大きなからだ
とらのあなで店長と話している。ワンピースはまだまだ終わりが見えない。話は今お互いのやりたいことになる。店長はドローンを操縦できるようになりたいなという。近所の風景をちょっと上から見てみたいんだよね。鳥のように。わたしは吃音がとれたんでいつか接客のアルバイトしてみたいんですと話す。そうなんだと言って店長はしばし黙る。
「それは今すぐでもいいのかな?」
「え?」
店長が言うにはスタッフの一人がスケートボードで足を怪我してしばらく働けないから誰か人が欲しいとのことだった。治るまでの間だけど。それでもいいなら。
「いいんですか?」わたしは戸惑う。そんなことあっていいのだろうか。
「色々あったけど、あったせいか、君のこと信用してるんだよね。変かな?」
「変です」店長はふふっと笑う。大きな体にたくさん、とてもたくさん。
「毎週俺たち話してたからね。お互いこれ以上ない面接だったんじゃない?」やろうよと店長がいう。堪えるが、鼻水は出てくる。願うこともできなかった。これではないだろうか。きっとこれがそうだ。
「あるから言葉もあるんだ春もういちどサンタクロースを信じる」とわたしは詠う。
後日、真新しいスタッフ用のエプロンに身を通す。今までとは違った視点で店内を見渡す。予感していたが、この仕事は図書委員の仕事に似ているところがある。だから割とすぐになじめるようになった。当初は短期でとのことだったが、結局はそのまま続き、大学入学後も続け、卒業後は社員になった。門外女だったBLもその頃には微に入り細に穿ちお勧めできるようになった。




