第9話 旅立ち
ソウタが必死に母の看病をしながら、薬草を採取する日々が数年続いたが、母は次第に弱っていき、帰らぬ人となった。
母が亡くなって数ヶ月後、ソウタは村を出る事を決意した。
ソウタは15歳になっていた。15歳といえばこの世界では成人として扱われる。一人前の男として村を出る事が出来る年齢だ。
「ソウちゃん、行ってしまうのね」
一つ年下で幼馴染のナナミがソウタの両手を握る。
「ああ、俺は旅立つ、華やいだ街で君への贈り物を探すつもりだ♪」
「あ、また変なモードになってる。おままごとしていた時から、変わらないわね」
村の入口にソウタを見送りに来たのは、ナナミの家族と錬金術師のおばばと村長だった。
村長が村民証明をソウタに渡す。
「これを持って行きなさい。都市に入る際の身分証明になるぞ」
「ビーカル都市には、儂のお師匠であるコエザ様がいる。これを見せれば相談ぐらいは乗ってくれるじゃろ」
錬金術師おばば(本名ボンブル)が師匠に宛てた手紙をソウタに渡した。
師匠の名前はコエザ・キグリと言うエルフの錬金術師だ。
「村長、おばば、ありがとう。ナナミ、薬草の採取はお願いしたよ。じゃあね!」
「任せて、ソウちゃんほどは採れないけど、地道にやるわ。じゃあねぇ、ソウちゃん。リャンちゃんもバイバイ」
「バイバイ」
ソウタは馬車に乗ると雷獣のリャンゾウを抱っこして、リャンゾウの前足を持って振った。
ソウタは村に来た商人の馬車に乗せて貰い、近くの都市ビーカルに向かうのであった。
商人の名前はジメイ、行商をしており月に一度村に来る商人だ。
ヤコイケ村と都市ビーカル間は野盗もいなく、森に入ればモンスターもいるが、街道には滅多に出現しない平和な道だ。護衛の必要性も低いので、ジメイ一人で回れる。途中幾つかの村を巡り都市ビーカルに向かう。
ソウタは、馬車に乗せて貰う為に、少ないお金を渡しているが、ジメイの手伝いもしながら都市に向かうのであった。
途中で薬草等も採取してジメイに売って貰ったり、珍しい薬草はおばばの師匠のお土産に取っていたり、平和な旅が続いた。
城壁都市ビーカルに着いた。
高い城壁に囲まれた都市ビーカルには幾つかの門があり、貴族用、冒険者用、商人用、旅人用の門の内、ジメイは商人用の門に並び、ソウタは旅人用の門に並ぶ為、門の前で別れる。
「ジメイさん、ありがとうございました」
「いやいや、私もソウタに手伝って貰って助かったよ。旅の間も色々話も出来て楽しかった。都市で困った事があったら相談に来なさい。大した力にはなれんが、私で良ければ相談乗るよ」
「分かりました。その時はお願いします」
旅の間、ソウタは商人のジメイに馬車の御者席に座り、馬車の操縦を教えて貰ったり、都市やこの世界の事を色々教えて貰っていた。
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