状況整理
今更ながら二話目のタイトルだけおかしかったので変えました。そこから持ってきたので、前から読んでくださっていてこのタイトルに既視感がある方はそのせいです。
「お前は美少女だよ。フレア。俺はフレアのことが好きになったかもしれない。」
俺はフレアの目をまっすぐ見ながらそう言った。
«・・・え?ええー、ええと。»
その言葉をフレアが飲み込むまでおよそ5秒。
«ええええええ!!»
フレアの頬が一気に赤くなった。驚きのあまり後ろに倒れこみそうになっていた。
俺はそれを支えながら、言葉を続ける。
「ええと、まぁ、前からフレアの中身は好意的に思っていて。性格とか、話し方とか。・・・あと声もだと思う。」
«え、あ・・・。»
・・・フレアって自分から言うのは何ともないのに、言われると照れるんだな。
俺は赤くなったまま固まっているフレアを見て、少し微笑む。何かを言おうとして、だが言葉に出てこなくて口をパクパクさせているのが可愛かった。
「だけど、やっぱ外見もあるだろ?さすがに黒い炎の状態だとさすがに恋愛感情は持ちにくて・・・。」
«・・・ん?あれ?»
「あー、やっぱりまだ気づいてないのか?体、戻ってるの。」
フレアはポカンと口を開いた後、自分の体をまじまじと見た。
髪は黒のボブ。目は青で、ぱっちりとしていた。全体的に小柄で、元気そうな印象を受ける。
ただの炎の状態だったから何も着ていないのではないか、と再会して初めてフレアの顔を見たとき心配になったがそんなことはなく、黒いドレスのような服を着ていた。
«体戻ってる!!»
「はは。前までは正直、自称美少女って・・・と思ってたんだが、」
«え。»
「本当にそうだったから驚いた。」
«・・・ありがとうございます。»
「いやほんとに。目が覚めてフレアを見たとき息を飲んだからな。」
«・・・あの、う、嬉しいけど、あまり褒められすぎると、ちょっと・・・»
フレアが嬉しさで口元をにやけさせながらも、手で俺を止めようとしてきた。
それが非常に可愛かった。そのため、俺は続ける。
「なんていうか、今までも好きだった中身も、外見が合わさることで倍増される気がする。」
«ぅぅ・・・。»
「その元気な話し方も、嫉妬深いところも。それでいてエミュリアにも優しいところもいいなって思う。」
«・・・。»
「まぁ、ちょっとぬけてるところもあるけど、それも可愛いし。それに――」
«ちょっ、やっ、やめてください。・・・今までの反動で死にそう。»
今までは雑にあしらわってきたが、そのせいかフレアが本当に褒められ死にそうになっていた。もう俺と目を合わせられなくなり、うつむいていた。
「じゃあいったん最後に。フレアは分からないかもだが、俺がいた世界でのアニメとかで、主人公が襲われてるヒロインを助けてそれでヒロインに惚れられるってことが結構あって、本当にそれで惚れられるのかと疑問だったけど、納得した。」
«・・・?»
「今回は立場は逆だったけど、フレアの炎が俺を呼び戻してくれた。炎の熱を感じて、それで戻らないとって思えた。」
«えーと?»
主人公がヒロインを助ける。
よくある話だ。
今回は男が助けられる側だったが、俺は、フレアが助けようとしてくれて嬉しかった。フレアのことがカッコよく思えた。
いろいろと思い出して俺の精神状況が不安定だったのもあるだろうが、それがなかったとしてもフレアへの印象はグッとよくなっていただろう。
男が助けられる側でこうなのだから、反対だとより好印象になるはずだ。
俺の場合、以前から好感は持っていたため、これが惚させられた致命的な点だったように思う。
フレアはやはりよくわかっていないようだが、これを説明するためには何かこういう場面がある本を読んでもらわないと分からないだろうから、説明は諦めた。
「まぁ、とにかく嬉しかった。フレアが助けようとしてくれて。」
«いえ!それは当たり前のことだし、それに私は何もできなくて。»
「そんなことない。ありがとう。」
«・・・はい。»
「こんなことがあった後に言うことじゃないだろうが、これまで曖昧な関係だったから、もう一度言いたい。」
「俺はフレアが好きだ。こんな俺でもよかったら恋人になってくれ。」
«・・・はい、琉斗様。もちろんです!!»
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「ええと、結構派手に戦ったんだな。」
俺は辺りの木々がなくなり、地面がボコボコになっているのを見てそう言った。
«黒多頭蛇が暴れましたから。・・・あと私も力加減を間違えて。»
「そうだったのか?」
«はい・・・。我が王が私の炎の熱を感じたっていうのはそのせいだと思います。すみません。»
「いや、全然気にしてないから。あー、えーとその。フレアに一つお願いがあるんだが。」
«・・・?»
俺は少し気恥ずかしいお願いだったので、遠慮目に言った。
「できれば、我が王って呼ぶんじゃなくて名前で呼んでほしい。」
«・・・分かりました。琉斗様。»
フレアは一瞬呆けたのち、そう嬉しそうに呼んでくれた。
・・・やっぱ好きな人には名前で呼ばれた方が嬉しいな。
ただ、自分からお願いしたので結構恥ずかしかった。
«琉斗様がデレるなんて。これ夢じゃない!?»
「・・・ええー、そういえば、これどういう状況か分かるか?」
«全然分からないです。あっ、というか、なんで黒多頭蛇に体を奪われるようなことになったんですか!?»
「フィシアと中迷宮に向かっている道中で雨が降ってきたから、いったん雨宿りをしようと思って木の下にいたら盗賊に襲われた。」
«そんなに強かったのですか?琉斗様とフィシアなら盗賊ぐらいだったら余裕で倒せそうだけど。»
「一人強いやつがいたな。まぁそいつも倒すことはできたんだが、最初に毒矢を食らっていて、それで意識を失った。その後俺の魂らしい場所であいつと話して、目覚めたら盗賊の拠点の中で、その後は気がついたら体を奪われていたって感じだな。」
«毒、ですか。なるほどそれであいつに・・・。»
フレアは納得がいったようだった。
「フレア、俺が迷宮に出発してから何日が経っている?」
«えっと、まだ一日しかたってないです。»
意外に気絶している時間は短かったんだな。
「えーじゃあ、帝国軍がいるみたいだが、その理由は分かるか?」
«分からないです。・・・あっ、カラズを攻めるつもりとか?»
あり得るな。帝国軍はカラズが目標か・・・。
「そういえば、ここはどこだ?」
«えっと、カラズから少し西に進んだところの森林地帯です。たぶん帝国軍の拠点。»
「なるほどな。」
ここが本当に帝国軍の拠点であるならば、カラズを攻めようとしている可能性は高い。この付近に拠点を設けて攻めるほどの場所はカラズしかない。
だが、カラズは魔王国と帝国の国境付近にある都市だから防衛力は高いはず。それに魔王の家臣もいたはずだ。それをなぜ今攻める?
今は、魔王国には魔人が、帝国には勇者が召喚されたはずだ。その状況で、わざわざ落としにくい街を攻める必要があるのかが疑問だ。俺からすれば、今は戦力増強に努めるべきだと思う。
いや、そう思うことを予想してのあえて、か。
・・・ん?ちょっと待て。いくら何でも帝国軍が黒多頭蛇とフレアで全滅させられたとは思えない。となると今帝国軍はカラズを攻めている。カラズには――
「エミュリアは大丈夫なのか?」
«え・・・あっ!!»
大きな声を出したフレアは、だんだん蒼白になって行った。
«すみませんっ。»
「いや、フレアは悪くない。今回悪いのは俺だ。だが・・・」
そう簡単にカラズが落ちるとは思っていない。むしろ、帝国軍が壊滅させられるのではないかとすら思っている。
そもそも、城壁がある街の攻防戦は圧倒的に防衛側が有利だ。防衛側は城壁に隠れて攻撃ができるし、それに対して侵攻側は城壁を上る必要がある。
それに加えて、カラズには魔王の家臣がいる。到底落ちないだろう。
しかし、攻撃の余波が街に当たる可能性もなくはない。
「そうだな。できるだけ早く合流するか安全な場所に避難させたいな。」
«・・・琉斗様って過保護ですよね。»
「・・・そうか?」
«はい。・・・そういうところも好きですけど。»
「・・・。」
・・・いちゃついてる場合じゃないよな。
「ええと、話を戻すが、あとはフィシアの居場所が分かっていない。盗賊と一緒にいるようなことを聞いたが、その盗賊がどこにいるのかが分からない。」
«私も盗賊は見てないですね。»
「じゃあ、まずはエミュリアのところに陰狼を行かせて、それでフィシアを探――」
«琉斗様!»
「ああ分かってる。」
帝国兵が集まりだしたか。




