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最高の嫌がらせとは

 獣国『ベスティア』の近郊に存在する森『牙の森』で行われたフォルティスたちを巻き込んでの自爆も無事終了することができた。

 加えてライカロープから『賠償者』によるポイントでの被害回復が行われたと連絡が入ったため、大河たちは転移によって『リュートの遺跡』に戻って来ていた。


「……可能性は低いとは思っていましたが……死亡したばかりのオリーバさんに無理を言って付いてきてもらっていただけに、残念です」

「臆病者なウルザには、連続で目を犠牲にする勇気は無かった」

「まあオリーバさんのお陰で、ウルザの性格をより深く知れたと思いましょう」


 『イグドラシル』近郊で行った、『自爆』を発動するタイミングを視覚共有された瞬間に行うことで爆発による閃光を直視させるという嫌がらせ。 

 これは神からの干渉すら感知できるハイエルフの五感があればこそ可能なため、1度被害にあったウルザが連続で視覚共有をしてくる確率は高くは無かったが万が一にも嫌がらせのチャンスは逃せないと言う訳で、『ベスティア』にもオリーバは付いてきてくれたのだ。 

 結果的にはオリーバの同行は徒労に終わったが無意味という訳ではない。オリーバがいたお陰で『孤独の呪い』を解呪中の大河を前にして、ウルザが視覚共有を避けた事実を確認することができた。

 これは今後の嫌がらせ活動の幅を広げるための大きな情報となるだろう。


 となると気になるのは今後の動きである。特に今回の作戦では『リュートの遺跡』を守護するだけで終わってしまったイージスとしては余計に気になる所である。

 

「それで、これからどうするんだ? 『賠償者』による嫌がらせを続けるのか?」

「いえ、イージスさん。これからについてはウルザがどう動くか次第ですが、今後『賠償者』による嫌がらせはできる限り行わない方針です」

「なに! なぜだ? 今回もウルザに100万ポイントを越える損害を与えられただろう。過失相殺によって多少エルフィード様やライカロープ様側にポイント的な負担があるとはいえ、使わない手は無いだろう!」


 『自爆』や『誘爆の呪い』も強力であるが、ウルザのポイントを削るという点において『賠償者』は他の追随を許さない性能を誇る。

 過失相殺のせいで死亡ペナルティを完全には賠償しきれないというデメリットはあったが、それも今回『賠償者』を使用した結果ある程度過失相殺の仕組みは解明されたため、差程問題にはならない

 しかし大河は『賠償者』によりウルザを追い詰める行為は今後控えると言うのだ。その大河の方針に声に上げたのはイージスだけであるが、シーラやレイアたちも驚いていた。


[タイガさん。理由を教えていただけませんか?]

「タイガお願い」

「はい。勿論です。主な理由は2つ。1つは『賠償者』戦法ではシーラ様にポイントが殆んど入りません。いつもの『自爆』ポイントは獲得していますが、そんなものは転移や神託通話などで消費してしまっています」


 『賠償者』は残念ながら被害を回復するだけである。ウルザに多大なマイナスを押し付ける事ができるのは嬉しいのだが、こちら側のポイントは最高でもプラマイゼロ、悪ければ微マイナスなのだ。


「天神アマタ様を復活させるためにポイントを集めるという目的もありますから、神々全体が所有する総ポイントを減らして喜んでばかりもいられません」

「それは……そうか」


 単純にウルザを滅ぼすのが目的なら『賠償者』連打が最適解なのだろうが、イージスとの約束を果たすためにもそればかりやる事も出来ない。

 前にも大河が口にしたことがあるが、生かさず殺さずが嫌がらせの基本なのだ。限界までポイントを搾り取るためにも『賠償者』を使いすぎる訳にはいかない。


「なるほど。それでもう1つは?」

「似た理由にはなりますが、このままウルザを追い詰め過ぎると今度は魔神ルフェルを止められる勢力がいなくなりますよね」

[確かに……今は女神ウルザと魔神ルフェルで勢力が拮抗していますが、タイガさんによって追い詰められていけばいずれ魔神ルフェルの1強となってしまいますね]

「ウルザが最大勢力になるなら俺が役に立ちますが、他だと俺は役立たずですからね」


 そしてもう1つの理由は、現段階でウルザ陣営を潰してしまうと、ルフェルを止める勢力がなくなってしまうというものであった。そうなればそのままルフェルが『神々の聖戦(サンクトゥス)』を制してしまうことになるだろう。


「なるほど。ウルザにはルフェル陣営を弱らせる矛兼、私たちが勢力を拡大するための時間稼ぎの盾になってもらうと」

「後はシーラ様が最高神の座につくための踏み台もですが」

[ふぇっ!?]


 自分が最高神になる事など考えもしていなかったシーラは、大河のその発言に目を見開く。

 それと同時に、レイアもシーラほどではないにしろ驚いたような表情を浮かべていた。


「意外そうですねレイアさん」

「うん。タイガはあんまりそれを重要視してないと思ってた。それよりも嫌がらせが大事かなって」

「……まあ間違ってはいませんね」

「どういうことだ?」

「考えてみてください。シーラ様に最高神の座を取られたウルザの姿を。どんな嫌がらせよりも一番効くと思いませんか?」

「……うわー」


 最高神の座すら嫌がらせの道具とする大河に、若干引き気味のイージス。そして、


[た、タイガさん? えーと、最高神っていうのは、あの、そういうので目指すものじゃないというか!]

「シーラ様なら大丈夫ですよ! ですよねレイアさん?」

「勿論!」

[レイア!]


 どうにか大河を正気に戻そうとするが、レイアを味方につけられてんやわんやするシーラなのであった。 

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