13. 初クエストを受けてみよう
昨日は色々あったのだが、気を取り直して今日は朝から冒険者ギルドへとやってきた。基本的に新規のクエストはその日の朝に張り出されることになっているらしい。
初日ということもあり、眠い目を擦りながらもわりと気合いを入れて早くやってきたのだが、すでに先客がそれなりに並んでいた。
人付き合いには挨拶が肝心だと、前を並んでいる人に一声かけて僕達も列へと並ぶ。
僕達の前に並んでいた冒険者は僕とも年齢の変わらない少年少女達だった。
「こんにちは」
挨拶とは人間関係の基本である。なるべくにこやかな顔で近くにいた少年に話しかける。
「お、おお。見ない顔だな」
「実は最近来たところなんだ。よろしく、マコトだ」
「おう、よろしく。おれはマークだ」
差し出される手を握ろうとすると
(ちょっと……)
マークの横にいた少女がひそひそと何かをマークに伝えている。マークの視線は僕の横へと移ると、驚いた表情に変わる。
「わ、悪い」
そう言って道をあけると僕らに前へ進むように促した。それに続くように並んでいる人達が道を空けていく。まるでモーゼが海を割るようだ……
思わず戸惑ってしまい、レーヴァの方をみると何故だか彼女は誇らしげな顔をしていた。何故に……
「さあ、行きましょう」
門が空いたのを見て、レーヴァが僕を促す。
僕は何とも言えない気持ちで冒険者達に見送られながら門をくぐる。
冒険者ギルドの中に入り、階段を上った僕たちに一気に視線が集まる。
硬直したように直立してこちらを見る受付嬢達、その受付嬢達を見てどうしていいか困惑する僕、そしてそれらの状況を意に介さずに僕のことをずっと見つめてニコニコしているレーヴァ。こんなに綺麗で可愛いのに何時も近くから見つめてきてわりと理性が危ない。
そんな緊迫した?空気を破ったのは奥の階段からちょうど二階へと降りてきたタニアさんだった。
「マコトさん……と、レーヴァさん、もういらしたんですか。こちらへどうぞ」
そう言って僕たちを奥の方のカウンターへと案内していく。
「皆さん、マコトさん達は私が担当しますから、仕事に戻ってください」
タニアさんの声に我に返った受付嬢達が止まっていた時が動き出す。
僕たちが、奥のカウンターに座った頃には他の冒険者達も次々と二階に上がってきた。
特別扱いと言うと聞こえはよいが、他の冒険者との距離を大きくあけて座らされているのは、どっちかというと隔離……
「マコトさん?」
「あ、すいません聞いてます」
「と言うことでですね、お二人には初めてということもあり、まず基本的なクエストとして、薬草の採集を受けて貰おうと思いますが、よろしいでしようか?」
タニアさんは、僕たちの方というかレーヴァを少しおずおずと見ながら言う。
「僕は、いいと思うけどどうかな?」
「そうですね、マスターの初クエストとしては相応しくない……かなと思いましたが、確かに一度チュートリアルを受けて置くのも……」
「チュートリアル?」
「いえ、よろしいかと思います」
その瞬間タニアさんの露骨にホッとした顔をしたのが見えた。
ほんとなんだかすみません……
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