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41話 柚へのプレゼント選び

 12月に入り、進路相談も最終段階に入り、僕と柚は円城寺大学を基準として、それより上位の大学も受けていくことで大学の絞り込みは済んだ。あとは僕も柚もラストスパートで勉強を頑張っていくだけだ。



 喫茶店のバイトは明日香さんが手伝ってくれるようになって、僕が勉強に集中できるようにマスターと明日香さんが気遣ってくれて、僕はほとんどバイトに出なくてよくなった。今はお客として柚と喫茶店に通っている。



 この間行った水族館はすごく良かったことをマスターと明日香さんに報告して、プレゼントのイルカのキーホルダーを2人に手渡した。2人共、すごく喜んでくれた。ペアで買ったことが良かったようだ。喜んでもらって本当に嬉しい。



 後、10日もすればクリスマスイブになる。柚と記念に残るクリスマスイブを過ごしたい。柚へのクリスマスのプレゼントも用意しておかないといけない。僕は全財産を出して柚のクリスマスイブのプレゼントを買うつもりだ。



 クリスマスプレゼントを何にするか悩んでいると明日香さんが相談に乗ってくれた。「やっぱり女の子へのプレゼントは光物よ」と妖艶に微笑む。1人でジュエリーショップに行く自信がなかったので、柚に内緒で、一緒にジュエリーショップでプレゼントを選んでもらうように明日香さんに頼むと、明日香さんは笑顔で一緒行ってくれることを了承してくれた。



 予備校の帰りに、用事があると言って、明日香さんが勤める美容院へ行く。そして明日香さんと合流して線路下を潜って繁華街へ出る。そして2人でモールにあるジュエリーショップへ向かった。



 明日香さんは妖艶で素敵な大人の美女だ。隣を歩いているだけでも僕は緊張してしまう。周りの行き交う男性達が立ち止まって、明日香さんに見惚れている。明日香さんは僕の隣を恰好よく歩いていく。僕と明日香さんはジュエリーショップを目指した。



「今、私と圭太君が寄り添って歩いたら、みんなからはどう見えるかな?どんな風に見えるかしら?」


「どう見えるんでしょうね。僕は学生に見えますし、明日香さんは妖艶で素敵な大人の女性です。見えたとしても仲の良い姉弟に見えるでしょうね」



 明日香さんが少し残念そうな顔をする。明日香さんにはマスターがいるじゃないですか。マスターに怒られますよ。



「そうね。圭太くんは予備校生だし、私は大人だもんね。年齢差で姉弟にみえるわよね。ちょっとショック。でも私には純一さんがいるから幸せ」



 明日香さんと僕はジュエリーショップへ入って行く。ジュエリーショップは照明が明るくて、その光が宝石をきらめかせている。明日香さんは堂々とショップの店員のお姉さんと相談して、手頃な宝石を見ている。宝石を見る明日香さんの目が輝いている。明日香さんもジュエリーが好きらしい。



 僕は明日香さんの横で頷いているしかない。定員のお姉さんの説明ではルビーに込められている言葉は、情熱・熱情・純愛・勇気・自由らしい。明日香さんは僕を振り返って優しく微笑む。



「私はルビーがいいと思うわ。だって宝石の言葉が熱情、純愛だもの。柚ちゃんと圭太くんにぴったりよ。2人は本当に純愛だもの」



 面と向かって純愛と言われると、なんだか恥ずかしい。でも僕が柚に一途であることは間違いない。柚以外の女性を彼女にするなど考えられない。



 店員のお姉さんが24金のルビーのネックレスを取り出してくる。赤色のルビーがとても輝いている。とても美しい。柚が身に着けているところをイメージする。色白の柚の肌に赤色のルビーが光り輝いている。とてもきれいだ。



 僕も24金のルビーのネックレスは柚に合っていると思う。



「そのルビーのネックレスはとてもきれいで柚に似合っていると思います。それに決めたいです。後、明日香さんにお願いなんですけど、柚が大学に合格した時に、合格祝いで、指輪を渡したいです。指輪も選んでくれると嬉しいです」



「けっこうな値段してくるけど、圭太くん、大丈夫なの?」


「実はバイト代は全て貯めていました。それに今日は全ての貯金を持ってきています。大丈夫だと思うんですけど」



 明日香さんがにっこりと明るく微笑む。



「柚ちゃんのことを本当に大事にしているのね。大学合格した時にプレゼントなんて素敵よね。是非、協力させてもらうわ」



 明日香さんと店員のお姉さんが指輪をカウンターの上に並べて相談を始めた。僕にはどれもきれいな指輪に見えて、どれが良いのか全くわからない。



「柚ちゃんは指が細いけど何号がいいのかしら?」


「前に柚に聞いたことがあるんですけど、7号って言っていました」


「それじゃあ、これがいいんじゃないかしら」



 店員のお姉さんが僕の前に4つ指輪を並べてくれる。明日香さんは優しく僕を見る。



「どれもプラチナにダイヤをあしらったものよ。圭太くんに選んでほしいのはダイヤの形かな。圭太くんのプレゼントだもの。私が全て決めてしまうのはおかしいわ」



 ダイヤの形は色々あった。ハート形、菱形、円形、楕円形、どれもきれいに輝いている。



 柚に長い間、飽きることなく使ってもらいたい。だから形はなるべくシンプルなほうがいい。僕は円形のダイヤを選んだ。



 店員のお姉さんが2つも買ってくれるので、少し値引きしてくれると申し出てくれた。財布の中身がギリギリしか持っていない僕にとってはありがたい。



 ジュエリーボックス2つを包装袋に入れて、カウンターの上に置いた紙袋の中へ入れてくれる。僕は精算を済ませて、紙袋を手で持ち、明日香さんと2人でジュエリーショップを後にした。



 繁華街の中を明日香さんと歩く。行き先はチケット売り場だ。柚はあのミュージカルを観て以来、ミュージカルに魅入られてしまって、またミュージカルに行きたがっている。だからクリスマスイブの時にはミュージカルに連れて行ってやりたい。



 チケットセンターで今、やっているミュージカルのチケットを探す。できれば恋愛モノのミュージカルがいい。丁度いい恋愛モノのミュージカルのチケットが見つかった。僕は座席の配置を見る。座席の配置も悪くなさそうだ。チケットを2枚購入する。



 明日香さんもクリスマスイブのチケットを2枚購入していた。何を観るんだろう?マスターと2人で明日香さんもクリスマスイブデートだ。大人のデートって少し憧れる。



 明日香さんと2人で線路下と通路を通って、喫茶店まで戻ってくると、柚がいつもの席に座っていた。そして僕と明日香さんが一緒に喫茶店に戻ってきたのを見て、僕を睨んでいる。



 店内をゆっくり歩いて柚の隣に座る。柚が頬を膨らませて、ご機嫌斜めだ。



「明日香さんとチケットセンターに行っていたんだよ。これ、柚とクリスマスイブに観たくってチケットを買ってきたんだ」



 ミュージカルのチケットを1枚テーブルの柚の目の前に置く。すると柚がチケットを取って、内容を読んでいる。その顔には微笑みが浮かんでいる、機嫌が直ったようだ。



「柚、クリスマスイブは柚と一緒にいたいんだ。一緒にミュージカルに行ってほしい」



 柚が僕のほうを向いて、向日葵のような笑顔を見せる。そして僕に抱き着いた。



「ミュージカル、観たかったの。わざわざ繁華街までチケットを買いに行ってくれてありがとう。クリスマスイブ、私も圭太と一緒に居たい。圭太とミュージカルに行けるなんて、とても幸せ。圭太、本当にありがとう」



 マスターと明日香さんは僕達2人を見て優しく微笑んでいる。作戦大成功だ。



 柚がこんなに喜んでくれるとは思わなかった。僕の顔も自然と綻ぶ。これでミュージカルが終わった後にクリスマスプレゼントを渡すだけだ。プレゼントの件はクリスマスイブまで秘密だ。



 僕と柚はいつまでも微笑み合って、お互いに喜んだ。

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