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最高のタイミングで

『ネクロ』に戻った大河たちを迎えてくれたのは、いつもの温かく柔らかな笑顔とは異なり落ち着かない様子の表情を浮かべていたシーラであった。


[あ、お帰りなさいタイガさん! よかったです。無事に戻って来てくれました]

「勿論です。あの場にレイアさんもイージスさんも居たんですから。仮に『隠れ教徒』や結界の仕掛けが見破られようと大丈夫でしたよ」

[ですが勇者が持つユニークスキルは多種多様です。レイアが呪いを解呪する前にタイガさんが倒されてしまう可能性ありました!]

「……まあ、それはそうですね」

[なので、私が心配しながら待っていたのは正当な行為です!]

「はい。心配をお掛けしました」


『孤高の呪い』と『不死の呪い』。そして『弱き転生(弱くてニューゲーム)』を持った状態の大河は、セルフ無宗教状態である。

 そのため死亡すると魂は還る事はできず、かといって『不死の呪い』によって蘇生されるにはポイントが無いため、そのまま魂が地上に留まり続け結果として消滅してしまうという事態になる。

 それを避けるためにいつでも大河に掛かった『孤高の呪い』を外す準備だけはしていたレイアであるが、いくらレイアと言えど初見のトンデモユニークスキルには対応出来ない可能性もあった。

 とはいえそんなユニークスキルが突然生えてくる確率は低い。リスクとリターンを考えれば大河たちが作戦を決行した事に理解を示しているシーラである。理解は示しているが、それと心配しないのは別の問題であるのだ。


[と、すみません。折角作戦を成功して戻って来たのにこんな話をしてしまって]

「いえ、大丈夫です。それに今回の作戦が本当に成功したか分かるのはこれからのウルザ陣営の動き方次第ですから」


 相手の勇者の反応から見て大河が改宗したと思い込ませる事には成功した。しかし今回の作戦は大河という爆弾が自身の手から離れた事によるストレスからの解放で、ウルザが精神的に復活し、ルフェル陣営の盾となってくれる事を期待してのものである。

 そのため本当に作戦が成功したかどうかは、今後ウルザ陣営がどのように行動するかによって決まると言える。


「そうだな。ついでに私がシーラ様の陣営に入ったということも知られたからな……タイガという圧力が無くなったとなれば『ネクロ』や『リュート遺跡』に攻め込んで来るか?」

「前にタイガが言ってた『ベスティア』や『イグドラシル』の可能性もある」

「……ただ、ウルザも馬鹿では無い筈です。脅威度が格段に下がった俺らを潰すことに固執してルフェルを放置したりはしない筈です。それに、もし仮にウルザたちがシーラ陣営に攻撃を仕掛けて来た場合、面白い事が起きますよ」

「面白い事?」


 ウルザ陣営の動き方として考えるられるのは主に2パターンである。大河というウルザ特効の武器を失ったシーラ陣営をこれを好機と攻撃するか、これまでの件で放置してしまっていたルフェル陣営との決戦に戦力を回すかである。

 ウルザの性格的にはシーラ陣営に攻撃を仕掛けて来そうではあるが、躍起になってシーラ陣営を攻めれば戦力が低下した状態でルフェル陣営と対峙することになることは、ウルザも理解している筈なので多少のちょっかいは掛けてくるだろうが、順当に行けばにはメインはルフェル陣営となってくれるだろう。


 とはいえ弱体化したとはいえ、まだまだ二大勢力であるウルザ陣営のちょっかいは、ライカロープ率いる『ベスティア』は兎も角、『イグドラシル』や『ネクロ』には厳しいものがあるだろう。

 しかし大河は、そのちょっかいによって面白い事態に発展するという。その意味が分からずレイアたちは首を傾げる。


「はい。ルフェル陣営は『偽りのウルザ陣営作戦』で俺たちをウルザ陣営だと勘違いしています。そんな俺たちとウルザ陣営が小競り合いを起こした場合、ルフェル陣営はどう思いますか?」

「びっくりする?」

「仲違い……それか何かまた起こすための下準備をしているのではと思う?」

「全て考えると思います。するとルフェルは魔獣などの信者を使い調べる。そして驚く訳です。少し前まで俺という存在が知られないように必死に情報統制していた筈のウルザ陣営が、情報統制を緩めていることに」

「あ、確かに」


 ルフェルは筆頭勇者デウスのユニークスキル『絶対君主』から得られる情報を重要視している。そんなルフェルたちが、これまで厳重であった情報セキュリティが突然脆弱となった敵勢力を見たら何を思うか。


「何か罠を仕掛けようとしていると考えてくれると思いませんか?」

「……『偽りのウルザ陣営作戦』で大爆発を起こしたタイガに注目させておいて別の隠し球をぶつけようとしてるとか?」

「そんな感じです。そしてそういうルフェル陣営の警戒心がウルザ陣営にも伝われば、俺たちは何もせずとも激突してくれそうですよね」

「おおー」

「まあそこまで上手く行くのが理想ですが、そういう状態に近づけるように頑張っていきましょう!」


 ルフェルがウルザを警戒し、それを察知したウルザもルフェル対策に集中する。そういう状況に持って行ければベストである。


[でも、タイガさんは指示だけですよ!]

「はい。分かっております。ここまでやったのなら、改宗偽装をバラすのはベストタイミングじゃないといけませんしね」

[そういう話ではありませんが……結果として安全ならよしです]


 とはいえ、しばらくの間は『孤高の呪い』を外せない大河は基本的にシーラの領域内でお留守番である。

 一番細かな指示を出さなければいけない状況で領域から出られないのは心苦しいが、これも全て最高に嫌がるタイミングで偽装をバラすためと大河は我慢するのであった。

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