↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
82/88

狂気

そこまで美紀(みき)(はな)()わった(とき)土手(どて)(うえ)から「お(まえ)(なに)をしてる!!」と()女性(じょせい)怒声(どせい)(ひび)いた。

2人(ふたり)見上(みあ)げると、そこには憤怒(ふんぬ)(おに)のような形相(ぎょうそう)になった川村(かわむら)早希(さき)がいた。

彼女(かのじょ)土手(どて)階段(かいだん)()()りると、美紀(みき)(そな)えた花束(はなたば)(かわ)()かって()()ばした。

玲也(れいや)(おも)わず()()して右手(みぎて)花束(はなたば)(つか)んだが、左腕(ひだりうで)川岸(かわぎし)着地(ちゃくち)したときにそこの(つち)(くず)れて川岸(かわぎし)(どろ)(とも)(かわ)()ちてしまった。

(かわ)()ちた玲也(れいや)左腕(ひだりうで)美紀(みき)がとっさに(つか)んで(きし)()()げようとするものの、(ふち)玲也(れいや)()()()(ちから)(ほう)(つよ)かった。

それで、玲也(れいや)(かお)何度(なんど)水面下(すいめんか)(しず)んでしまうのだった。

一方(いっぽう)(かわ)()ちた玲也(れいや)は、水面(すいめん)(かお)()瞬間(しゅんかん)息継(いきつ)ぎをしながら必死(ひっし)でバタ(あし)をしていたのだが、(おも)うように(あし)(うご)かずに(あせ)っていた。

まるで、水中(すいちゅう)何者(なにもの)かが(あし)(から)みついているかのように、(あし)(おも)うように(うご)かせないのだ。


そんな(なか)川村(かわむら)早希(さき)田島(たじま)美紀(みき)(しり)()りつけ(はじ)めた。

()ね!! 人殺(ひとごろ)し!! お(まえ)最後(さいご)だ!!」そう()いながら、彼女(かのじょ)美紀(みき)(みぎ)大臀部(だいでんぶ)(みぎ)大腿(だいたい)()(つづ)けたので、美紀(みき)(からだ)(すこ)しずつ川岸(かわぎし)(ほう)()しやられていった。

美紀(みき)(ほう)必死(ひっし)に「あたしはいいけど、玲也(れいや)くんだけは(たす)けてあげて!」と懇願(こんがん)しながら、()られた(ふと)ももの(いた)みをこらえるために()()いしばり、必死(ひっし)形相(ぎょうそう)玲也(れいや)手首(てくび)をつかんでいた。

(みず)()れて(すべ)りやすくなっている(うえ)に、(やま)からの雪解(ゆきど)(みず)でできた(かわ)水温(すいおん)(ひく)く、残暑(ざんしょ)(きび)しい(おり)だというのに()がかじかんでくるほどに(つめ)たかった。

一方(いっぽう)(つま)蛮行(ばんこう)(おどろ)いて一時的(いちじてき)硬直(こうちょく)していた川村(かわむら)早希(さき)(おっと)正彦(まさひこ)は、やおら(つま)羽交(はが)()めにし、「かあさん()めろ! もう()めるんだ!」と必死(ひっし)懇願(こんがん)をしたが、「うるさいこの役立(やくた)たず!! 息子(むすこ)()んだってのに平気(へいき)(かお)しやがって!! この(ひと)でなし!!」と彼女(かのじょ)自分(じぶん)(おさ)えつけている(おっと)悪態(あくたい)をついたのだった。

そして数瞬(すうしゅん)(あと)自分(じぶん)実行(じっこう)できないなら他人(たにん)にやらせればよいことに()づいた早希(さき)は、自分(じぶん)(むすめ)命令(めいれい)した。

玲子(れいこ)! お(まえ)がやれ! この(おんな)和彦(かずひこ)(かたき)なんだよ!! やれ!!」


母親ははおや命令めいれい戸惑とまどいながらも、玲子れいこはおずおずと美紀みきしりほうかっていき、玲也れいやかってちいさいこえで「ごめんね」とってから美紀みきのおしりはじめた。それに気付きづいた美紀みきは、玲子れいこかって「あたしはいいけど、玲也君れいやくん関係かんけいないでしょ、だからゆるしてあげて」と懇願こんがんした。そのとき自分じぶんむすめ美紀みきはじめたことにづいた正彦まさひこは「玲子れいこめなさい!!もうかあさんのうことをかなくていいから!」とさけんだが、早希さきはそれを上回うわまわるほどの狂気きょうきじみた大声おおごえで「玲子れいこはやくやれ!」とどやすのだった。どちらのうことをけばよいのかは、玲子れいここころなかではわかっているはずなのに、ははうことをかないと彼女かのじょがものすごくおこるという恐怖心きょうふしんから、どちらの命令めいれいしたがうべきかまよいはじめていた。そんなときはしうえほうで「なんだ?なんだ?」と複数ふくすうひとこえとともに欄干らんかんから白装束しろしょうぞく地元民じもとみんたちがかおをのぞかせてきたのだった。そのうちの一人ひとりが「おい!あれ、みきでねーが!?」とうと、彼女かのじょ父親ちちおやらしきおとこが「ん?おおぁぁああみきぃぃぃい!しっかりしろぉぉお!いまたすけにいぐから!!」といざまはしし、それと同時どうじ地元民じもとみんたちも川岸かわぎしほうへとはしした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。