↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
78/88

思いがけぬ出会い

下宝田集落しもたからだしゅうらく地元民(じもとみん)(はか)多嘉良川(たからがわ)上流(じょうりゅう)方側(ほうがわ)山腹(さんぷく)にある。地元民(じもとみん)墓参(はかまい)りをするにしては、(むら)墓地(ぼち)とは反対方向(はんたいほうこう)()くのは(へん)だ、と、玲也(れいや)直感(ちょっかん)()げる。玲也(れいや)(みち)反対側(はんたいがわ)(うつむ)加減(かげん)(ある)中学生(ちゅうがくせい)くらいの少女(しょうじょ)(こえ)をかけた。「お墓参(はかまい)りですか!?」、すると、少女(しょうじょ)(おどろ)いたような表情(ひょうじょう)(かお)()げ、玲也(れいや)(ほう)()ながら「あ、いえ……」と否定(ひてい)のような、そうでないような曖昧(あいまい)(かん)じで言葉(ことば)(にご)らせた。


「もしかして、川村(かわむら)さんのお(にい)ちゃんのお墓参(はかまい)りですか?」と()くと、今度(こんど)胡乱気(うろんげ)表情(ひょうじょう)で「なんでそれを?」と()(かえ)してきた。「(ぼく)川村(かわむら)さんと(おな)じクラスなんです。それで、川村(かわむら)さんがなくした「たからしまのちズ」って()いてある(かみ)()つけてあげたことがあるんですけど、その内容(ないよう)()になっちゃって、そのことを(おし)えてもらおうと(おも)ってたんですけど……」と、ここまで()って、玲也(れいや)言葉(ことば)をつまらせる。()いたいことと()うべきことがごちゃ()ぜになってきたのだ。


少女(しょうじょ)()()けたような表情(ひょうじょう)で「そう」と()うと、また(うつむ)きかけながら()った、「今日(きょう)和彦(かずひこ)くんの命日(めいにち)なの」。「めいにち?」と玲也(れいや)がオウム(がえ)しに()うと「(ひと)()んだ()のことを『めいにち』って()うんだよ」と彼女(かのじょ)(おし)えてくれた。「川村(かわむら)くんが()んだ場所(ばしょ)()くんですか?」と(たず)ねると、少女(しょうじょ)(かな)しげな表情(ひょうじょう)で「うん」と(こた)えると、おもむろに(かお)()げて玲也(れいや)頭上(ずじょう)にある歩行者用信号ほこうしゃようしんごう(なが)めた。彼女(かのじょ)玲也(れいや)がいる(がわ)()くつもりだったらしく、横断歩道(おうだんほどう)信号(しんごう)(あお)()わるのを()ってから、自転車(じてんしゃ)()りて()っていた玲也(れいや)(そば)まで()た。彼女(かのじょ)(いま)にも()()しそうな(かお)玲也(れいや)()けて「あとで『たからしまのちズ』のことを(おし)えてあげるね」と()った。


それから、2人(ふたり)宝田大橋(たからだおおはし)南西側(なんせいがわ)から(みなみ)()びている歩行者専用(ほこうしゃせんよう)土手道(どてみち)(つな)がっている水門橋(すいもんばし)(わた)った(さき)にある水門整備用階段すいもんせいびようかいだん()りて、水門(すいもん)下流側(かりゅうがわ)河川敷(かせんじき)()()った。そこから()える川面(かわも)には、時折(ときおり)不気味(ぶきみ)(うず)波打(なみう)(ふち)があった。本流(ほんりゅう)から用水路(ようすいろ)へは直角(ちょっかく)(ちか)(かたち)分岐(ぶんき)している(うえ)川底(かわぞこ)(ふか)さが(ちが)うため、水流(すいりゅう)不安定(ふあんてい)になっているので(ふち)になっているのだ。


玲也(れいや)川岸(かわぎし)から1m(ほど)(はな)れたところから川面(かわも)()ていると、少女(しょうじょ)川岸(かわぎし)まであと50−60cmというところまで(ちか)づき、しゃがんでから()()っていた花束(はなたば)川岸(かわぎし)にそっと()くと、ゆっくりと両手(りょうて)()わせるのだった。(すこ)しすると、少女(しょうじょ)のすすり()(こえ)()こえてきた。玲也(れいや)階段(かいだん)(ほう)まで(もど)ると階段(かいだん)(すわ)ろうとしたが、(あさ)から昼下(ひるさ)がりまで()()日差(ひざ)しに()かれたコンクリートの階段(かいだん)(あつ)くて(かな)わなかったので、階段脇(かいだんわき)(くさ)(うえ)(こし)()ろした。


ぼんやりと川面(かわも)(なが)めながら、彼女(かのじょ)一体(いったい)いつまでここにいるつもりなんだろうと(おも)(はじ)めた(ころ)に、少女(しょうじょ)不意(ふい)()()がって玲也(れいや)(ちか)づいてきた。「ゴメンね、つき()わせちゃって」と少女(しょうじょ)(こえ)をかけられて玲也(れいや)(われ)(かえ)った。「え?おr……(ぼく)勝手(かって)についてきただけだし」と()()そうになって(あわ)てて()(つくろ)う。「『たからしまのちず』だっけ?約束(やくそく)どおり(はな)すね」と()彼女(かのじょ)玲也(れいや)(うなず)くと、彼女(かのじょ)(はな)(はじ)めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。