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気掛かり

まるで地獄(じごく)のような()()めた雰囲気(ふんいき)夕飯(ゆうはん)()えた玲也(れいや)は、自分(じぶん)使(つか)った食器(しょっき)(あら)って水切(みずき)(かご)()れるとそそくさと自室(じしつ)()く。だが、その途中(とちゅう)両親(りょうしん)息子(むすこ)教育方針(きょういくほうしん)()めている様子(ようす)玲也(れいや)視界(しかい)(すみ)(はい)ってしまったものの、()えて()にしないことにした。勉強机(べんきょうづくえ)とセットの椅子(いす)(すわ)り、勉強机(べんきょうづくえ)(うえ)乱雑(らんざつ)()かれているノートや教科書(きょうかしょ)(たぐい)(なか)から自由帳(じゆうちょう)()()す。そして、この(あいだ)()いた「たからしまのちズ」関連(かんれん)のページに追記(ついき)する。

[イケニエ7(にん)][去年(きょねん)2人(ふたり)][先月(せんげつ)2人(ふたり)][今月(こんげつ)(にん)][合計(ごうけい)(にん)]「紙切(かみき)れをくれた(おんな)()((さい)()1人(ひとり)?)←(川村(かわむら)さんのお(にい)ちゃんの(とも)だち?)」


この”川村(かわむら)さんのお(にい)ちゃんの(とも)だち”の(おんな)()は、”たからしまのちズ”の意味(いみ)()っているのかもしれないという(てん)()になり(はじ)めてきた。直接(ちょくせつ)彼女(かのじょ)()って(はなし)()いてみたいところだが、もちろん、玲也(れいや)彼女(かのじょ)がどこの(だれ)なのかを(まった)()らない。それならば、川村(かわむら)さんは彼女(かのじょ)のことを()っているのだろうか?(あだ)だから、()っていても()わないようにしているのだろうか?(つぎ)()うときは(ころ)(とき)なのだろうか?などと、とりとめもない(かんが)えが(つぎ)から(つぎ)へと()かんでは、ごちゃ()ぜになって()く。「(和彦(かずひこ)女友達(おんなともだち)に)(はなし)()いてみたいな、それに、「たからしまのちズ」のことを()っているかもしれない」と(ひと)(ごと)()ったあたりで(ねむ)くなってきたので、玲也(れいや)布団(ふとん)()いて()ることにした。


翌朝(よくあさ)朝食後(ちょうしょくご)(かた)づけを()わらせて()(かえ)ると、居間(いま)ではつけっぱなしのTVの(まえ)母親(ははおや)がうつらうつらとしていた。父親(ちちおや)彼女(かのじょ)(となり)(すわ)っているのだが、まるで放心状態(ほうしんじょうたい)のようで、TVをつけている(わり)には、それを()ているのか()ていないのかわからない状態(じょうたい)()そべっている。だが、それはいつもの麻生家(あさぶけ)休日(きゅうじつ)光景(こうけい)である。そんな両親(りょうしん)をしり()電話(でんわ)(だい)まで()連絡網(れんらくもう)()()す。(いま)どきの連絡網(れんらくもう)はどうなっているか作者(さくしゃ)にはわからないが、この当時(とうじ)連絡網(れんらくもう)はガリ(ばん)()りこんでそれを藁半紙(わらばんし)複写(ふくしゃ)して配布(はいふ)していたのだ。そしてその文書(ぶんしょ)には電話番号(でんわばんごう)だけではなく、住所(じゅうしょ)まで()いてあるのだ。クラスメイトの親族(しんぞく)(なか)(へん)(ひと)がいる(いえ)一件(いっけん)でもあれば大変(たいへん)なことになるのだが……当時(とうじ)は「所帯持(しょたいも)ちに(へん)なやつはいない」という「常識(じょうしき)」があったし、「個人情報保護(こじんじょうほうほご)」という概念(がいねん)がほぼ皆無(かいむ)であったために、普通(ふつう)連絡網(れんらくもう)でクラスメートの住所(じゅうしょ)がわかったのだった。玲也(れいや)川村(かわむら)玲子(れいこ)が9(かい)()んでいることは把握(はあく)していたが、何号室(なんごうしつ)かは()らなかったので、この(たび)(はじ)めて彼女(かのじょ)住所(じゅうしょ)が6号室(ごうしつ)であることを()った。


川村宅(かわむらたく)()って玲子(れいこ)彼女(かのじょ)母親(ははおや)に、(れい)紙切(かみき)れをくれた(おんな)()から(はなし)()けるかどうか、あるいは、川村夫人(かわむらふじん)はそのメモの内容(ないよう)意味(いみ)把握(はあく)しているのかを()こうと(おも)った途端(とたん)猛烈(もうれつ)にお(なか)(いた)くなってきた。食後(しょくご)父親(ちちおや)(さき)(はい)って(よう)()ませた(あと)強烈(きょうれつ)(にお)いが(のこ)るトイレで全部(ぜんぶ)()してきたはずなのに、である。いつもこうだ。(なに)かをしようと(おも)うと、異様(いよう)緊張(きんちょう)してきて猛烈(もうれつ)にお(なか)(いた)くなり、強烈(きょうれつ)便意(べんい)(もよお)すのだ。なんでいつもこうなるんだろうと(おも)えば(おも)うほどおなかが(いた)くなってくる。しかし、トイレに(はい)っても(なに)()るでもなく、30(ぷん)ほどで(いた)みが(おさ)まるのだった。

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