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田島美紀

彼女の退院前の日曜日に、麻生家は田島美紀のお見舞いに行くことになった。息子の命の恩人ということもあって全員余所行きの服装で菓子折りを持って行く。病室には美紀の母親がいた。一通りの挨拶をして菓子折りを渡すのだが、彼女の母親はあまり娘と他者を接触させたくないという雰囲気を醸していたので早々に退出することになった。だが、レイヤは美紀の顔を見ながら「新聞で読みたいな」と言った。美紀はレイヤが出て行った後も彼の背中を目で追うように出口を眺め続けるのだった。


入院中、彼女は母親の目を盗んで7年前に起きたことの手記を書き、それを新聞社に投稿した。当初は地方版の片隅に載せられていただけだったが、1か月後、”地元警察によって隠蔽された集団リンチ殺人事件”というセンセーショナルな題がつけられて全国版に載せられることになった。地元民で殺人を隠蔽するためにかん口令を敷き、さらに、地元に婿として入っていた警察官が証拠隠滅工作をしていたと言う内容は大きな反響を呼んだ。昔から政府や警察を叩くのが大好きなマスコミにとっては美味しいネタだったのだ。


この新聞記事の影響で田島本家には取材班が押し掛け、このことに怒り心頭になった当主は美紀を屋敷裏の蔵に閉じ込めたのだが、学校から無断欠席している美紀の現状を確認したいとして中学校の教頭達が訪問してきたことで監禁虐待の疑惑が出始め、さらに、川村早希から事情聴取していた県警が重要参考人として田島美紀に対する出頭令状を出したことで、田島家が娘を監禁していたことが露呈し、それが新聞各社にセンセーショナルに書かれることになった。そのまま美紀は児童保護施設に送られることになり、地元を離れた。


その後の田島美紀は奨学金で大学に行くと社会心理学科を先行し、いじめの問題や、地方の古いコミュニティーにありがちな社会問題についての研究を行い、日本各地で講演を行うようになった。また、保護施設に移ってからしばらくして身辺状況が落ち着くと、彼女は川村早希のもとに面会しに行くようになった。彼女が最初にしたことは、川村和彦のノートと彼が使っていた折れた鉛筆を母親に返しに行くことだった。エンピツは精神病院の規定で返されたが、ノートを受け取った早希は大変に喜んだという。早希が退院した後の監察期間中も良く会いに行って和彦の思い出話をしていたという。

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