表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
51/96

閑話 女神ウルザⅤ

 視界共有をしたタイミングを狙ったかのような『自爆』により、目にダメージを負ったウルザは、神として誕生して以来初めて床に転がり悶絶するという屈辱的な経験をした。

 その上、悶絶している間に100万を越える賠償代の請求までされたウルザが、今日まで正気を保っていられたのは奇跡に近かった。


 ギリギリの所ではあったがなぜこれまで正気を保っていられたかというと、獣国『ベスティア』に仕込んでおいた内通者から、大河を匿っている神についての情報が入ってきたお陰であった。

 幾人もの勇者を退けた『無敵要塞』のイージスの撃破ポイントが1万程度の事を考えれば100万という損失は考えられないほど重いものである。しかしそれでも大河さえ、ウルザのポイントを湯水のように不正利用する大河さえ処理することが出来ればこの地獄は終わる、筈であった。


[……いないですって? そんな、そんな筈無いでしょう!?]


 しかし従属神からの報告により保たれていた正気は完全に崩れ去る事になる。


[……内通者から名前の上がった神は全員、勇者の没収に応じました。その上で勇者の過去の記録を確認しましたがオリガミタイガと接触した勇者はいませんでした]

[そ、そんな……じゃあ、じゃあどこにいると言うの?]

[少なくとも今回粛清対象に入った神々の元にはいない事が確定いたしました]

[ふ、ふざけるなぁ! それはなに、私が騙されたと言いたいの!]

[そ、そんなことはございません!]


 今回の件を指揮していた従属神は、淡々と結果を報告しながらも内心、どんどんヒステリックになっていくウルザに脅えていた。

 そもそも従属神は、複数の内通者から異なる神の名前が上がってきた段階で情報の信憑性に疑問を抱いていた。しかし既に冷静な判断を失っていたウルザは、ようやく手に入った大河の情報に簡単に飛び付いてしまったのだ。


 騙されたと言いたいのかというウルザからの問い掛けに答えるとすれば、はいである。

 どこまでが真実でどこからが虚偽かは判断できないが、もし今回の一連の騒動が仕組まれていた場合、自身が報告した大河らしき人物の目撃情報から仕込みである可能性すらある。そうなればウルザ陣営内に裏切り者などおらず、大河は変わらず女神シーラと共にいるのだろう。

 しかし従属神にそんな事を言う勇気などない。少なくとも今のウルザには。


[『自爆』の勇者を匿っている神が獣人族に正体を偽って伝えた可能性などはあり得るかと。あれ以降獣人族側の内通者とも連絡が取れていませんので詳細は分かりませんが]

[……そう。所詮は畜生という訳ね]

[は、はい]

[なら、さっさと他の神の調査してあのゴミ勇者を見つけ出しなさい!]

[わ、分かりました!]

 

 従属神との通話を終えたウルザは、頭を抱え発狂し出す。


[ああぁぁぁぁ! あのゴミのせいで、ゴミのぉぉ!] 


 ウルザも自身が騙されている可能性には気が付いていた。その上でその可能性を無視していた。 

 なぜかと言えば仮にそうだった場合、ウルザ陣営が総力を挙げて捜索を行っていても未だに居場所すら掴めていないシーラを探し出す必要がある。

 しかも少し前とは状況が異なりシーラには自身の支配領域の近郊で『自爆』を許すほどの強固な協力関係を築いている者たちがいるため、シーラを発見したとしても終わりではないのだ。 


 そんな絶望的な状況が成立している可能性を直視したく無いウルザは、確度の低い情報に縋り、自身の心の安寧のため、ウルザ陣営の神々を疑い、無実の罪で粛清を繰り返す。

 その結果、神々だけでなく、勇者や信者たちからの不信感が募っている事すら目に入らないのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ