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銀眼の魔女

夜のように静かな森の奥、風が白い炎のように揺れていました。


その中心に立つ少女──銀眼のリシアは、まるで世界から切り取られた、ひとひらの絵のようでした。


銀の瞳は、星が落ちて固まったように澄んでいて。 白い髪は、ふれれば溶けてしまいそうなほどやわらかく輝いていて。


リシアの表情は、どこまでも静かでした。

悲しみでもなく、怒りでもなく──ただひとつの願いだけを宿す、静かな光。


その声は、とてもとても小さくて、風に混ざって消えていきます。


そこには、千年を越えて積もった想いが込められていました。


リシアは胸に手を当て、ゆっくりと目を閉じました。


弱い光。だけれどもとても優しい光


世界で一番、大切だった光。

「もう一度……」

祈るように囁くと、足元の魔法陣が淡く光りはじめました。


風が震え、小さな葉が宙に浮かびあがりました。

青白い光の輪が森に広がりそしていっぱいまで広がったあと収縮していきます。

祈りと魔法が、ひとつになってゆきます。


リシアの銀の瞳が開かれたとき── その奥には、決して消えない決意が宿っていました。


「……必ず」


その声は、世界の中心に触れるほどに澄んでいました。


こうして銀眼のリシアの物語は、静かに動きはじめたのです。

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