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11.期待の新人登場?

「試験は地下の訓練場で行います」


タニアさんに案内されて二階の奥の階段へと向かう。地下に行くには一階から直接行くことができず、一端受付を通らないと行けない仕組みになっているそうだ。

上の階には幹部の部屋などがあるらしいが、余り偉い人には会いたくないものである。


長く続く階段を降りて地下へと入ると。ドーム場になった広い空間がそこにはあった。

中にはきっと彼らが冒険者なのだろう、壁際に置かれた人形のようなものに武器を打ち込む人。冒険者同士で武器を打ち合っている人、教官のような人に指導をしてもらっている人。数人の姿が見える。

初めて目にする冒険者だ。


タニアさんは僕達に待っているように言うと、教官のような人に近づき、何やら会話をすることしばらく。今度は二人でこちらにやってきた。

指導を受けている冒険者は休憩になったようだ。その場で尻餅をついて休んでいる。


「おまえ等が今日きた新人達か、俺は元C級冒険者で今はここで教官をしているダンカンだ。今日は二人の試験をさせてもらうことになった」

「あ、はい、よろしくお願いします」


そう言って差し出された手を握って握手する。ダンカンさんはその後レーヴァの方にも手を伸ばしたが、レーヴァはスルーしており、ダンカンさんの手が空中を舞ったが、そこは僕もスルーしておく。


ゴホン。


ダンカンさんが咳き込みして、気を取り直すようにして言う。


「試験だがそんなにかしこまることはない。適正を確認するくらいで、ほとんど失格になる奴はいない。武器を取って俺と打ち合ってもらうだ。最も俺に一撃を入れれるような奴がいればE級からスタートだ」

「そこの女は経験があるようなので、まずは男の方、君なんていうんだ?」

「マコトです」

「では、マコトから始めようか。武器はどうする?壁沿いに訓練用の武器があるからそこから選んでもらったらいいぞ」


壁の側には刃の潰された剣や斧、槍など様々な装備が置かれていた。

剣は握らない方がいいんだよな……そんなことを思いながらバーゲンセールのような武器置き場からレーヴァの反応をみつつ、剣とは言い切れない鉄の棒のようなものを抜き出した。

レーヴァも軽く頷いている、これでいいだろう。

レーヴァも適当な剣を選んだようだ。


「また、不思議なものを選んだな」

「意外に振りやすかったので」

そう言って適当にごまかしておく。


新人の訓練は恒例の見せ物みたいなものなんだろう。周りの冒険者達も訓練を止めてこちらに集まってきていた。

みんなの目当てはどうやら僕ではなくてレーヴァのようだが……

なおレーヴァはそんな視線は我関せずで僕の方をみてにっこりしている。


「よし、準備できたな。では何時でもいいぞ」


僕はダンカンさんに向かい合い、鉄の棒を構える。

流石は元C級冒険者ということだろうか、素人目にも隙があるようには見えない。

刃を潰しているとはいえ、剣を手にした人間を目の前にするのは軽い恐怖心を覚え、冷や汗が流れるのを感じる。恐怖に打ち勝つように一度全身に気合いを入れてダンカンさんへと向き合う。


向き合うことしばらく、このままじっと伺っていても、試験にならないだろう。僕は意を決して斬り(?)かかってみる。

するとどの攻撃もあたかも予見されていたように剣で受け止められ弾かれてしまう。

周りの冒険者から褒める声も聞こえており、僕の動きも決して悪くないとは思うが、これがC級冒険者の実力ということか。その後も何度も攻撃を弾かれてくると、息が上がってきて、肩で息をする。


「まずまずといったとこだが、そこまでか?本気で打ちかかってこい!」


ダンカンさんにハッパをかけられ、舐められているようで、少し頭に来たのでもう少し頑張ってみる。

棒を握る拳に力をいれて身体を沈め、棒を左下方に構える。刀を扱っているわけではないが居合い抜きのような体制だ。

呼吸を1つ2つゆっくりとして、息を整えると、一気に飛び出した。ダンカンさんがこれも反応して受けようとするが、僕の狙いはダンカンさんの剣自体だ。突っ込む動きを少し手前で急ブレーキをかけつつ制動されて行き場を失ったエネルギーを一気にダンカンさんの構える剣へと放つ。

この動きは予想外だったのかダンカンさんの剣が大きく弾かれた。


チャンス


僕は返す刀ですかさず右からダンカンさんの身体を打ち払ったっとその瞬間。


ドッ


僕は腹部に衝撃を受けて後ろに吹き飛ばされた。


地面に打ちつけられる衝撃もさることながら、鳩尾に食らった衝撃で苦しくて息ができない。何とか身体を横にして咳き込もうとするが、涎がでるだけで息が出てこない。


「マスター!」


レーヴァが慌てて寄ってきて何かをしてくれたのだろう。すぅーっと身体が楽になり、僕は地面に大の字に身体を投げ出した。


「レーヴァありがとう。でも、一撃入れましたよね?」

僕は地面に寝転がったままダンカンさんに向かってそう言った。僕の右手には確かに一撃を入れた感触が残っていた。


「すまねぇ、焦って本気を出しちまった……ああ、確かにわき腹に一撃をもらっちまったよ。おめでとうマコト、お前はE級スタートだ」


周りの冒険者達から歓声があがる。


レーヴァに手を引いてもらい身体を起こしているとタニアさんがこちらに走ってきた。


「すごいです、マコトさん。ダンカンさんに攻撃を当てたのはあなたが初めてですよ!!」

「ああ、悔しいが確かに最後の一撃は素晴らしかった。期待の新人誕生だな!」


ダンカンさんもそう言って笑っている。


僕らは死力を尽くして戦った戦友のようにダンカンさんに起こしてもらい、互いの健闘を称えていると、


「私の試験がまだですよね?」


そう言う、レーヴァの平坦な声が後ろから聞こえてきた。あのひょっとしてレーヴァさん怒ってます??


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まだ粘って毎日更新中、まとまった時間がほしいです。


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