いつの時代でも古びない帽子
天気予報によると沖縄はまだ暑い。日差しも強いだろう。だから帽子を買いに行こうという話になった。日曜日、わたしたちはステラプレイスに行く。週末の街は賑わいを見せている。店には色々な帽子がたくさん置いてある。鏡の前であれこれとかぶるだけでも楽しい。帽子のおかげで自分の顔も二割増しで気に入って見える。わたしたちの気持ちはどんどん上がっていく。五月蝿い。しばらくたって、わたしたちが落ち着いたころ、「いかがですか」と店員の人が近づいてくる。
「どれも素敵で決められないです。頭が三つあればいいのに」と橋子がいう。
「そうだとうちも儲かるんですけどねえ。わたし、佐々木といいます」
「最近はどんなのが流行ってるんですか?」
と、永遠が聞く。そうですね、たとえばこういうのなんて。佐々木さんはわたしたちに説明をしてくれる。わたしは少しうわの空で聞いている。気に入った帽子がひとつあった。それにしたいと思い始めていた。わたしたちの他にも入れ代わり立ち代わりお客さんが途切れない。誰かに買われないうちに手に持っておいた方がいいのかなとわたしは思う。3人の元を離れて、気に入った帽子のところへ行き手に取る。空に浸したような青い帽子。みんなのところへとわたしは戻る。
「こ、これはどんな帽子、ですか?」
「そうですね。その帽子はとてもクラシックなモデルです。これまで多くの女性がそのデザインの帽子をかぶってきました。これから先もそれは続くと思います。いつの時代でも古びない帽子だと言えると思いますよ」
「そうですか」
シャープペンでもパジャマでも長く使えるものがわたしは好きだった。これにしますとわたしはいう。ありがとうございますと佐々木さんはいう。これからこの帽子を大切にしようと思う。橋子と永遠も選び終わっていた。ふたりはおすすめの流行のものを買ったようだった。帽子屋を出た後は日焼け止めを買った。その後は6階でオムライスを食べる。
「守りは完璧。もうわたしたちを止められるものは立派なシーサーしかいない!」
「て、天気予報は、どうなってるのかな」
「ずっと天気いいみたいだよ。ラッキーだね」
「撮影もばっちりできそうだね。三脚はもう買ったの?」
「う、うん。アマゾンで。な、なるべく、か、軽いやつにした」
わたしは旅行の様子を動画にすることにしたのだった。最初は祖父母に礎の様子を動画で見せてあげたいと思った。でもそれなら自分の思い出になるし、旅行中の様子を全編撮ってひとつの動画にまとめるのもいいなと思いなおしたのだった。面白いものが撮れるだろうか。ちょっとした挑戦なのだった。
「ふ、ふたりとも、今、部屋散らかってない?」
「散らかってる。スーツケースに何入れるかでごちゃごちゃになってる」
「わたしはよく旅行に連れてかれてたから慣れてる」と永遠はいう。
「わ、わたし、初めて、飛行機に乗るの。き、緊張する」
「最初はそうだよね。わたしも初めての時は親の手をずっと握ってたよ」
「離陸の時は五十嵐くんに手を握ってもらったら?」
「そ、それは別の意味で、緊張するから」
「いばらのこころもテイクオフするんだよ」
「まだ始まってないけど、なんだか終わるのが寂しい。変かな?」
「ちょっとわかる気がする。一生懸命準備しているとなおさらね」
「一番大きな行事だからさ」
「で、でも、まだ、わたしたちには、は、半分も残ってるよ」
「そうだね。気が早いか」
「も、もっと楽しいことが、い、い、いっぱいあるよ」
「そんなに?い、い、いーっぱい?」
「そう、い、い、いーっぱい」




