケースだがその刃が届いていたら
俺の担当の人間の死以上にこいつ・・・自分という存在そのものが消えるかもしれないって
思わなかったのか?そういえば13番とか言われてたっけ?キリスト教の天使は複数いても隊編成されて
最大で12番までのはず、あとはAだかBだか違いをつけてなんだかんだやってるけど。
それでも13番はなかった。俺へのなにかしらの反発心も関係ありそうな気がしてきた。
針生戸が倒れたのと同時に槍からの力と殺意が消える。プリンシパリティの表情から力が失せる。
糸の切れた操り人形のようにその場にへたりこむ。自分が何をしようとしたのか。
その重大さを理解したようだ。ガミジン隊はプリンシパリティに失礼の内容に、
抱きかかえながら浮かび上がってゆく。ガミジンリーダーがカインに近づいてゆく。
ガミジン「少年に関してはこの場の記憶をレテ(忘却)の水でイメージを具体化して切り取った上で
少年宅へ送っておく。疲れて寝ていた。ということにでもしておこう。幸い家庭は共働きらしいしな」
カイン「よく調べたな。助かるよ」そう言いながらちらっと教室を見渡し黒板で止まる」
ガミジン「ああ、あの切り口もこちらで修繕しておこう。カイン達の出現に気づくのが遅れて
一人結界内に入れてしまった不手際もあったが大事にならないで本当に良かった」
カイン「あいつ(プリンシパリティ)、どうなるんだ?」
ガミジン「異教徒とはいえ人に手をあげようとした。が、途中で止めた。これで押すよ。
あの方は異質でも天使は天使だ。我々は補佐する義務がある。まぁお前が絡んでいた。
ということでなんとかなるだろう」
カイン「ちぇっそうなるのか。まぁそれならそれでいいよ。これもなんとかしてくれないもんかな?」
片腕を上げてグレイプニルを見せる。
ガミジン「今回のようなことを起こさないためにお前にもいい薬になったろう。そのリボンを
見ながらお前も今後気をつけることだな。ん?おっと呼んでいる。それでは失礼するよ。
お前も再び降りるなら一旦報告をした上で、にすることだ。じゃあな」
話の途中にテレパシーで呼ばれたのか。ガミジンリーダーはその場をあとにした、針生戸を抱えて。
誰もいない教室。暴れた黒板付近もすでに整理されている。だれかの机に座るカイン。
遠くの車の音、風、当直者はいようとも学校に人気が消えた。
予定者のこともそうだがこの学校に脱走した悪魔もいる。今後のことにどう向かっていいのか・・・?
カインは頭をかきながら「はああぁぁ~~あ」
と大きなため息をついてその場から消えた。
続きです。天使の性格を極端にしてみました。
かなり強引ですがファンタジーということで
よろしくお願いします。




