アンリ姫姉さんが来ました
「ふふふ、普段ユフィがかわいがっている、
ふにゃふにゃのひなたちもかわいいですね」
そう、アンリ姫姉さんが優し気に微笑んだ。
「あのね、ふうくんとすうくん、ふわもふでとってもかわいいんだよ!」
と、アンリ姫姉さんのお膝の上でくつろぐもゆちゃんを、
アンリ姫姉さんが優しく撫でる。
もゆちゃんはウチのキナ家の養女なので、
アンリ姫姉さんとお兄さまが結婚すれば、
義理の妹になるのだ。
と言うこともあって、アンリ姫姉さんはもゆちゃんもかわいがってくれている。
「それにしても、アンリ姫姉さんが来てくれるなんて嬉しい。
何か食べたいお菓子とか、ある?
すぐ出せる者なら、クッキーかドーナツが・・・」
「どーにゃつ!ぐり、どーにゃつ食べたい!!」
お隣から遊びに来ている、グリフォンの女王のひな・ぐりちゃんが、
“ドーナツ”の単語に食いついた。
「ふふふ、では、私もドーナツが食べたいです」
そんなぐりちゃんに苦笑すると、
アンリ姫姉さんが気を利かせてそう答えてくれる。
「わかった。じゃぁ、ちょっと待ってて。
ぐりちゃんもいい子で待っててね」
「ぐり、わかった。どーにゃつのため、
ぐり、きょうもたたかう!」
一体何と戦うんだろう・・・食欲かな?
―――
暫くしてドーナツをお皿に盛って戻ると、
アンリ姫姉さんは今度は神獣たちに囲まれていた。
「そうにゃぁ!ふにゃ、みたらし団子のお母さんにゃぁっ!」
「ユフィからいつも聞いていますよ。
今日はお会いできて光栄です」
「ヌイの相手は大変じゃろう?あれは本当にブラコンが過ぎるからのぅ」
「あらあら、ヌイくんの婚約者にはもったいない美人さんね」
「髪さらさらで、とってもキレイです~」
ふにゃ、ひにゃさん、はにゃさん、アセロラちゃんに囲まれて、
アンリ姫姉さんがふわもふっとります。
こうしてみると・・・隠れくまちゃんファン・・・
と言う噂も尤もな、年相応のかわいいお姉さんなんだよね。
「げ・・・何でアンリがここにいるの?」
移動扉で戻ってくるなり、お兄さまが呟くと、
アンリ姫姉さんがキッとお兄さまを睨む。
「私は、以前ウイと約束していた訪問に来たまでです」
「ぬあっ!?」
いつも通りのふたりの反応を見つつ、
子どもたちにドーナツを出してあげる。
あ、ほら、ドーナツ来たよ~、ちびっ子たち。
ちびっ子たちはすかさずドーナツに群がる。
もゆちゃんはドーナツをふたつ持って、
アンリ姫姉さんに差し出す。
「はい、ねーねのどーなつ!」
「おや、ありがとう、もゆちゃん」
アンリ姫姉さんは、先ほどの鋭い視線をすぐさま優しい双眸に変え、
もゆちゃんからドーナツを受け取り食べている。
「お兄さまったら、せっかく婚約者がいるんだから、
もっと交流したら?」
「お兄さまはウイを抱きしめていたい」
「アンリ姫姉さんに捨てられても知らないよ?」
「お兄さまはウイがいればいいもんねっ」
「安心なさい。あなたのようなブラコン、
放っておいたらどうなるかわかりませんから。
婚姻後はしっかり首輪をつけて差し上げます」
「えぇ~、やだよ~。じゃぁ、婚姻しなぁ~い」
「いや、早く結婚しろよ、お兄さま」
そうツッコむと、お兄さまもアンリ姫姉さんも苦笑して・・・
こうは言い合っているものの、
案外、息は合っているのだと思う。
そして、婚姻を渋っていたお兄さまだったが、
国王陛下とアンリ姫姉さん、そして父さんの策略により、
とうとう婚姻の契りを結ばされたのだった。
その後、しょっちゅう忙しそうにしているアンリ姫姉さんだったが、
お休みの日はこうしてウチに遊びに来てくれて、
ちびっ子たちと戯れたり、
リリやユフィくんと一緒にくつろいだりしたりすることもある。
お兄さまとは・・・
割と職場で会っているということもあるから、
別にいいとはいいつつも、
ウチで顔を合わせれば、楽しそうに会話をしている。
アンリ「・・・この雑誌のくまちゃん・・・かわいい・・・
でも・・・この間ご褒美に買ったばかりだし・・・どうしよう・・・」
柱の陰からお兄さま「・・・全く・・・今度、茶会の時に贈ってあげよう」
※割と仲のいいふたり※




